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#FUNKMANGAを描くイラストレーター/ライター。ジェームスブラウンをサンプリングしたマンガ「ファンキー社長」→funky-president.com「今日から使えるヒップホップ用語集」発売中→amzn.to/2Wk9rMf

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  • コラム(音楽や生活など)

    音楽コラムや暮らし、人生、社会課題などについてのコラムを書いています。

  • ファンクマンガ #FUNKMANGA

    ヒップホップ、ソウル、ファンクのアーティストを題材にしたマンガです。

  • マンガ「ファンキー社長」

    ソウルの帝王ジェイムズ・ブラウンをサンプリングしたファンク漫画です。読むだけでジェイムズ・ブラウンのことがある程度わかります。

  • ニューヨークの日々

    ニューヨークに1年滞在したときの日記や回想記をまとめました。

  • ハイスクール!ディガー

    高校生カップルのお話をメインにしたマンガ集です。たまに番外編とか全然関係ないマンガも載せます。

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「モラルがない」と断じる前に

5月25日、ミネソタ州のミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイド氏が白人警官に8分以上もの間、首を膝で制圧されて呼吸ができず殺害される事件が起きた。 事件の動画は瞬く間に拡散され、各地で抗議のデモが起きた。ミネアポリスを発端に、わずか数日の間にデモは暴動や略奪に発展し、全米各地に広がりつつある。 私が見に行ったブルックリンのバークレーセンターでは200人ほどが逮捕されたらしい。 日本でもこれらのニュースは大きく報道されているけど、それに反応した日本人のツイートの中で

    • エモい

      言葉って面白い。 私はもともと「エモい」という、感情を揺さぶられるとか情緒的であるとかの心の動きをインスタントに表現するこの新しい形容詞に抵抗があって、自分で使うことはなかった。 だけどそれが広く浸透し、何万の人々によって使われ続けるうち、「エモい」は元来の意味だけでなく、空虚さや、経済的に成熟した社会ならではの退廃性をまとった言葉に変わってきたように思う(しかも使っている本人たちがそのことに自覚的ではなく、それがまた空虚さを増していて、良い)。 今ならあえて使ってもい

      • 与太話202211

        本記事には下ネタが含まれているため、ご留意ください。 ・・・ 酒場のカウンターで隣に座った初老の男性が話していた。 話によると、男性の知人がずいぶん昔に、シリアを旅したらしい。 旅で彼が訪ねた先は保守的、排他的な地域で、誰からも訝しげな表情で見られ、会話しようとしても避けられて相手にされなかったのだそうだ。 かなり心が荒んできたところに、ある青年が声をかけてきた。 人懐こい笑顔を見せる青年に、彼は心を救われた。日本から来たことを話し、青年は興味深そうに聞いた。

        • 嘆きの宿命

          コロナ禍が収束したと思われていた時期のこと、家の近所にある、2席だけの小さな立ち飲み屋さんに初めて入った。 常連とおぼしき男性がひたすら喋っている。私はそれを無言で聞きながら頼んだお酒をチビチビ飲んでいた。 「一度でいいから、自分で決めた相手と結婚したいんだあ」 つぶやきシローみたいな、なんだか聞き慣れない訛りで男性がポツリ。 年の頃は50前後であろう。ほとんど白髪で染まっていながら整髪料でスタイリングされ清潔感のある短髪、浅黒く焼けた肌、がっしりと太い首や腕、総柄の

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          映画「サマー・オブ・ソウル」の興奮と熱狂と、ちょっとしたツッコミ

          8月27日(金)より、映画「サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)」が日本公開された。 ありがたいことにご厚意でオンライン試写会に招いてもらい、一足先に観た。 観る前からわかってはいたけど、やっぱり家の貧弱な再生環境では物足りない、絶対に映画館で観たい。そう思わずにはいられないパワフルなドキュメンタリーであった。 そう、こちらの映画はドキュメンタリー映像なんですね。 1969年にニューヨークのハーレムで開催された野外のお祭り「ハーレム・カルチ

          映画「サマー・オブ・ソウル」の興奮と熱狂と、ちょっとしたツッコミ

          AI「IN THE MIDDLE feat.三浦大知」お二人の楽曲への思いについて私が思ったこと

          歌手のAIさんが三浦大知さんを客演として「IN THE MIDDLE」というタイトルの楽曲をリリースするそうで、お二人の楽曲へ込めた思いが文章で公開されていた。 実は私も、全く同じタイトルで、文章なりZINEなりを作ろうと思っていた。具体的には何も進んでなくて単なる構想にすぎないのだけれど。 由来は、大好きなJames Brownの「IN THE MIDDLE」という1968年〜69年の楽曲から。歌詞のないインストゥルメンタル曲で、この曲に関する本人のインタビューは探した

          AI「IN THE MIDDLE feat.三浦大知」お二人の楽曲への思いについて私が思ったこと

          永久に知ることのできない味噌ラーメンの味

          今から33年ほど前のことじゃった。 私のふるさと福岡県は、今でこそさまざまなラーメン屋が軒を連ねているが、当時はラーメンといえばとんこつをおいて他になかった。 私が生まれ育った田舎町も例外ではなく、実家の近所の香龍園、塾の帰りの天龍軒、バス停の前の長浜ラーメン、高校の近くの薩摩ラーメン、すべからくとんこつラーメンであった。 そんな中、異彩を放つラーメン屋が1店舗だけあった。 実家から車で10分のところに、「味噌ラーメン屋」が存在したのだ。 ※土地勘のある方向けに言う

