糸賀 太

ヒロイックファンタジーが好き!1930-80年代の英米ファンタジーをおもに読んでいて、…

糸賀 太

ヒロイックファンタジーが好き!1930-80年代の英米ファンタジーをおもに読んでいて、読書感想文を書いたりしてます。twitter@FT_SF_4_SALE 連絡先futoshiitoga(at)gmail.com

マガジン

  • フリッツ・ライバー宛、片思い感想文

    フリッツ・ライバーという作家が好きで、1〜3ヶ月に一回、彼の作品について書いてます。既訳および未訳作品へのネタバレを含む言及もあります。

  • 読書感想文ほか

    ファンタジーやSF(いずれも広義の意味での)の感想文です。 Photo at header by NordWood Themes on Unsplash https://unsplash.com/photos/ivP3TYdLvw0

  • ヒロイックファンタジー 王になりたい!兄弟が邪魔!(以下略

    【短編小説】ヒロイック・ファンタジー+騎馬遊牧民。いずれは敵同士となる定めの星の下に生まれた、王子達が織りなす剣と魔法の冒険譚。「王になりたい!兄弟が邪魔!でも味方がいないから同盟する」と、いう長い名前がマガジンタイトルに収まらないので省略してます。 Photo at header by Possessed Photography on Unsplash https://unsplash.com/photos/_E1PQXKUkMw

  • 古典文学×ヒロイックファンタジー

    古典文学×ヒロイックファンタジー=新しい時代 古典文学に題材をとった作品のマガジン Photo by Artem Sapegin on Unsplash https://unsplash.com/photos/TBw3iQGdwbg

  • Planescape:Torment(ほかAD&D系ゲーム

最近の記事

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白馬と盗賊のニューヨーク【読書感想文】

盗賊と馬が出ればヒロイックファンタジー、たとえNYが舞台でも。と、いうのは言いすぎかもですがヘルプリンの『ウィンターズ・テイル』はヒロイックファンタジー(剣と魔法、Sword & Sorcery)好きとして大満足でした。 この作品を読みましたマーク・ヘルプリン 岩原明子訳『ウィンターズ・テイル』上下、早川書房、2014の電子版(ハヤカワ文庫epi)、原書は1983年、同訳者によるハヤカワ文庫FT版は1987年。 本作はニューヨーク(市)を舞台に、19世紀末から約100年に

    • 推しから推しの推しへ 読書感想文

      フリッツ・ライバーの小説に出るヒロインは涼宮ハルヒが気に入りそうな者たちが多い。(たぶん既に誰かが言ってる) 本から本へわたりあるくイメージにあうとおもい、ヘッダー画像をお借りしました。この場を借りて御礼申し上げます。 まえがきシェイクスピア俳優の息子が書いた小説に「ジョン王」らしさが混ざってました。たぶん偶然なんですが、その小説の名は「クォーモールの王族」(フリッツ・ライバー著、浅倉久志訳『妖魔と二剣士』所収)といいます。 一種のPR広告ということでフリマアプリのアフ

      • 【ネタバレ有】音楽好きじゃない?『鑑識レコード倶楽部』のこと

        レコード倶楽部に所属しているのに音楽好きじゃない、と非難されてしまった主人公はどんな奴なのか?と考えつつ『鑑識レコード倶楽部』について語ってます。 レコードつながりでヘッダー画像をお借りしました。この場をかりてお礼申し上げます。 この作品を読みましたマグナス・ミルズ 著 柴田元幸 訳, 鑑識レコード倶楽部, 2022, アルテスパブリッシング, (諸事情でkindle版を購入) 原題はThe Forensic Records Society, ハードカバー版が2017年

        • 語りの名人クラウディウス

          クラウディウス帝を描いた歴史小説から、フリッツ・ライバーの「クォーモールの王族」らしさを感じ取れた。 ヘッダー画像:UnsplashのJohannes Beilharzが撮影した写真 この記事は古代ローマの小説について書いているので、ローマから南にいったところの海岸の写真をヘッダーとしました。Thank you. この作品を読みましたロバート・グレーヴズ著, 多田智満子・赤井敏夫訳, 『この私、クラウディウス』, みすず書房, 2001, 原著は1934年にニューヨークと

