見出し画像

0912:「健康茶にステロイド剤」事件と行政の商品テストの限界

私たちの生活を巡る様々なリスクを注意喚起してくれる、国民生活センターの報道発表。今日の「花粉症への効果をほのめかした健康茶にステロイドが含有-飲用されている方は、医療機関にご相談を-」はまた衝撃的でマスコミ各社もすぐに報道に取り上げている。

花粉症に効くという健康茶。私もそうだが花粉症に悩まされている人は多く、こういう謳い文句には飛びつきたくなる。で、消費者問題目線ではまず誇大広告(実際には効かない「有利誤認」)を警戒するところだが、実際劇的に効いたようだ。凄いやん。ところがお医者さんが薬を調べたところ、医薬品であるステロイド剤の成分が検出された。そりゃあ効くわけだ。医薬品だもの。みつを。違う、食品に薬剤を混入させていいわけないじゃん! というわけで健康被害の恐れのある大事件なわけだ。

健康食品は巨大ビジネスだ。誰もが健康に不安を抱え、その不安を癒やしてくれるものに手を伸ばす。中には誇大広告や逆に健康被害をもたらすものもある。そこでトクホという国の基準(国の事前チェックあり)が作られたのだが、これはかなり厳しいらしい。そこで業界がロビー活動を行い、機能性表示食品という抜け道(事前チェックなし)を作って、現在に至る。機能性表示食品制度が出来る際に私も消費者行政の中にいたけれど、トクホの制度趣旨をなし崩しにする新制度を多くの関係者は批判的に見ていた。

さて。今回の事件が明らかになったのは、検査を行った医師からの通報だ。「医師からの事故情報受付窓口」通称ドクターメール箱を通じて情報が寄せられたものだ。国センが追試を行って、今回の報道発表に繋がっている。

そもそも昭和の時代、商品テストは全国各地の消費生活センターの主要業務のひとつだった。花森安治『暮らしの手帖』がその火付け役で、その辺りの消息はNHK朝ドラ『とと姉ちゃん』が描いていた。

ところが平成に入り行政改革という名の予算&人員削減が進むと、自治体は次々と商品テストから手を引いた。私の自治体でもそうで、消費生活相談からテストがどうしても必要な時にはnite製品評価技術基盤機構など外部に依頼してテストしてもらっている。今ではおそらく一部の大きな自治体にしか残っていないのではないか。そして消費者行政における商品テストの最後の砦が、国民生活センターなわけだ。しかしそれとて人員・機材・予算の限界がある。

通常の健康食品はまあさておき。それ以外にも怪しげな食品はある。例えばエンターテインメント公務員小説「やくみん! お役所民族誌」第一話(31)(35)あたりで取り上げた次々販売のように、まっとうとはいえない会社の製品の成分が謳い文句どおりかどうかは謎だ。

しかし、食品の成分分析なんて、現在の行政にはとてもできない。悪質商法で売りつけられた食品を見る度に、成分が表示と違うことを突き止めれば摘発は早いのにと、いつももどかしく思っていた。

ドクターメール箱は、そのようなもどかしい状況の中で国センが設けた命綱のようなものかも知れない。今回はそれがこうして功を奏したということなのだろう、なんてことを今回の事件から感じた次第。

--------以下noteの平常日記要素

■本日のやくみん進捗
カクヨムで第一話(43)公開。うーん、場面の意味合いとしては第一話のクライマックスの筈なのだけれど、だらだらと電話の会話が続いて、うーん。電話は電話でいいんだよ。でも今は単にリアルっぽいだけで、読んでいて起伏がない。何かもっと情感を動かす表現ができないものか。結局今回はテコ入れ出来ず。まあ第一話を最後までアップした後で、あらためて調整しよう。

■本日の司法書士試験勉強ラーニングログ
【累積327h35m/合格目安3,000時間まであと2,673時間】
講義動画流し聴き、勉強時間に含めず。

■本日摂取したオタク成分
『映画版賭ケグルイ』アニメで観てない話とキャラなのでオリジナルなのかな? うん、オリキャラの天才感なかなかいいじゃない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?