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あの日のベトナム~潜入!ホーチミンの【カラオケ】はカラオケじゃなかった話

ベトナムは規制の多い国だ。
夜間営業についても規制があり、一部の例外を除いて営業は原則午前0時までと定められている。実際ほとんどの店舗が22時~24時で閉店し、午前0時を過ぎると一気に町は閑散とする。ただし国として一定の法律や規制はあるものの、その規制の枠から外れて(いるのかどうかは不明)いる屋台が多く立ち並び、深夜営業許可区として設定されたエリア内ではバーやカフェが明け方まで大盛況だ。最近では、政府が新たに深夜営業許可区の追加や営業時間の規制緩和を検討しているとのニュースも目にする。そんなベトナムだが、何事においても南北の特色著しいこの国らしく、ナイトライフも大きな違いがある。
南部に位置する経済の中心地・ホーチミンは“眠らない街”。気力と体力さえあれば夜通し遊ぶことができる。一方北部のハノイは政府のお膝元。政府の規制が厳しく、午前0時ともなると街は真っ暗だった。特に遊興施設の営業規制は厳しいという。
とまあ、これは表向きの話。南部は目が届きにくい環境のせいが、規制などなかったかのような賑やかな夜が連日繰り返され、北部は一見規制に従っているかと思いきや、壁の内側では、連夜控えめながら宴が繰り広げられているのである。今回はそんなベトナムで経験したナイトライフについてお話ししようと思う。

“カラオケは、カラオケではない。”

もしあなたが日本を背負うビジネス“マン”で、ベトナムに出張したとしよう。そこで接待を受け「この後カラオケに行きましょう」と誘われたら。
それは決して歌いに行く誘いではない。“女の子がいる店に行きましょう”ということだ。
この“カラオケ”を楽しみにベトナムに出張へ来る日本人男性も多いと聞くから、男性の世界ではある程度有名な話なのかもしれない。
そんな“カラオケ”に一度行ってみたく、上司にお願いして連れて行ってもらった。

この“カラオケ”だが、雰囲気としてはキャバクラというより、田舎のナイトクラブ(古)風。
入口に車を止めると、ママらしき人とボーイさん風の(といってもめちゃめちゃ普段着)方が店に誘導してくれる。そこでこちらの人数を伝えると、きれいなトナムのお姉さん方が横一列に並んで出迎えてくれる。その中から各自1名以上、アテンドしてもらう相手を選ぶのだ。行きつけの場合はご指名もあり、初めての場合はその場でお気に入りの子を選ぶ。ママに「私は結構です」と断ろうとしたが、どうやら客は最低一人をホステスとして選ばないといけないシステムのよう。困っていると、ママに「カッコイイ男ノ子ヨウイデキルヨ」と迫られたので、慌ててその場にいたかわいいお嬢さんを指名し、そそくさと奥の部屋へと逃げ出した。

“カラオケ”は、スナック風のワインレッド色のソファがコの字に配置され、そこに男女交互に座って接待を受けるスタイル。真ん中にテーブルが置いてあり、ナッツやちょっとしたおやつとお酒が出てくる。個室となっており、きちんと本物のカラオケ(昭和っぽいスタイルのもの)もおいてあるのでしっかり歌も唄える。実際上司たちはホステスさんと何曲か日本の曲やベトナムの曲を歌っていた。私はソファの隅に陣取って、隣に座った女の子に話しかけ、いろいろと質問してみた。
名前は忘れてしまったが、彼女は20歳といっていたように思う。大学に行くために“カラオケ”でアルバイトをしているが、お金がたまったので今月でアルバイトをやめるのだそうだ。
それは良かったね、とひとしきり喜び、その後もベトナムガールの日常についていろいろ教えてもらった。普段の昼間は日本語の勉強をしたり大学の勉強をして、夜はアルバイトをしていること。日本語とベトナム語の交換学習を昼のアルバイトとして行っており、昼は昼でお金が稼げること。勉強相手は日本人のサラリーマンだ。
お気に入りの楽しみ方や友人との過ごし方などを聞いてひとしきり盛り上がり、また会いたいね、とハグをしてお別れした。その後彼女に会うことはなかったが、元気に大学へ通っていることを祈る。

今回は私が紛れ込んだため、上司たちは品行方正、かなりクリーンな遊び方をされていたが、客側の要望によってはディープな夜になることもしばしばあるらしい。店側の基準が甘く、ボーダーラインがゆるゆるの営業スタイルがいかにもベトナムらしかった。

料金は自分で払っていないので不明だが、日本のナイトクラブ的な場所の料金相場からするとだいぶ安いらしい。毎夜道に立つ、アオザイを来たきれいなお姉さん方と楽しく飲んでみたい方はぜひ訪れてみると面白いかもしれない。悪質な店もあるらしいので、そこは自己責任で店選びから楽しめる。
個人的にはぜひ女性のグループで行ってみてほしいと思う。ベトナムガールと楽しいカラオケナイトを過ごしてみてはいかがだろうか。

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