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海の宝石箱?

先日とあるお店の海鮮丼を食べようと行ったところランチはやっておらず、近くにあったお寿司屋さんの看板にひかれて入ることにした。

手書きの看板には、本日海鮮丼あります!”海の宝石箱”1500円・・と。

お寿司屋さんならネタはいいに違いないと期待しつつ、戸をガラガラと開ける。カウンターの奥にはご年配の3人様。

大将はスラリと背の高い白髪の70代くらいの方で、黒縁メガネをかけている。寿司屋の大将というよりは物書きという雰囲気。包丁より万年筆が似合いそうだ。

奥の3名様も海鮮丼を頼んだようで、大将が会話をしながら盛り付けている。「今の時期は赤貝とか貝類がないんですよぉ。アワビくらいでぇ」えっ、アワビが入っちゃうの?それで1500円?「あと、いくらもこの時期なくてねぇ」そうなんだー、大概のお寿司屋さんには年中あるが??きっと旬のものを使っているんだろう・・と、さらに期待しつつ待つ。

「今日は20種類くらいのネタが入ってます!」と言って、3人の前に海鮮丼が出された。美味しいと言って食べている。そして大将は私の海鮮丼にとりかかった。

ネタは寿司屋によくあるガラスケースではなく、年季の入った木箱に入れられていた。そこから取り出し、ひと切れずつ切っていく。よく見ると店内は古いというものあって、清潔感には欠けている。カウンターの奥に見える使っていなそうな流しには謎の黒い物体が!!見なかったことにしよう。。

待つこと10分、海鮮丼が来た。海の宝石箱には・・見えない。一口食べる。ん?このお刺身傷んでる?いや、奥の方達は美味しいと言っている。私の口がおかしいのか?今度は卵焼きを食べてみる。こんなにおいしくない卵焼きは初めてだ!

以前、おいしくないと言ったらいけないと言われたことを思い出した。おいしい、おいしくないは人によって違うのだから、私の口には合わないとか好きな味ではないと言いなさいと。しかし、このお刺身のおいしくなさは命の危険さえ感じるレベルだ。以前アジのなめろうで食中毒を起こした時の記憶が蘇ってきた。それでも食べられそうなマグロやコハダを食べた。やはりおいしくない。木箱の匂いがうつっていて、白身魚やイカに至っては、呑み込めない。というか吐き気がしてきた!最早ごはんしか食べられない。それを見ていた大将が「ごはん多かったら残していいですからね」と。いや、ごはん以外無理なんですーと心の中で叫んだ。

すると、1匹のコバエが刺身にとまったのが見えた!もう、無理です。ごめんなさい。「すみません、お腹いっぱいで、残しちゃってごめんさい」と謝って、デザートのアイスクリームも断ってお店を出た。

当分お刺身も食べたくないくらい、ある意味衝撃的な海鮮丼だった。そして人の味覚とは、こうも違うものかと実感したのでした!

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