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娘がいない私たち

私の実家と夫の実家は同じ市内にあり、夫の妹(ゆっこちゃん)は夫の実家の近所に住んでいる。

ゆっこちゃんと義母フミコさんが私の実家に遊びに来てくれた。

今朝ゆっこちゃんに電話して急に決まったことなのに、お昼のお弁当、そしてえらく大荷物だなと思ったら、お茶道具の用意までしてやってきた。
彼女は茶道の先生なのだ。

本当にフットワークが軽く、楽しいことを企画するのが上手な人で義妹ながら尊敬している。
なんでもできるゆっこちゃん。
旅行してきたと言って、比叡山のお菓子もおみやげに持ってきてくれた。

さっそく女4人でマシンガントーク。

関係性がてんこ盛りだ。
母娘が2組、嫁姑、義姉妹、ちょっと違うが叔母と姪(母とゆっこちゃん)、
母たちは母たちで、
私とゆっこちゃんは私たちで、
それぞれ今や友人ともいえる。
スーパーオールドチームとオールド娘チーム。

義母が言う。

「ゆっこはきつくてねぇ。怒られてばっかり。」

母が共感たっぷりで答える。

「どことも娘はねぇ。わかこ(私のこと)にカチーンとくること言われるけど、まあ老いては子に従えって言いますやんか、ねえ?」

カチーンとだって!
はいはいすみませんよー
ていうか、老いても言うことなんか聞かないじゃん!

私は心の声だけ大きい。
鋭い目が口ほどにモノを言っていたようで、

ゆっこちゃんが
「お姉さん、まあまあ」
と笑って慰めてくれるが、
彼女もフミコさんのこと、
「言うこと聞かないわー」としょっちゅう言っている。

義母にもゆっこちゃんにも母が軽度認知障害であることは伝えた。
ふたりとも母がそうだとはわからない、と言った。
義母は、
「みんな同じ、似た道を進む。よく話してくれた。今までと何も変わらないわ。」

丸ごと受け入れてくれる。
肝の据わった人生の先輩、
義母フミコ。

母チームは、いかに娘が厳しいかという話でまだ盛り上がっている。
言いたい放題だが最終的には

「私たち、娘がいてよかったですね。」

「この人たち、娘がいないからね。」

スーパーオールドチームがマウントを取ってきた。

ゆっこちゃんが
「もうひとり産んどくべきやった?」
なんて笑っているけど、

いやいや、何人産んでも男だったと思うよ。
産道が女人禁制やから。

比叡山みやげのお菓子をモグモグ食べながら言う。

私もゆっこちゃんも兄弟はいるけど女きょうだいはいない。
お互いに息子が2人。男だけ。
そんな人はそこかしこにいる。

マウントは取られたが、頼りにされてるんだろうな。
だからこそ、娘のいない娘の今後を心配しているんだろう。

老いても親としての心配は尽きない。
ありがとね、お母さんたち。

食事の後にゆっこちゃんがお茶を点ててくれた。
心穏やかな、決意のお茶会だ。

私たち、ぼっちでも大丈夫よ。

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