2024前半|かわいいみかんじゃない、J2に怖さを見せつけた縦パスサッカー|愛媛FCの解説

あしたのファジアーノ岡山の試合を「もっと楽しむ」ために、対戦相手についても知っておこう、という思いで開設したnoteです。

対戦相手の押さえておきたいポイントについて、サッカー素人がふんわりとした内容で解説いたします。

有料設定ですが、最後まで無料でごらんいただけるので、なんとなく愛媛FCについて知った気分になってみましょう。

第7節 仙台 vs 愛媛の試合から愛媛FCの特徴をまとめました。


愛媛FCの歴史と今年の状況

1970年に松山東高校OBによる「松山サッカークラブ」として誕生したクラブチームは、JFL昇格を目指した1996年に「愛媛フットボールクラブ」となった。

クラブ名は本拠地である「愛媛」をそのまま名乗っている。

マスコットは、「オ〜レくん」「たま媛ちゃん」「伊予柑太」だ。みかんをモチーフにした3人だが、伊予柑太の見た目はかなり怖い。しかし、B2リーグに1日FA移籍するほど精力的に働いているのが好印象だ。

2006年にJ2リーグに参加すると、2021年までJ2リーグに君臨して存在感を高めていた。2022-2023年こそJ3リーグに降格してしまったが、リバンドメンタリティで2024年より再びJ2に昇格している。

2023年の成績はJ3で21勝7敗10分と首位になった。2位と勝ち点11差をつける圧倒的な強さでJ2に昇格してきた。2022年のクラブ人件費は2億7400万円でJ2では14位の経営規模だ。

監督とは複数年契約を結ぶことが多く、「石丸清隆」監督は2013-2014年に就任した後、2022年に再就任して今年で連続3年目のシーズンである。2015-2016年には木山監督も就任していた。

2024年の成績は、4勝3敗1分でJ2の6位に位置し、前節はJ2の3位にいたベガルタ仙台に勝利して勢いにのっている。昨年のJ3ベストイレブンに輝いた、DF33小川大空、DF37森下怜哉、MF14谷本駿介、MF17茂木駿佑、FW10松田力も残留しており、チームの連携力も高い点に注意が必要だ。

スタメン選手は守備陣こそ固定するが、攻撃陣はあまり固定しない。主力選手をあえて後半から出場させることもある。

主な退団選手(同カテゴリ以上)

  • MF 木村 卓斗(レンタル)|J2 甲府(J1 横浜FM 所属)

  • FW  升掛 友護(レンタル)|J1 柏レイソル

J3に移籍した選手は複数いるが、J2以上のチームに移籍したのは選手はレンタル契約の選手だけだった。

主な入団選手(ベンチ入りメンバーのみ)

  • DF 19 尾崎 優成(レンタル)|J1 ヴィッセル神戸

  • MF 13 窪田 稜|J3 FC岐阜

  • MF 6 谷岡 昌|関西大学

  • MF 21 パク ゴヌ|K1(韓国)浦項スティーラース

バルセロナの親善試合にも出場したDF19尾崎やFC岐阜のMF13窪田など、新戦力が出場機会を得ている。

愛媛FCの特徴

横パスの少ない攻撃的な縦縦サッカー

愛媛FCのパスサッカーでは、相手を横にスライドさせる横パスはあまり使わない。縦にしっかりと戻す、前にも縦にしっかり出すことが徹底されていた。

パスを出す選手からは、2通り以上のパスコースができるように選手が立っており、パスを受けなかった選手はさらに前に出て、次のパスコースを作るために走っていた。運動量を求められるパスサッカーだ。

後半75分にハイプレスをかける選手交代

積極的に選手交代しており、後半開始時に選手を交代することも珍しくない。後半終盤に守備固めを入れることもあるが、交代枠のほとんどはCFやサイドハーフの攻撃的な選手に使っていた。

