お金の価値は親になって初めてわかった。 子供の頃、お小遣いは“当たり前”だった。少ないとさえ思っていた。 習い事は“当たり前”だった。習わさせられてる感覚だった。 お年玉は“当たり前”だった。今年はいくらか予想していた。 旅行は“当たり前”だった。 レストランでの食事も“当たり前”だった。 高校も“当たり前”だった。 大学も“当たり前”だった。 下宿代も“当たり前”だった。 仕送りも“当たり前”だった。 全部“当たり前”だった。 社会人になって大人になっ
何もなせぬ。 ただ、生きた。 やりたいことはあった。 でもやらなかった。 追いたい理想はあった。 でも追わなかった。 流れるままに流れ、 行き着くままに行き着いた。 ここは別に心地がいい。 私はここで納得している。 ただ、ふと思う。 あの時、しなかった努力をしていれば、 あの時、苦しくても続けていれば、 私は、すごい人間になれただろうか。 この床に積まれている幾多の参考書や啓発本を やりきっていたならば、 私は誰からも尊敬される人間になっていた
ひとつ、嘘をついた。 つこうと思ったわけじゃない。 何気ない会話の中で ありふれた話の中で 気がつかないうちに口からでていた。 嘘 その嘘は確かに守っていた。 心の奥の小さなプライドを。 その嘘はきれいに隠していた。 他人に見せない醜い自分を。 あぁ、今日も嘘が積み重なっていく。 目の前の人は今日も話しかけてくる。 とても大きく 立派な 嘘の壁に。
