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Dear slave 親愛なる奴隷様 Loveですぅ! 第24話 ミニスカライダー登場!

 最後の追い込みで二日間はかなり遅くまで準備にかかった。なんとか間に合い当日を迎える事ができた。

 文化祭当日僕は茉白ちゃんと図書館で入場者の対応をしている。やはり自分の展示コーナーは気になる、まだ早いので人はまばらだ。雪村先輩から先に食事をするように進められて茉白ちゃんと出店を見て歩いた。二人で焼きそばを買って飲食できる教室に入り食べる。食べ終わって帰る頃になるとかなり人が増えてきた。文芸部の前にはすでに列ができている、さすが亜斗夢先輩の人気は凄いと思った。

 図書館へ戻り来場者の案内を始める、茉白ちゃんのコーナーには数名の女の子が立ち寄り、熱心に本を見ている。茉白ちゃんは嬉しそうに対応していて楽しそうな話し声が聞こえてくる。僕はそれを見て嬉しくなった。茉白ちゃんよかったね、と心の中で呟く。しかし僕のコーナーにはあまり立ち寄る人はいない、少し寂しくなった。

 1時から始まった亜斗夢先輩のサイン会はたくさんの人が集まり、大好評だ。「やっぱり才能の違いは大きいなあ………」独り言が漏れてしまう。

 2時を過ぎた頃突然ざわつき始める、何だろうと思い窓から外を見た、人だかりができている。その人だかりは少しずつ近づいてきた。

 先頭は担任の近田先生が案内している、そして案内されているのはなんと琴音さん、いやミコトさんだ。雑誌の表紙と同じミニスカートの衣装で玲司さんとニコニコ話しながら図書館へ入ってきた。

「星七!見学に来たよ」ミコトさんはにこやかに微笑んで手を振った。

「えっ!」絶句して固まる。

 何できたの?何しに来たの?どういうこと?全身からはてなマークが大量に飛び出す。

「星七くん、とってもいい感じだねえ」玲司さんまで微笑んでいる。やっぱり無駄に爽やかだ。

 その結果、僕の展示コーナーは人が溢れる。そしてバイク雑誌を持ったミコトさんは僕のコーナーの前で雑誌と同じポーズで微笑んだ。たくさんのスマホが林のように立ってミコトさんの笑顔と綺麗な足が記録される。

 玲司さんは僕のコーナーのパネルの前に立つと「星七くん、この雑誌を取り上げてくれてありがとう、女性とバイクのテーマはとても素晴らしいと思うよ」そう言ってみんなの前で僕とわざとらしく握手した。

 ミコトさんは手に持った雑誌にサラサラとサインして近田先生に渡している。

「先生、例の件よろしくお願いします」ニッコリ微笑んだ。

「任せてください!」近田先生は親指を立てて頷いている。

 茉白ちゃんがその様子をポカンと口を開けて見ていた。ミコトさんはチラッと茉白ちゃんをみる、そして胸を確認するように見て近づいた。

「もしかして茉白ちゃん?」

「えっ?」茉白ちゃんは大きい目をさらに見開いて固まる。

「いつも星七がお世話になってます、これからもよろしくね」そう言って握手を求めた。

「えっ………あっ………はい………あのう………」茉白ちゃんはほとんど固体化している。

「茉白ちゃんが協力してくれた誕生日のお花はとても素敵だったわ、ありがとうね」握手したまま言った。

「ああ………」茉白ちゃんはミコトさんが僕のイトコだと理解したようだ。、

「星七から茉白ちゃんが素敵な人だって聞いてたのよ、本当に可愛い人なのね、これからもよろしくね」

「えっ………あのう………はい………よろしくです………」モジモジと音が聞こえそうなくらい茉白ちゃんは緊張している。

「もういいでしょう、返ってください!」僕は必死にミコトさんへお願いした。

「えっ、せっかく来たんだから何か食べたいなあ」不満げだ。

 雪村先輩がニッコリすると「星七くん、案内しておいでよ、せっかく来ていただいたんだから」そう言ってコクリと頷く。

 近田先生がそれを見て「そうだミコトさん、うちのクラスがやってる和風喫茶へ行ってみませんか?」嬉しそうに聞いている。

「それは素敵ですね」ミコトさんも微笑んだ。

「じゃあ早速行ってみましょう、樹神お二人を案内して」

 僕は言われるまま二人を和風喫茶へと案内した。中へ入るとそいとげがミコトさんを見てボーゼンと立ち尽くす。そして穴が開くほどミコトさんを見つめた。

抹茶と水羊羹を食べたミコトさんは「星七、他のところも案内してよ」などと言ってきた。

「あのう僕は図書館の管理があるので………」しどろもどろで答える。

「そっか………」少し渋い顔だ。

「じゃあ僕と回りましょう」玲司さんが爽やかに微笑む。

 やっぱり無駄に爽やかだ、そして近田先生に挨拶をするとミコトさんと玲司さんは教室を出て行った。僕はそいとげに捕まる前に図書館へと戻った。

 図書館は少し静けさを取り戻している。僕のコーナーにはまだ人だかりができている。茉白ちゃんのコーナーにも人だかりができている、僕は少しホッとした。

「おかえり星七くん、もしかしてあの人がイトコのお姉さん?」

「うん………」僕は唇に力が入ったまま頷く。

「そうなんだ」ゆっくりと頷いた。

「星七くん、私の事を色々話したんだ」少し上目遣いでみた。

「ごめんね、あの人がしつこく聞くのでつい………」

「でも、素敵な人って言ってくれたのは嬉しいなあ」微笑んでいる。

僕の顔は深夜の信号機みたいに赤く点滅する。

「今日も駅カフェに行こうか」茉白ちゃんはニッコリ微笑む。

僕は何度もピコピコと頷いた。

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