フレッシュな交代メンバーを入れることで、後半60分には落ちると言われているハイプレスの強度を終盤まで維持している。

4バックだが右SBにはCBの選手を配置

右SBの19尾崎はもともとはCB出身の若干20歳の選手だ。高さと脚の速さを武器に右サイドの攻撃を防ぎ切っていた。右SBから攻撃参加に加わることは少なく、守備的なポジションをキープしていた。突破は難しいだろう。

パワープレーにはやや弱い印象

CBは空中戦で圧勝できるタイプではない気がする。終盤にパワープレーを仕掛けられると、空中戦が得意な相手プレイヤーに競り負ける印象があった。そのため、終盤のセットプレーでの同点弾といった引き分け方もした試合もあった。

ファジアーノ岡山戦での注目ポイント

左サイドから19尾崎を抜けるか

4バックの右SBには高さと速さに強みを持つ守備的な選手を配置している。しかし、岡山の左サイドはドリブル突破に強みを持つ17末吉がおそらく出場するだろう。守備的なCB出身のSBを岡山が攻略できるか注目したい。

岡山のボランチは中央を支配できるか

愛媛の中央の選手は、守備に強い8深澤と攻撃に強い14谷本のコンビだ。対する岡山も、守備が得意な24藤田と攻撃が得意な14田部井、44仙波が出場するだろう。

どちらのチームも似たタイプのボランチ対決になるが、どちらが中盤を支配するのか注目だ。

空中戦の強みを岡山は活かせるか

岡山の空中戦は9グレイソンが圧倒的な強みを持つ。おそらく愛媛には9グレイソンに競り勝てる空中戦の覇者はいない(空中戦が得意な選手はいる)と思う。しかし、横浜FC戦では9グレイソンが空中戦で勝利してもパスはつながらなかった。

愛媛FCもおそらくセカンドボールの回収に動くと思うが、岡山は横浜FC戦の反省を生かしてボールを繋げられるか注目したい。

ファジアーノ岡山の注目選手

岡山の選手全員

もう全員が注目選手である。誰がスタメンかも僕程度では予想できない。ベンチ入りした選手も含めて「全岡山の選手に、注目せよ」。(手抜きではないぞ、本当だぞ、本当に手抜きじゃないんだぞ)

MF 8 ガブリエル シャビエル

試合に復帰して数試合が経過した。GX8が出場することによりチームに躍動感が生まれることは、もう既に証明されただろう。3連戦の最終節になるが、GX8は果たしてスタメンとして出場するのか、それとも後半からの起爆剤とするのか木山監督の選択にも注目だ。

愛媛FCの注目選手

MF 8 深澤 佑太

中盤に位置する14谷本と8深澤のコンビに注目だ。8深澤がボールを回収するとチームが一気に前へと走り出す。周りの選手と連携を始めるきっかけとなる8深澤のボール奪取には要注意だ。

MF 14 谷本 駿介

8深澤が奪ったボールを攻撃的に生かすのは、14谷本の仕事だ。CFの裏抜けを成功させる芸術的なスルーパスには気をつけなければならない。また、ミドルシュートでもゴールを決めている。14谷本のシュートにも注意だ。

MF 17 茂木 駿佑

17模擬は愛媛のプレスキックを務める選手だ。横浜FC戦では、岡山はセットプレーから3失点もしてしまった。おそらく愛媛FCも岡山の失点シーンを研究してくることだろう。

17茂木のプレスキックを岡山はきちんと跳ね返すことができるのか。横浜FC戦からわずか3日で解決することは難しい話だが、岡山の解決策をこの試合で示してほしい。

J2屈指の矛盾-ホコタテ-対決

愛媛FCの攻撃的なサッカーはJ2でも失点数の少ない仙台から今季のJ2唯一となる2得点を挙げているチームだ。一方の岡山は横浜FC戦で3失点してもなお、J2での最小失点数を誇る堅守のチームだ。

このホコタテ対決を制して、なお岡山の攻撃力を示す得点数での勝利もそろそろ期待したい。勢いにのる愛媛にも負けない勝負強さを見せてJ2首位の位置をキープだ。

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