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隠れ家の不良美少女 219 希和の下着

希和と希美子さんは忙しく引っ越しの準備をしている。
「希和、荷物を詰めた段ボール箱には何を入れたか分かるようにマジックで大きく書いとくのよ!」
「うん、分かった」
俺は希和の部屋で手伝っている。
希和は服などを段ボールに詰め込んでいく。
押入れの下にある白いプラスチックの箱を出して中のものを出そうとして俺を見た。

「友希さん、この箱には下着が入ってるから恥ずかしいの、向こうを向いててよ」
「ああ、そうする」俺は反対の方を向いた。

「終わったからいいよ」

振り向くとゆるい笑顔がそこにあった。

「引っ越したら新しい下着を買おうかな、友希さんどんなのが好き?」

俺は頭をかいた。
「どんな下着が好きって言われてもなあ…………何も思いつかないよ」
「そうなの?」
「希和が着たいものが一番いいんじゃないか?」
「ふ〜ん……………希和の下着なんて興味がないのね?」頬を膨らす。

「…………………………」

「やっぱり興味がないのね」少しふてくされて拗ねている。

「じゃあ………スケスケで………フリルやリボンがいっぱい着いた超可愛いやつ」とヤケクソで言ってみる。

「うっ………プッ……プッ………ぷははは」希和は笑い転げた。

「ごめんなさい友希さん、もう変な事聞かないよ」そう言ってジタバタした。

俺もおかしくなって笑った。

希美子さんが入ってくる。
「あら、随分楽しそうね、私にも教えてよ」そう言って希和をみた。

「お母さん、ぷっ……勘弁して〜」さらに笑い転げた。

俺は眉を寄せて頭をかいた。

一通り荷造りが済むと引っ越し業者のトラックが到着する。
ピアノは業者の人達が丁寧に運んでくれた。

出発しようとすると、近所の人達が集まってきた。

「引っ越すの?」
「はい、シロアリの被害で引っ越します」
「何処に引っ越すの?」
「深谷の方です」
「そう、寂しくなるわねえ……」

希美子さんが近所の人達と話している。

何気なく道路の向こう側を見ると、ポツンと幼馴染の優斗くんががこっちを見ていた。

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