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RIZIN.40ベラトール対抗戦、感想。

明けましたね!新年おめでとうございますの言葉すら喉元につっかえるような時節ですが、去年はみんな生き延びたね!これ読めてる人!おめでとー。

久しぶりの日記で書きたいことがたくさんある、大晦日といえば格闘技、今年はライジンVSベラトールというコア格闘技ファンが待ちに待ったガチ路線の大会だった、これについても書きたいし、去年たいへんだったあれこれをざっと思い出して書き上げてみたりもしたい、そして今年はどんな年にしたいかを、新年始まっとるのだけどちょっと待ってくれや、新年の抱負くらい聞いたってくれやってわけで書いてみたい。

まず格闘技の話を書くだけでも大変だから、ここでは格闘技だけに話を絞る。

正直ベラトールという団体は普段僕は見てない、堀口の試合を数試合見ただけで各選手のこれまでの試合を全然知らない、ただライジンよりは世界最高峰であるUFCにより近い団体だし、選手のスタイルもそれに近い団体であるというくらいしか知らない。

ライジン勢全員負けてもおかしくない、という気持ちで見た、そして実際にライジン勢は全員負けちゃった、けども思っていた完敗とは全然違う、サトシ✖️AJマッキー。アーチュレッタ✖️スーチョルは、サトシ、スーチョル負けたのだが、判定で勝っていてもおかしくない物議をかもす試合だった。

それほどに接戦で、特に対抗戦初戦の武田の試合はマジでやばかった、感動しかない、UFCで勝つアジアファイターの多くがそうであるように、日本人ファイターが現状の世界トップクラスに勝つには、この戦法しかないんじゃないかと僕は思っている。

そのファイトスタイルとは、「己のスタミナを全振りして相手のスタミナを消し尽くす」戦いだ、武田が超強敵ジョニーケースに判定勝ちしたのもまさにこの戦法による、武田はプロレス技のジャーマンスープレックスをバックにつくたびにぶっ放すのだが、これは賛否ある、バックからポジションをとらず極めにもいかず、投げっぱなすなんて馬鹿だ、とか。ただ、会場は湧く、相手は一瞬完全にボディコントールを失う、当たりどころによっては甚大なダメージを負う、結果相手はモチベーションとスタミナを失う。僕は武田のスープレックスはこの上なく功を奏していると思っている。

同時に武田は決して根性一辺倒のファイターではないというところも見逃してはいけない、ものすごくテクニカルな選手だ、現状のMMAでは根性だけのファイターは必ずといっていいほどその輝きを消される、現代MMAは耀かしきPRIDE時代のそれとは明らかに違っていて、相手の輝きを消すためのファイトになっていることは否めないだろう。

現代MMAにおいて最も大切なテクニックは壁レス(壁際におけるレスリングの攻防)であり、相手とやり合うにはまずここの課題をクリアしないことには現代のMMAでは誰も輝きを放つことは不可能だ。

テイクダウンや抑え込んでくる相手をやり過ごす立ち力(倒れたり倒されたりしてもすぐに体勢を立て直し立ち上がる力)がなくてははじまらない。

かつてのスタンドでド派手にやり合うファイターたちは壁際ケージやロープに押し込まれ身動きできない状態で倒され、塩漬けに抑え込まれ、終了のゴングが鳴るまで地味に殴られ続けた。

武田はまずこのテイクダウン能力とテイクダウンディフェンス能力が素晴らしく、さらにスタンドでの駆け引きも素晴らしいものがある、前にジョニーケース相手にみせた、ジャブに対するフックのカウンター、サークリング、距離の詰め方、そして胴タックル、全てが理性的な組み立てだったと思う。

今回のラバダノフに序盤強烈なストレートをもらい一回完全に目も飛んでたのにかかわらず、すぐに立ち上がろうとし、スタンドに戻しそこからサークリングを多用し相手の正中線を狙ったストレート系の打撃をうまくかわしやり過ごし、それ以降一度もまともにもらわなかったのは天性の試合中での調整能力があるように思う。

