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アガサ・クリスティ

“人生で最も悲しいことの一つは、
人は覚えているということです”


彼女はイギリスの推理作家だった。
その彼女が残した言葉である。

人生で最も悲しいことの一つは‥‥
確かに忘れる事の出来ない悲しい思い出は、
思い出と呼びたくないものであるのだと
私も思う。

しかし、彼女はこの言葉には書いていないが、
幸せな思い出も、その相手や対象がこの世から
消えてしまえば、幸せな思い出も悲しい思い出
に変わるのではないだろうか?

だが、もしそうであるならば、この世は悲しみ
しか無い事になってしまう。
それに耐えれる人間はいないと思う。

海外ドラマの『24』の中に、こういった会話
があった。

アメリカ大統領
「私は、アルツハイマー型認知症にかかってます」

友好国の大統領
「言葉もありません」

アメリカ大統領
「来年には今の会話も、娘の顏も忘れている事でしょう」

私はこの会話を聞いた時、喜びも悲しみも何もかも忘れ
てしまうのは、人生が存在したと言えるのだろうか?
と思った。

他人からすれば確かに存在したと言えるが、本人は
全てを忘れてしまう以上、そこには悲しみすらも‥‥
落ちていない世界の中で、言葉が不要なほど、
何度も何度も何度も同じことを繰り返して尋ねてくる。

私の叔母の1人もそうだった。
夫である叔父さんの事は夫としてしっかり
覚えていたが、私の事は忘れていた。

私に対して、「どなたでしたっけ?」と聞かれる度に、
叔父が答えていたが、聴いた瞬間に忘れてしまうため、
秒刻みで私が誰だか尋ねてきていた時には、
叔父もさすがに苦笑していた。

現実で私はその状況と心に触れて思った。
叔父は大変な中でありながらも、愚痴一つも言わない
のは愛しているからなのだろうと。

その時も最初に会った時、叔父は叔母を自慢した。
確かに年齢の割には綺麗だし、苦労も一切感じない
ためか、昔とほとんど変わらなかった。

気落ちしたり、不幸な目に合えば、人は老けるのが
一般的だ。しかし、それさえも感じないのであれば、
確かに老いる速度は落ちるのが自然だと思った。

今、この時も世界中では、私などが想像もできない
不幸が一瞬のうちに幾つも発生している。
それに対して幸福を感じている人も存在はする
だろうが、比例する必要もないほど僅かしか
幸福は生まれてないだろう。

“人生で最も悲しいことの一つは、
人は覚えているということです”

誰にでも忘れられない悲しみの思い出は
ある。それは否定できない。
否定すべきでもないし、忘れてはいけない
ものでもある。

忘れたいからこそ、覚えていなければ
いけないものだと私は思う。

現実の自分の人生に起きた出来事は
自分の生きた証でもある。

それに悲しみしかない人生ではないはずだ。

結果的に悲しみに変わったかもしれないが、
心と体で感じた幸せも必ずあるはずだ。

人の人生とは幸せと不幸が起こる。
不幸のほうが多いのは避けられない。
しかし、幸せを感じた時の想い出は、
全てを洗い流すほど、幸せな時はあったはず
だと私は思いたい。

私には残念ながら‥‥‥悪い思い出が多すぎる。
だからこそ街で幸せそうな人たちを見ると、
私はその幸せが続くように心で思うようになった。

良い想い出も沢山ある。
それだけで私は良いと思っている。

“人生で最も悲しいことの一つは、
人は覚えているということです”

彼女のこの言葉を見た時、その通りだと
思った。誰しもに悲しい思い出はある。
そして、それを良い想い出に変える事も
出来る事も多くある。

私の人生もまだこれからだ。
だから正確に言うとまだ分からない。
幸せになれるかもしれないし、
このまま終わったとしても、私は私で
好きな事をしている以上、幸せである
ことは否定できない。

幸せか不幸せかどうかは、自分で決めるものだ。
自分自身で幸せだと思えるなら、幸せなはずだ。
欲張り過ぎないようにすればとも思うが、
やはり、自分の幸せとは何かが重要になる。

自分が幸せかどうかは考えるべきでは無い。
生きていて自然と生き生きしていれば、
それは幸せなのだろうと思う。

それをいつ、何を、かはそれぞれ違う。

幸せを感じるひと時は、何よりも代えがたい
人世に於いて、最高の時だと思う。

だから多くの人にそれを感じて欲しい。

“人生で最も悲しいことの一つは、
人は覚えているということです”

彼女の言葉は正しいものではあるが、
この言葉を忘れてしまうくらいの幸せが
降り注ぐように願いたい。

一瞬でも感じる事が出来たなら、
その想い出は、彼女の言葉すらも
否定することができるだろう。

アガサ・クリスティは
もうこの世にはいないが、
苦しみよりも喜びに溢れた人生を
送って欲しいと私は心から願う。

喧嘩や文句のいい合いはもう終わり
にして、人が幸せになれるような
事に力を使うべきだ。

今はキタニタツヤの
『私が明日死ぬなら』を聴きながら
書いている。

歌詞がとても居心地を良くしてくれる。
愛の歌だからだが、私の心を満たしてくれる。

いつも想っている事ではあるが、
私の感情を更に高みへと、まるで鳥のように
天高く飛ばしてくれる。

とても良い気分のまま今日は終われそうだ。
今週中には小説をアップします。
明日と明後日は一番忙しいので、約束できない
事は約束しません。

ただ3本以上づつはアップします。

良い夢を皆さんが見れますように本心から
思っています。
それでは、おやすみなさい。

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