          永久に知ることのできない味噌ラーメンの味

          「ブルースだってただの唄」最近読んだ本

          今にして思えば完全に偏見でしかないのだけど、初めてアメリカ南部(ジョージア州とテネシー州)に行くまで、私はアフリカ系アメリカ人の方々を特別視していた。 ラップや映画を嗜む過程で、アフリカ系アメリカ人は自らの権利を取り戻すために高い意識や強い言葉を持っているのが普通、みたいな先入観ができあがっていたんだと思う。たとえばそれは、黒人はみんなラップやダンスが好きとか運動神経がいいとか陽気だとか、そういうのと同じ類の偏った思い込みだった。 しかし実際に南部をウロウロして出会った人

          「ブルースだってただの唄」最近読んだ本

          マンガ「お酒を飲むならニューヨークスタイルで」

          マンガ「お酒を飲むならニューヨークスタイルで」

          マンガ「ファンキー社長と緊急事態宣言」

          マンガ「ファンキー社長と緊急事態宣言」

          突発性なので当然なんだけど、ある日突然、突発性難聴になった

          今年の2月末、本を読んでいたら左耳のほうでキーンと耳鳴りがした。 まあ耳鳴りなんて珍しいことじゃないので気にせずに読書にふけっていると、1時間ほど経過しても依然、止まない。 ところで、周辺が静かすぎると、何も音が鳴ってなくても耳鳴りのような音が聴こえる気がする……なんてこと、ありませんか? 「静寂の音」とでも言いますか。 今回の耳鳴りもそれかしらと思って、キーンと鳴っている左耳を押さえてみたら、右耳で拾う世界は静寂そのもので何の音もしない。 反対に右耳を押さえてみると

          突発性なので当然なんだけど、ある日突然、突発性難聴になった

          マンガ「ファンキー社長の無観客ライブ生中継」

          1968年4月、キング牧師が暗殺され全米で暴動が起こる中、公民権運動にも参画していたソウル歌手のジェイムズ・ブラウンは、ボストンでライブを開催するために滞在しているところだった。 このままではボストンでも暴動が起こる。そう懸念したボストン市長は、ジェイムズ・ブラウンにライブの中止を要請した。 しかしジェイムズ・ブラウンはこれに反論。「ライブをやめれば余計に人々の感情は高ぶり、暴動につながる。ライブは予定通り開催する。そしてそれを、市民が家でテレビで観られるように生放送

          マンガ「ファンキー社長の無観客ライブ生中継」

          最近やっと音楽が聴けるようになったので、良かった曲を挙げ連ねてみる

          前にも書いたかもしれないけど、昨年住んでいたニューヨークでロックダウンが始まったとき「音楽を聴く時間がたっぷりできたかもな」なんて思っていたら、裏腹にどんどん音楽が聴けなくなった。具体的には、音楽を流しても違いがよくわからずどれも同じに聴こえてしまう、あるいは少しうるさく感じて止めてしまう、という状態になった。 それからずいぶん経ったけど、今年になってようやく音楽がまた楽しく聴けるようになってきたので、最近感動した楽曲を新旧問わずに挙げ連ねていきたい。 『CITY』 -

          最近やっと音楽が聴けるようになったので、良かった曲を挙げ連ねてみる

          最近読んだ本「ぼく自身のノオト」

          ふだん読む本はけっこうシリアスなのとか新書とかが多くて、たまには優しい本が読みて〜〜……と思ったので年末に知ってから欲しかったこれを買って途中まで読んだ。 中学とか高校の頃、スクールカーストに精神を支配されて自分の人間性を受け止めきれず、ひたすら周囲にアジャストしようとジタバタしていた若き日の自分に読ませたい。まあ、あの頃は読んでもなにも感じなかったかもしんないけど。 37歳の私が読むと、そうやって昔の自分を慰めたくなるような気持ちになりつつ、だけどいろいろ上手く行かなか

          最近読んだ本「ぼく自身のノオト」

          暴力が嫌いだから

          身長167cm、体重52kg。私の体型である。 軽、と思われたのではないだろうか。産まれたときは2550gで、あと50g軽ければ低出生体重児(当時は未熟児といわれていた)に認定されていた。親は産まれてきた私を見て「手羽先かと思った」という。 そんな感じで体が弱いせいか、痛みを伴う物事が嫌いだった。いや、今も嫌い。転んで擦りむくことやら、叩かれることやら、足を攣ることやら、タイ古式マッサージやら、すべてが激しく嫌いである。 痛みに対して強烈なリアクションを取るため、幼いこ

          暴力が嫌いだから

          Mさん(女性・21歳・都内在住)の話

          「もちろんいじめられたこともありますよ、ハーフだってことで。 父がガーナ人で、お母さんは日本人。だけど私は父のこと超嫌いで、親だと思ったこともないです。普通に嫌なヤツなんですよ。 父がお母さんと出会ったときにはガーナ人だってこと隠してフランスから来たって言ってたらしくて、結婚する手続きの過程で判明したって聞いてます。 やっぱり、当時は親族からすごく反対されたみたいです。黒人の子を産むなんて、って。でも母が妊娠したのが30代半ばで、年齢とかいろいろ考えて結婚したって。

          Mさん(女性・21歳・都内在住)の話