「特定技能1号」に自動車(タクシ・・・
「特定技能1号」に自動車(タクシー・バス・トラック)運送業が追加されることになりました。
これに伴い、所官庁より当該資格に関する「運用方針」および「運用要領」が発表されています。興味のある方は、法務省のHPにぜひアクセスしてみてください。
「運用方針」によれば、5年後の自動車運送業における必要就業者数は約29万人。
今後、DXの進展や労働環境整備等による国内人材の追加的な確保によってしても、2万4,500人程度の不足が見込まれるという試算から、いよいよ外国人材の力を借りようというわけです。
特定技能は、一定の技能を有する人材に付与される資格ですから、タクシー、バス、トラックそれぞれの業務に必要な技能を有していることが付与の要件となります。
その要件とは、運転の技能と日本語の能力の2つです。
タクシー・ドライバーとして働く場合には、前提として、自動車運送業分野特定技能1号評価試験(タクシー)の合格と第二種運転免許の取得、並びに日本語能力試験(JLPT)でN3以上の合格が要件となります。
加えて、所属機関(タクシー会社)が実施する新任運転者研修の受講が必須とされています。
評価試験は、運行管理者などの指導監督の下で、所定レベルの諸々の運行業務を熟すことができるレベルにあることを確認するものですが、第二種運転免許の学科試験に準拠した内容を含むものとすることで、これに合格すれば、即戦力として働くために必要な知識や経験を有するものと認める立て付けです。
日本語能力試験のN3とは、「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる」レベルと定義されています。
「聞く」のスキルで云うと「日常的な場面でやや自然に近いスピードのまとまりのある会話を聞いて、話の具体的な内容を登場人物の関係などとあわせてほぼ理解できる」というレベル。「読む」のスキルで云うと「新聞の見出しなどから情報の概要をつかむことができる」くらいのレベル。
接客に必要な会話力を有することが求められると云うことなのでしょう。
ちなみに、バス・ドライバーの場合は同様にN3以上が、トラック・ドライバーの場合にはN4以上の合格が要件となっています。
そうした外国人材は、タクシー会社に運転手として採用され、雇用契約を結んだら、まずは、「特定活動」の在留資格で来日することになります。
期間は1年間。この間に、当該外国人は、第二種運転免許を取得し新任運転者研修を修了することになります。
また、この間は、所属機関(タクシー会社)において、車両の清掃などといった関連業務に従事することも認められるそうですから、ドライバーとして知っておくべき作業を学びながら、デビューまでに稼働の準備が出来そうです。
わたしは、この1年間にいかに育成するかがこの採用の肝であり、その前提としてある所属機関(タクシー会社)の立てた経営戦略や事業計画がとても重要になるだろうと考えています。
そうした戦略には、たとえば、今ある観光タクシーのあり方を工夫して、ある特定の国や彼らの嗜好に焦点を当てた特別なサービスを展開するといったこともあるかもしれません。考える切り口はいろいろあると思います。
さて、焦点が定まれば、いよいよどこの国の人材を採用すべきか。これはビジネス展開するエリア特性から考えるのがいいかもしれません。
ただ、もし、そうした戦略でいくとして、わたしなら、一先ず、当該国の外国人材で、かつ、身分系や技術・人文知識・国際業務など他の就労資格で既に日本で働いている方に当たるでしょう。
というのも、将来的に外国人材を増やしていくとすれば、必ずやリーダー的な振る舞いのできる人材が必要となるときが来ます。
殊に身分系の在留資格を有する外国人材であれば、在留期限や諸々の制約を気にする必要はありませんし、日本の交通事情をよく理解し日本語も達者な場合が多く、会社と外国人材の橋渡し役になってもらえる期待ができるからです。
いずれにせよ、詳細は、今後の所官庁(国土交通省)より発せられる要綱を待つ必要がありましょうが、考慮すべき点は少なくなく、踏み出す際には、しっかり現状把握をした上で戦略的に臨むことをお勧めします。
結果、採用に成功した暁には、その実りは決して少なくないことでしょう。
なお、報道によれば、現在、第一種免許の学科試験は20の言語で受験できるようになっているそうです。そして、近く、第二種免許も同様に受験可能とするようで、国は、外国人ドライバーの受け入れ態勢を着々とを整えつつあります。
今後、街中を走るトラックやタクシー、バスを運転する外国人材をお見受けする機会はきっと増えていくことでしょう。
個人的には、とても楽しみな光景です。
ただ、一つ気がかりなのは、昨今の「円安(弱)」。せっかく外国人材の就労体制を整えつつあるのに、当の外国人材がこんな日本を見限らないでいてくれればいいのですが・・・。
以上
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