        • 固定された記事

        白馬と盗賊のニューヨーク【読書感想文】

        マガジン

        • フリッツ・ライバー宛、片思い感想文
          17本
        • 読書感想文ほか
          37本
        • ヒロイックファンタジー 王になりたい!兄弟が邪魔!(以下略
          13本
        • 古典文学×ヒロイックファンタジー
          4本
        • Planescape:Torment(ほかAD&D系ゲーム
          3本
        • まとめ:逆噴射小説大賞 出品作
          8本

        記事

          登場人物の性別が想像と違っていたこと

          シールバに性別を含意する単語が使われていて驚いた。フリッツ・ライバーの未訳短編小説「The Curse of the Smalls and Stars」(ファファードアンドグレイマウザーのうち一作)を読んでいたら、シールバの性別が書いてあったのだ。 (この場を借りてヘッダー写真の撮影者さんに御礼申し上げます。上述の小説の登場人物の描写、および描写から私が想像したイメージは、影絵のようなものなので、こちらのモノクロ写真をお借りしました) ちょっと深呼吸。本記事の趣旨は、翻訳

          登場人物の性別が想像と違っていたこと

          ありがたや、冬の王三部作が完結 読書感想文

          14世紀のルーシが舞台で、けなげな魔女やきえかけの精霊たちの歴史ファンタジーを読みました。 冬の炉端で活字に触れるというイメージに胸を打たれ、ヘッダー画像をお借りしました。この場を借りて御礼申し上げます。 この作品を読みました冬の王三部作は『熊と小夜啼鳥』『塔の少女』『魔女の冬』からなる小説です。 原著はそれぞれ2017,2018, 2019年に出版されていて、翻訳は一作目が2022年、二、三作目は2023年に出版されました。著者はキャサリン・アーデンという方で、訳者は

          ありがたや、冬の王三部作が完結 読書感想文

          『塔の少女』(キャサリン・アーデン著、金原瑞人、野沢佳織訳、東京創元社、2023)を読みすすめてます。続編『魔女の冬』も無事に出版され、つまり三部作が全部刊行されたわけで(それもわずか1年で)、別のシリーズにおいて続編未訳で歯噛みしたことのある身としては、大変ありがたいことです。

          『塔の少女』(キャサリン・アーデン著、金原瑞人、野沢佳織訳、東京創元社、2023)を読みすすめてます。続編『魔女の冬』も無事に出版され、つまり三部作が全部刊行されたわけで(それもわずか1年で)、別のシリーズにおいて続編未訳で歯噛みしたことのある身としては、大変ありがたいことです。

          そのドクターは信用できる?【読書感想文】

          新しい作風を浴びるのは気持ちがいい。そう思える読書体験ができました。 この作品を読みましたエマ・トルジュ 田辺千幸訳「はじまりの歯」(『SFマガジン』2023年4月号、早川書房) (ヘッダー画像は作品の主題ーー次の世代ーーに合わせてお借りいたしました。この場を借りて御礼申し上げます) SFマガジン解説によると初出はLightspeed誌(2018年6月)。英語なら無料で読めるのだが、本記事の筆者は英語が駄目なので日本語訳で読んだ。翻訳というのは本当にありがたいのです。

          そのドクターは信用できる?【読書感想文】

          泡で頭を使う。シャンプー、否ベーコンの話。

          「世界は泡」で始まるフランシス・ベーコンの詩が、おなじく世界を泡と表現※した作家フリッツ・ライバーの好みに合いそうだなと思って読んでみた。 ※『ランクマーの二剣士』(東京創元社)の153pおよび410pに、世界を泡とする表現があります。 ヘッダー画像は泡つながり、そしてお酒とは腐れ縁の仲であるフリッツ・ライバーにちなんで、お借りしました。この場を借りて御礼申し上げます。 詩の原文出典はこちら。PDFのページ数でいうと136 / 397ページ目です。 拙訳勢いあまって、

          泡で頭を使う。シャンプー、否ベーコンの話。

          フリッツ・ライバーによるチェス✕ホームズものThe Moriarty Gambit読了(The Game is Afoot所収)。記述式の棋譜をペンで指し、チェス駒として将棋の駒を指し、棋譜を読み間違え、キャスリングを間違え、やっと劇中の対決を再現した。読書とは相互行為かも。

