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退院騒動

がんセンター3回目の検査入院。

実は2回目検査入院時に、母は鼻の挿管チューブを切ろうとしたらしく
(なんと小さなハサミを持ちこんで入院して、この一件で危険人物扱いなのでは?と父は危惧)
一番重要な検査はできたようで、退院してきた。
母は知らぬ存ぜぬの風情だったそう。

父は、自分の荷物のチェックが甘かったと落ち込んだが、お父さんが悪いわけじゃない。

そんなわけで今回は、私が厳しく目を光らせて入院準備。

荷物(ペンケースと化粧ポーチがあやしい)にハサミを入れてないか念入りにチェックして(私が)
例のごとく出したり入れたりを繰り返して(母が)
非常に気を使って3泊4日と思われる入院準備をしたわけだが、
なんと1泊しただけで帰ってきた。
メインの検査はしたようなのだが。

入院2日目お昼ごろだったか、なんにもすることがないと父に電話をしてきた。
私も電話で話したがそれほど異変は感じなかった。

夕方6時ごろ、がんセンターの主治医先生から電話。
精神的に不安定になっていて、退院したいと訴えている。
ご高齢の方にはよくあること。
前回のこともあるし(ハサミか!)
退院ということにしたい。
本人はタクシーでひとりで帰るとおっしゃるんですが...
とのこと。
非常にソフトな物腰の優しい先生。
せん妄についても説明くださる。

即座に「迎えに行きます」
父は
どういうことや〜と驚いていたが、
絶対怒ったらあかんでと言い残し、
私はタクシーで病院へ向かった。

もう正面玄関も閉まっていて救急出入り口から病棟へ。
先生ともうひとり若い先生から状況を聞く。

午前の点滴が終わったあたりから不安定になっていたらしい。不安定というのが具体的にどんな風なのかはわからない。
午後には退院したいと訴え、そのうち勝手に着替えて荷物を片付けていたらしい。
先生と話し終えて、看護師さんが来るのを待っていたら、先に母がキャリーを引っ張って笑顔でトコトコ歩いてきた。
すぐさま看護師さんが来て

渡すものがあるからお部屋で待っといてねって言ったよ〜
まだ渡してないよ〜
なんて言われている。

指示されたことがわからないのかな。自分のやりたいことを優先してしまうんだな。
私の声が聞こえたのかもしれない。

看護師さんから説明を受ける。
勝手に着替えてすーっと出ていかれたら困るというようなことをおっしゃった。
そりゃそうでしょうね。
私は平謝り。
母が時々口を挟んでくるが、そこは軽ーく無視。ごめんよ。
看護師さんとの会話に集中。
検査後の経過観察をしないで退院するので気をつけること、悪くなって電話するタイミングなどを説明してくださり、次回の診察時間も聞いて、残りのお薬を返してもらった。

看護師さん:
おうちに帰れば元どおりになると思いますのでね。
お母さーん、
次また診察あるからね〜
忘れんといてよ〜

母:
本当にお世話になりました〜
ありがとうございました〜

と、挨拶は上々。
病気から回復してめでたく退院の風情である。
会計は次回でいいらしい。
帰るっぺ!

タクシーで帰ろうと思ったけど、
患者がいない病院にタクシーは来ない。
バスに乗ることにする。

がんセンターから駅にはすぐ着いた。
確保しましたと父にメール。
ご苦労さん!とすぐさま返信がきた。これからこんなことばっかりかもしれないな。

帰宅し、母はお風呂を済ませてすっきりした〜と喜んだ。
お茶を飲みながら話しているうちに、

あれ?昨日どこに泊まったんやっけ?誰と行ったっけ?あんたと行った?
と、混乱し始める。

検査入院して1泊だけで帰ってきたよと教えたら、

一週間くらいいた気がする、市民病院やねぇと言う。(違う)

さすがに自分で不安に感じたのか、
「お母さんボケたら病院に突っ込んでな。」

「え?それは今?」と私が言ったら
「なんで今やのん!」
とプンプン怒っていたので、母らしさは失われていない。
認知症の自覚はないように思う。

夜中に胃が痛いと言い出して焦ったが、翌日には食欲も出てきた。

後日、がん細胞は検出されなかった。検査はがん細胞が出るまで続くのだろうか。

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