距離設定もとてもよく、近距離に入ってからのパンチの連打も何度か捉えていた、が、序盤の1発が相当こたえたしあとの相手のプレッシャーもエグくて判定で負けてしまったが、日本人ファイターの有るべき姿の一例を見た気がした。単純にめっちゃ感動した。

んなこと全部書いてたらキリがないので、思いつくことだけを書いて格闘技の話は終わろう。

クレベル✖️ピットブル、セミメインの試合も色々考えさせられた。クレベルとメインのサトシは静岡にあるBONSAI柔術の選手で、似たスタイルの打撃と柔術スタイルで、なかでもサトシはダントツ寝技が強い。

クレベルは今までも、打撃の面で向こうっ気が強いのがあだになって、1発もらって崩れるというシーンが多く見られる選手で、そこを指摘されることが多かった、けども打撃で一回崩された試合も全部極めで勝っていることが注目すべきポイントだと思う。

指摘をするのは簡単だけど、その指摘内容がその選手の勝ち筋に必要なひとつの材料だったとしたらどうだろう?今回の超強敵ピットブルとの試合で僕はそれを考えさせられた。

ピットブルの危険すぎる打撃と、まったくブレない体幹に、クレベルは隙をうかがってリングをまわるシーンがあまりに多かった、結果的に組みの展開が少なく、ガード下に組み付けるタイミングがあっても残り時間が少なかったりと、寝技を作る時間が少なかった。

それに反してサトシ✖️AJの試合では組みの展開は多かったけど極めきれなかったのがサトシの敗因でもある。

おそらくAJとかピットブル、あとサトシが前に下したジョニーケースレベルの選手だとじっくりとした寝技の展開になっても一方的に極めるのは困難だと思う、けど、前回サトシはケースを極めた。どういうことか。

実は、サトシもクレベルも過去の極めた試合のほとんどが組みを丁寧に作った結果ではなかった、全てスクランブル=ぐちゃぐちゃな展開で極めているのだ。

それが最大の彼らの勝因、完全に組みを警戒して戦うMMAのストライカーは、丁寧な組みに対してのディフェンスはかなりのレベルで防げるし、しのぐことはできると思うが、サトシもクレベルも極めてこれたのはスクランブルにもっていけたからなのだと思う。

今回のクレベルの敗因はスクランブルに持ち込めるほど打撃で突っ込めなかったことだと思う、距離を設定して蹴りを多用してしまったし、フットワークで動きすぎた。今回のクレベルの試合を見て思ったのは、今までのクレベルの勝因の重要な1つの材料は打撃でやりあって1発もらうことだったのではないかということ、スクランブルの展開の中でこそBONSAIの寝技は活きる。そういう意味でテクニカルな打撃と距離でスクランブルにもっていけなかった今回のクレベルの負けは悪い意味ででかいように思う。

今回クレベルはタイでかなり練習をしていたようだ、ムエタイ、少し嫌な気がする。僕はかつてのヒーロー、山本キッドはムエタイに影響を受けすぎたことで勝ちから遠のいてしまったんじゃないかと考えていたから、蹴りの距離で慣れて、足もベタ足をやめてステップを踏む、距離の設定をそこにしてしまうと、キッドのリスクあるゼロ距離射程のパンチが出なくなってしまったように、その距離で戦うとクレベル最大の武器であるスクランブルの展開が減ってしまう、そのスタイルであれば、例えば平本蓮が前回ドミネーターに魅せたストライカーの塩漬けスタイルにどハマりしてしまい勝つことができないのではないかと心配だ。

