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いつくしみ深き

10年ぶりの結婚式だ。
早朝に家を出た。
GW初日だったが、東京駅は思ったほどごった返してはいない。

いつもは決まったホームの階段を上がってすぐ新幹線に飛び乗るが、時間があったので新幹線コーヒーの列に並んだ。
新幹線でお馴染みだったスジャータアイスの自販機もあった。
どちらも大人気。
車内販売も昔の話になってしまった。

車内で朝ビールしている女性がいて(7:30発、いいなー)
夫も羨ましがっている。
私らはこれから結婚式に行くのに朝ビールしてどうするのさ。
あっという間に名古屋に着いた。

結婚式会場の建物壁面に咲いているハゴロモジャスミンが満開だ。
いい香りが漂う。
弟は先に到着しているらしい。

白い扉の中に入ると、久しぶりの再会を喜ぶ新婦のお友達でいっぱい。
どの人もJK時代に戻ってるのが微笑ましい。

私たちは新郎側の親族としての出席だ。
親族控え室に移動した。

いとこ同士の中で私は最年長、新郎は最年少。
新郎の姉ふたりとは仲良くしていて、それぞれの家族と久々の再会だ。
前に会った時はまだ小さかった従妹の娘、Sちゃんは小3になっていた。
娘がいない私はそのかわいさに釘づけで衣装や髪を褒めた。
Sちゃんは困惑したりしないで、にこにことおばちゃんを受け入れてくれたのだった。

親族紹介が終わり、新郎新婦と対面した。
本当にきれいな花嫁。
迷いなき二人の姿。
その輝きに空気が浄化されるわー!

誓いの式がチャペルで始まった。
聖歌隊の讃美歌を口ずさんでアーメン。
難しい説教は一切なし。
神父さまのユニークなお話に会場は笑いに包まれる。

私らの時代は結婚式は儀式だった。
おそらく、厳かな式を望めば厳かに、本人たちのキャラクターを生かすフレンドリーな式を望めばそのように、プランナーさんと共に結婚式を作りあげていくことが今はできるのだろう。

ふたりの個性を大切にしたリラックスした雰囲気の披露宴だった。
親族席でワインがぶ飲み。

私は叔父一家全員の結婚式をコンプリートしたことをわざわざ言ったら、当事者たちから拍手された。
「めずらしいんじゃないですか?」
と、Sちゃんのパパが言う。

叔父叔母の結婚式、私は7歳。
私の結婚式には一家5人で出席してくれたのだ。
従姉妹ふたりの結婚式も出た。
そして今日の結婚式、私は53歳。
46年の月日にめぐりめぐる結婚式。
どんな時も人との縁は大切にしたい。


最後に今日一日のムービー上映があった。
リングガールとしてバージンロードを歩いたSちゃんがスクリーンに映った時に、本人がわぁっと喜んだのがかわいすぎた。

新婦の両親への手紙で友人たちがもらいにもらい泣き。
完全に中高時代に戻ってる彼女たち。
わかるわぁ。
40になっても50になっても女はそんなんやから。

新郎新婦、それぞれの家族との思い出フォトが飾ってあるコーナーを見ていたら、彼の初節句の写真には、私の両親との写真を選んでくれていた。
若い父と母。
今の私らよりも若い。
今回出席しなかった両親に見せてあげようと思い、写真の写真を撮った。

私は今日祖母の指輪を着けてきた。
A君を抱く祖母の写真もあった。

ほら、ちゃんと会えたね。

きちんと着物を着ている写真の中の祖母と並んで、結婚会見のように指輪を見せながら夫に写真を撮ってもらった。

新婦のご家族にも物語があることだろう。
結婚ってふたりがするものに違いない。
家庭を持って、この年齢になって、
背景にあるいくつもの家族の物語に思いを馳せるようになった。
人を大事にすることを教えてくれたのは祖母だ。
そんなマインドがそこはかとなく漂う結婚式だった。

帰り道もハゴロモジャスミンの香りに包まれた。
いつまでも
どなたさまもお幸せに。

祝福はめぐる。

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