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陸・海・空の機体混在の基地と沖縄らしさ。那覇基地で美ら島エアーフェスタ2023

2023年12月、航空自衛隊那覇基地で美ら島エアーフェスタが開催された。
HPによればこの基地は南西防衛区域における唯一の航空基地として
重要な役割を果たしているという。一言で南西防衛区域といっても、
沖縄本島から尖閣諸島や与那国島といった南西諸島、その先は台湾、さらに台湾海峡と、防衛区域がそのまま国際情勢に接しているだけに事あるごとに緊張が走るといっても過言ではない。
さらに島しょ部がほとんどとあって、防衛任務では、孤立無援になる危険性も排除できない。そうしたことを反映してだろう、那覇基地には航空自衛隊の13個の部隊等のほか、陸上自衛隊第15ヘリコプター隊及び
海上自衛隊第5航空群という陸海空自衛隊の機体が混在する特色がある。

海上自衛隊のP-3Cを先頭に航空自衛隊のF-15とT-4の編隊が続く。合同飛行は基地の特色を反映したものだ。

航空祭ではそうした特色を生かしてそれぞれの自衛隊の航空機による
合同飛行が行われた。写真は海自と空自、このほか陸自のCH-47Jと空自のUH-60Jの合同飛行も披露された。

空港部分は官民共用、航空祭参加機のすぐ後ろを民間機がタキシングする。那覇空港は離発着が多いことや安全を求められたこともあり、民間機最優先での航空祭となった。

空港部分は官民共用の空港のため航空祭では、展示飛行をするブルーインパルスやF-15などのすぐ後ろを民間の旅客機がタキシングする場面も多く、官民ともに「お手ふり」でエールの交換をする場面も見られる。
また、ブルーインパルスの展示飛行においては安全性と民間機優先の立場から曲技飛行を次々披露するというよりは、十分「間合い」をとることになった。なお、本島での展示飛行は今回が”初”とのことだ。

空港運営や周辺の安全確保もあり、基地上空というよりは海上での展示飛行となった模様。

ブルーインパルスの展示飛行の「間合い」については、民間機優先で安全第一と思えば当然であるが、他の航空祭のように次々繰り出す、というものではない。「しばらくお待ちください」という案内が流れると、「なかなか来ないねえ。焼きそば食べようか」といって一家族、私のカメラの前で座り込んでピクニック状態となった。急ぐことはない、始まったらまた見れば良い、のどかさに沖縄流を感じずにはいられなかった。こんな場面でもせっかちにならない時間の流れ。見習いたい。

サンライズも水平方向への散開と思いきや1番機だけは一気に上昇したように見えた。サンライズも色々なパターンがあるので珍しいことではなかったのかもしれないが、1番機の航跡の伸び方はいつもと違ったように見えた・・・。

HPによれば那覇基地司令は、第9航空団司令が兼務し、この第9航空団はF-15戦闘機による防空任務、T-4練習機による各種支援飛行などを行っていて
航空祭ではF-15とE-2C早期警戒機によるデモスクランブルでも注目を集めた。

2機のF-15が機動飛行を披露、ハイレートクライムに続き左急旋回を決めた。手前はC-2輸送機の垂直尾翼。因幡の白兎のマークは美保基地所属機か。

陸自からは唯一の固定翼機と紹介されたLR−2も展示飛行に参加した。

なぜか着陸後の写真しか残っていなかったLR-2。こりゃいかん。

沖縄流は陸・海・空の合同飛行ばかりではなく、記念塗装も、ご覧の通り、シーサーとハイビスカス、そして美ら海が描かれていた。そして「最強」の文言が目を引く。

この航空祭の雰囲気を考えると「最強」と書いて「ナンクルナイサ」と読むのではないだろうか。その心持ちこそ、今の世の中「最強」だ。

一方、航空祭と直接的なかかわりはないが、北朝鮮のミサイル問題の対処などもあり、我が国に向かってくる航空機や弾道ミサイルなどをペトリオットミサイルで破壊することを主な任務とする南西高射群もある。
防衛に力点を置くことで、基地の増設・増強が進められ、各基地の要塞化が進んでいるとの指摘もある。航空祭への入口となった基地の門の向かい側で基地を厳しく見ている市民の声もあった。
米軍の基地問題もあり、いくら航空祭といえども厳しい目が注がれる。

基地の”祭”は自衛隊と住民との重要な接点である。


地理的に国際情勢に近接するだけに即応力が求められる中、
こうした地域の声にどうこたえていくか、難しい立場であることは否めない。だからこそ航空自衛隊はこうしたイベントやブルーインパルスの展示などを通して活動への理解をさらに深めていきたい考えだ。

民間機とブルーインパルス、P-3C、E-2C

そうした想いを強く印象づけたのが、展示飛行が全て終わった後行われた那覇基地エイサー部による演舞だった。

那覇基地らしく沖縄流を最後まで通した航空祭。難しい立場であるからこそ、相互理解の努力を絶やすわけにはいかないのである。

参考


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