けども大丈夫だ、俺たちにはサトシがいる、サトシはクレベルとピットブルの試合を多分見ただろう、サトシは以前ケースに負けた試合、スタンドのプレッシャーに潰されて、戦意喪失気味に負けを喫した。あの負けをした選手はキツい、根本のメンタリティを露呈してしまった感があったから、けどもあれからマジでサトシは強くなった、柔術の努力の才能も然りで、とにかく変化できる、スタンドも、打撃でのリスクある前進もばんばんしていくようになった。

それは過去最大の敵AJマッキーが相手でも変わらない、ファンの心配をよそに2R執拗に打撃で迫るサトシの姿がまじでかっこよかった。クレベルも是非サトシみたいに独自の打撃スタイルでがんがん前進してスクランブルに持っていってほしい。

マッキーとサトシの試合で際立ったのは、サトシの打撃とマッキーのグラップリングのディフェンスだった気がする。

スタンドでもサトシがかなり押してたように思う、ただなんというか、ベラトール勢は正直、負けん気のオーラが半端ではなかった、試合が判定にもつれたあとの自軍へ帰る姿、武田もスーチョルもサトシもヘトヘトだった、ベラトール勢は背筋立たせて負ける気がないといった体だった、それは試合中での雰囲気も全体的にそうだった、アウェイなのに、、そういう凄みを感じた、それは多分経験値なのだろうし、戦ってきたライバルのレベルの高さなのだと思う。より高いレベルの戦場を生き残ってきたんだろうと思わさせられる。ベラトール勢の眼光の鋭さ、全員やばかった。

もはやまったくわからない境地なんだけど、なんでマッキーあんなに極まる気がしないんだ?バックつかれても、よーく見てもサトシの前腕が首に入ることが想像できないくらいに、マッキーの極めに対するディフェンスがやばかった。ピットブルの極められないという絶対的な自信もやばかった、優雅ですらあった。

そう考えると、確かに判定は疑問点もあって紙一重の勝負ではあったけども、その紙一重の差は大きかったのかなぁと思ったりもした。

ベラトール勢は全体的にフィジカルがとにかく強いように思う、首が倒れず、脇が開かず、体幹がメキメキに強い、フロントチョークの姿勢になっても一定以上首曲がらんのかってぐらいベラトール勢の首が折れない、スタンドでも軸がまったくブレない、そこらへんのフィジカルの強さからあのメンタルのブレなさもきてるんだろうな

アーチュレッタのテイクダウンもすごかった、前半の押し倒すダブルレッグから後半でら引き倒すスタイルに変わっていて、テイクダウンの種類の多さに驚いた、終盤のゼロ距離の組合いからの飛び膝とか、その場に応じた閃き的な打撃のセンス。

うーん、振り返れば振り返るほど色々とすごい、、そのすごい化け物たちに食らいついてあわやのところまでいったライジン勢の頑張りは半端なかった、けども底力のところでの差はなかなかあったのかもしれないな。フィジカルとシュチュエーションごとの手札の多さ、そこから来る落ち着き、相手へのプレッシャー、ベラトール勢みんながそこらで上回ってるように見えた大会だった。

それは堀口の言うように日本選手の技術の遅れなのか、大沢ケンジが言うように戦えるレベルまで日本の環境もきているのか、世界と戦ってみて日本MMAの特質も分かってくるように思うし、VS世界がなかったら見えてこない課題がたくさん見えた大会だったと思う。

大晦日といえば格闘技、大晦日といえばお祭りマッチメイクで今回それは無く、前半の試合はKO続出の盛り上がりから、対抗戦は日本勢全敗というリアルすぎるほどのリアルを目の当たりにして、盛り上がったのか盛り下がったのか一概には言えない感覚が胸に去来してきて噛み締めた。

僕は年越しも年明けもコロナの後遺症なのか倦怠と全身の痛みが抜けず、ふらふらしながら観戦し、この文も書いた、また去年のこと、今年のこと書いてみたいと思う。文を書くのは楽しいし、今年も書ける時に書いていきたいと思う。

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