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甥っ子ムーニー君その後

GWはずっと実家で過ごした。
GW後半に夫と弟夫婦と実家で合流した。
弟のところのひとり息子、ヤクルトを2本飲みたいと泣いたムーニー君はこの春めでたく大学生になった。


ムーニー君は東京を離れ、ひとり暮らしを始めた。
初めての休暇で東京の自宅に帰らず、兵庫県のじいちゃんばあちゃん家にやってきてくれたのだ。

ええ子や!

息子ラブの弟夫婦は、ムーニー君が到着する時間になると、いても立ってもいられないという風情で最寄り駅に迎えに行った。

ひと月振りで我が子に会うも、弟夫婦はその日のうちに東京に帰る。
数時間の家族団らんかと思いきや、
ムーニー君は一息つくと、ハーバーランドに行くと言って出かけてしまった。

そんなもんである。

弟夫婦の出発時間までにムーニー君は帰ってこなかった。

息子なんてそんなもんである。



私はムーニー君に会うのは七年振りくらい。
小さい頃は一年に一度は会っていたが、帰省が子供らの部活や受験がらみのスケジュールに左右されるようになってからは実家では入れ違いになった。
東京で会うことはなかった。

18歳になったムーニー君。
シルエットは弟そっくり。
一緒に夕食を食べた。
入学した大学のことや、入部したスキー系の部活のこと、ひとり暮らしのこと、結構話してくれた。

弟は
「あんまり喋らん子やから。」
と言ったがそんなことはない。
まあ、親に対してはそうなのかもしれない。
うちの次男だって、中高時代は、口の形を変えずにアァとかオォとか言うだけだった。

ムーニー君の大学は雄大な景色を眺めることのできる場所にある。
東京とは違う環境を選んだのかもしれない。
そして車が欲しいらしい。

その前日に弟からちらりと聞いていた。
「ムーニーが車を持っていっていいかって言うねん。」
弟は自宅の車を手放したくはない。
私は囁いた。
「買ってあげればぁ?」

ムーニー君と父と私で話しているときに、父が車の話題を持ち出した。
下宿先の学生アパートでも、所属した運動部でも、先輩たちは車を持っていると話すムーニー君。
私はまた囁いた。
「買ってもらえばぁ?」

父も加担する。
「こうてもらえ、こうてもらえ。
ムーニーは親孝行やで。
アイツ(弟のこと)は一浪して私立行ったんや。
オレは現役で国立やって言ってやれ。」

ムーニー君は、困ったような笑顔で、

「でもひとり暮らしさせてもらうから。」
と謙虚である。

ええ子や!

私が目を細めて笑っていたら

「ほんならおばちゃんにこうてもらえ!」
と父が言う。

なんでやねん!
なんで私が車をこうたらなあかんねん。
おばちゃんはお小遣いと囁きだけで精一杯である。


翌日ムーニー君は大学のある場所へ帰っていった。
東京の友達にも会いたかっただろうにと思ったが、早々に東京からひとり暮らしの部屋に友達が遊びにきていたようだ。

そりゃなおさら車がいるわ。
でもまだ免許がない。
まずは免許だムーニー君。

ぜひとも冬装備の車を持ち、そこらじゅうの自然を満喫してほしい。

父と母を喜ばせてくれてありがとね、
ムーニー君。

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