          フリッツ・ライバーによるチェス✕ホームズものThe Moriarty Gambit読了(The Game is Afoot所収)。記述式の棋譜をペンで指し、チェス駒として将棋の駒を指し、棋譜を読み間違え、キャスリングを間違え、やっと劇中の対決を再現した。読書とは相互行為かも。

          『イラク水滸伝』がエルリックに繋がった喜び【読書感想文】

          新刊ノンフィクションを読んだら、60年代ファンタジーを新しく楽しむことができました。 この作品を読みました高野秀行, 『イラク水滸伝』, 2023, 文藝春秋  この本は、高野秀行さんが、2018、2019、2022年の3回にわたってイラク南東部にある湿地帯を取材した記録をまとめた本です。  ヘッダー画像は、本と本が繋がるイメージとしてお借りしました。この場を借りて御礼申し上げます。 あらすじ(構成) 全8章で、第1〜3章が2018年の取材に、第5章が2019年、第6

          『イラク水滸伝』がエルリックに繋がった喜び【読書感想文】

          ぐるぐるまわるは質屋さん『ジャーゲン』【読書感想文】

          身も固めて地に足をつけてる質屋さんが、地に足をつけてる人間なら絶対にしないような冒険へと放り出されてしまう小説を読みました。 そんな不思議な作風に寄りそうと感じて、ヘッダー画像を使わせていただきました。この場を借りて御礼申し上げます。 この作品を読みましたジェイムズ・ブランチ・キャベル著, 中野善夫訳, 『ジャーゲン《マニュエル伝》』, 2019, 国書刊行会。原著は1919年刊行。 一言でいうならファンタジー小説なのですが、2019年初版の帯には「こんなのファンタジイ

          ぐるぐるまわるは質屋さん『ジャーゲン』【読書感想文】

          Crusader Kings3にドハマリして読書リズムが狂った。キャベルの『ジャーゲン』(国書刊行会)の(いい意味で)なんちゃって中世と、CK3※の愛と政は別々よなって感をシナジーさせて新たなリズムを作りたい。※9-15世紀の欧州(から中央アジア)舞台のストラテジーゲーム。

          Crusader Kings3にドハマリして読書リズムが狂った。キャベルの『ジャーゲン』(国書刊行会)の(いい意味で)なんちゃって中世と、CK3※の愛と政は別々よなって感をシナジーさせて新たなリズムを作りたい。※9-15世紀の欧州(から中央アジア)舞台のストラテジーゲーム。

          グレース・ホッパー伝記絵本に竜と妖精がでてきた【読書感想文】

          たとえ金貨の山の上に寝てなくても、ドラゴンに出会えて嬉しいときがあるのです。 この作品を読みましたローリー・ウォールマーク 文 ケイティ・ウー 絵 長友恵子 訳 『グレース・ホッパー プログラミングの女王』岩崎書店, 2019, 原著2017 プログラミングに画期的な変化をもたらした人物としてグレース・ホッパーを紹介する絵本で総ルビ。後述のように、ふだん絵本を読まない人にも訴えかけるところがある本です。 文のローリー・ウォールマークはディファレンス・エンジンでお馴染み

          グレース・ホッパー伝記絵本に竜と妖精がでてきた【読書感想文】

          ロキと穴掘りとダウジング【読書感想文】

          地の底へ引きずり込まれた相棒を救う手段は、必ずしも魔法じゃなくても、剣じゃなくても良いらしい。 この作品を読みましたFritz Leiber "Mouser Goes Below"(“The Knight and Knave of Swords”, ‎ Open Road Media, 2014に収録) Mouser Goes Belowはフリッツ・ライバー自身によるファファードアンドグレイマウザーもの(剣と魔法ジャンルの一つ)の最終話で、1988年の発表らしい。発表順で

          ロキと穴掘りとダウジング【読書感想文】

          アイアイだけど北の島【読書感想文】

          ファファードアンドグレイマウザーは人生 この作品を読みましたFritz Leiber, Rime Isle (Swords and Ice Magic, Open Road Integrated Media, 2014所収) (アイスランドのような島が舞台の小説についての読書感想文のため、アイスランドの写真をお借りしました。この場を借りて御礼申し上げます) Rime Isleは『ランクマーの二剣士』の訳者あとがきで、浅倉久志先生が氷の魔法の二剣士として紹介なさっていた本

          アイアイだけど北の島【読書感想文】