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恋とは?

一緒に生活できない人や亡くなった人に強くひかれて、切なく思うこと
※万葉集ではそのような心情に「恋」を使用

広辞苑

恋には昔から不器用だ。

意識した瞬間、その人とは話せなくなる。

どこか遠いところに行ってしまう。

そんな不器用な女が、20代の頃一目惚れをした。

目と目が合って、あっという間の出来事で、自分でも驚いた。

何かが大きく周り出していく。そんな感覚だった。

強く惹かれて、そうなるまでに時間はかからなかった。


しかし、彼は多くの人を愛せる人だった。

彼は女友達も多かったが、私と出会った時、すでに彼女がいた。

私はそれを知りながら、彼女から彼を奪ってしまった。

彼女は私に良くしてくれた先輩だった。

彼といた時間…
いつも罪悪感と不安感が襲ってきた。

幸せじゃなかったけど、一緒にいたかったのだ。

誰からも祝福を受けない2人だった。

「あんなやつ辞めておきなよ」なんて何度言われたか分からない。

それでも、体を重ねる度、「結婚しよう」と言われる度に、それが麻薬のように、私を踊らせた。
彼の言葉を馬鹿みたいに信じていた。

彼は近くにいるのに、なぜか遠い存在だった。

何日も連絡が来ない事や電話に出ない事があった。

「またか。」と肩を撫で下ろす…。

雄猫のように、フラフラとさすらいながら違う相手をまた探しに行っている事は想像出来た。


私が別れを切り出したのは、共通の男友達が、当時別れた私の先輩と彼が寄りを戻している事を聞いたからだ。

その男友達に「あいつといてもlemon sodaにいい事ないよ」…と言われた。

いつか…私も彼も地獄に落とされるのかもしれない…。そんな事を日々考えていた。

恋は罪にも似ているようで、私は苦しかった。

彼らが遠くに、遠く行けば行くほど、きっと恋焦がれるのだろう。

恋に実態はなく、蜃気楼のように霞んで心を惑わしていた。

私は別れを決意した。

別れを告げたとき、切なく見つめる瞳に心が揺れながらも、私の意思は堅かった。

さよなら。
私の恋。


若かったなぁ…。

涙に暮れたあの日々を少し愛しく思ったりする。


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忘れられない恋物語

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