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おそうじウーマン

介護ってほどでもない月イチ帰省でやることといえば、滞っている掃除とプチ断捨離。

家事のすべてを担ってきた母は緩やかにそれを手放した。
そして父が遅い主夫デビューを果たした。単身赴任経験もあり、やればできる父だ。物があふれて父ではどうにもならないところは私がコツコツ片付けている。

ある日、洗濯機まわりと脱衣所、洗面所を掃除したときに、母のシャンプー&コンディショナーの詰め替えパック(特大)があっちからもこっちからも出てきた。さらに通ってるエステで買ったと思われるシャンプーとトリートメントのセット新品。

「お母さん、こんなにたくさんシャンプーどうするん!
死ぬまであるんちゃう?」

言ってはいけないことも言ってしまう。

母「ちょっと!何よそれ。
これ全部使い終わったら死ぬってこと?まだ死にたないわ!」

私がシャンプーに呪いをかけたみたいじゃないか。
まだまだ生きる気満々頼もしい。
私が前言撤回して笑って終了。
次の作業に突き進む。

棚という棚の中身を全部出し、いらないものは捨て、棚板も洗剤類の容器もきれいに拭いて整えた。
母が
「そんなとこまできれいにするんや〜」と感心したように言う。
掃除のしかたはかつてお母さんが教えてくれたのに。
半泣きになりそうだが、考えちゃダメだ。
次の作業に突き進む。

普段の父の掃除は雑巾と掃除機が主だ。
古くて吸わない掃除機が1階にも2階にもある。
私はその吸引力の弱さに我慢できなくなり、2台掃除機を買いに行って3台引き取ってもらった。
私の好みの掃除グッズも揃えて、おそうじセットを完備した。

私が掃除していると、父は何の気なしに
「おそうじウーマンやな」
と言って通りすぎる。

掃除中はおそうじウーマンと呼ばれるが、洗濯中は
「洗濯ババアやな」
ババアに嫌悪感ゼロの私なので悪い気はしない。

もうずっと前だけど、自宅で息子らに怒り狂っていたら、
「進撃のBBAかよ笑」
進撃のババア。そのときも気にいっていた。
期せずして子育てと実家の家事手伝いでBBA二冠を達成した。
これからはBBAの気概とおそうじウーマンの誇りを持って、実家片付けに邁進しようと思う。
言うほど捗ってはいない。











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