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0475:成年年齢引き下げ

 今年4月1日、改正民法第4条の施行により、いよいよ成年年齢が20歳から18歳に引き下げられる。

 なぜ「人が成人する年齢」を法律で定めるのか。それは、未成年者を制限行為能力者と位置づけ、強力な法的保護を付与するためだ。今回の成年年齢引き下げにより、これまで保護されていた18-19歳の保護が外れることから、この世代が今後マルチ商法や悪質商法の狩り場となることが懸念されてきた。このことは過去記事で幾度か触れている。

 成年年齢引き下げ秒読み段階の今、政府広報オンラインに強力な広報素材が登場した。東京リベンジャーズとコラボした、かなり力の入ったサイトだ。

、広報所管は法務省、消費者庁、金融庁、文部科学省の4省庁。法務省は、今回の改正民法を所管する、本件の中心省庁だ。消費者庁は悪質商法被害の防止をミッションとする。若年層にクレジットカードなどの利用が広がることから金融庁も参加。若年層に対して悪質商法被害防止だけでなく法律行為の主体、社会の中で自立する個人として総合的に教育を行う必要から文部科学省の役割も大きい。そこでこの4省庁が関わるわけだ。

 明治29(1896)年の民法制定当初から100年以上日本では20歳をもって成年と定めていた。それを18歳に変更する改正民法は平成30年成立だが、その流れは平成19年に国民投票法制定に際して18歳以上としたことに端を発する。その時点で民法の成年年齢引き下げが俎上に上り、平成21年に法制審議会答申で方針決定された。その辺りの経緯は以下に簡潔にまとめられている。

■内田亜也子「民法の成年年齢引下げの意義と課題―未来を担う若年者の自立への期待と新たな支援対策の必要性―」
https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2017pdf/20171201064.pdf

 法制審答申から改正民法まで9年もかかったのには理由がある。法制審の議論では若年層への消費者被害の拡大が強く懸念され、それを予防するための体制整備が前提条件とされたのだ(だから、消費者被害防止に尽力する弁護士会代表は法制審で最後まで改正反対を主張していたと、当時の法制審メンバーから直接おうかがいした)。その一定程度の整備に時間がかかった、というわけだ。

 その条件整備のひとつが、平成24年制定の消費者教育推進法だ。私はその前後の数年間(時期はぼかしておく)某県担当者として励んだが、思うようには進まなかった。成年年齢引き下げの日程が定まった後、消費者庁は関連対応施策に力を入れたが、これも必ずしもスムースに進んだとはいえない。詳しくは今は述べない。

 今回の東京リベンジャーズとのコラボ広報は、おそらくこれまでのどの広報よりも、若者自身への訴求力がある。今後の展開を応援したい。

 なお、消費生活センターを舞台にした公務員小説「やくみん! お役所民族誌」では、第2話から主人公・香守みなもが澄舞県の広報啓発担当職員として活躍する。もちろん、そう簡単にうまくはいかない。そこには「消費者教育」ということの原理的な困難があるからだ。私自身の経験や消費者庁・全国自治体の広報の成功も失敗も参考にしながら、執筆を進めたい。

--------(以下noteの平常日記要素)

■本日の司法書士試験勉強ラーニングログ
【累積192h57m/合格目安3,000時間まであと2,808時間】
ノー勉強デー三日目。悔いは無い、「やくみん!」執筆は進んでいるよ。

■本日摂取したオタク成分(オタキングログ)
『刀語』第2話、軽妙で魅力的だなあ。西尾維新は読んだことがないし、アニメ版もきちんと観たものは限られる。いつか小説も読んでみたい。『鬼滅の刃 遊郭編』第5話、なんだろう、今回はひたすら戦闘で微妙に飽きが来た。堕姫の戦闘中の解説も(原作もそうだったのだろうけれど)ちょっと不自然感が。『最果てのパラディン』第11話、第一期ラストに向けて一旦落とす、というところか。

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