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1999年から2003年までの阪神タイガース その➉

野球場に通っていた1999年〜2003年は15歳〜19歳。
高校生〜浪人生までだ。

よって、金が無い。
アルバイトをしていたものの、
なけなしの金を握りしめて球場に通ったものだ。

グッズについて。
一番憧れたのはロングハッピだ。
ホームでもビジターでもロングハッピを着た人は「猛者」というイメージがあった。
二次会を仕切る猛者はロングハッピを着ているイメージも強かった。
ロングハッピは球場外のグッズショップで買う事ができる。
当時みんな、「サテン」と呼んでいた。
サテン生地で出来ている為だ。

ロングハッピのバックには選手名。
今のような意味不明な刺繍ではなく、
シンプルにアイロンシールで貼り付ける。
僕の周りのロングハッピを着た人はその選手名で呼ばれる事が多かった。

あ!大野さん!真弓さん!
とかね。

ロングハッピは高い。
元となるサテンに選手名を貼り付けていると、
10000円ぐらいはしたんじゃ無いかと思う。
チケット代と交通費でいっぱいいっぱいだったあの時代。
とてもじゃないけど買う事は出来なかった。

そしてもう一つ憧れたのがユニだ。
今では一般的で誰もが着ているユニ。
レプリカユニとも言うのかな。
99年のオフィシャルのカタログを見ていると、
「メッシュジャージ」と書いてある。

これも高い。
ベースの生地にアイロンシールで貼り付ける人もいればNOMURA、TSUBOI等の完成したメッシュジャージを買う人もいた。
金の無い僕からすると高級品だ。

僕はシンプルなタイガースのロゴの入ったハッピしか持っていなかった。
リストバンドは新庄。
中学の時におばあちゃんが買ってくれたんだ。
背番号は63番じゃなくで5番なのが残念だけど、リストバンドは今でも付けている。
メガホンも一つ600円。2個だと1200円だ。

当時は負け試合が多くグラウンドには大量のメガホンが投げ捨てられた。
ホームでもビジターでも投げていた。特に地方での試合は酷かった。
みんなよく金あるなぁ・・・と思ったものだ。
だって1つ600円だよ?

2001年に一試合だけ西京極での試合があったのだが、
そこでも大敗し大量のメガホンが投げ捨てられた。
勿体無いので警備員に貰った記憶がある。
「勿体無いなぁ。ぼうず、持って帰りな」
いい時代だ。警備員も優しかった。


僕は甲子園に行ってもお腹を空かせたり、
宿泊に不自由した事が無い。

常連のみんながご馳走してくれるんだ。
「おっす!やんやん!」
「食っとけ!おごったる!」
「勉強してるか?」
「その歳でこれだけ通ってるお前は凄いぞ!」
「お前は将来大物になりそうやな!」

カレーや焼き鳥、飲み物まで。
高校生の頃にはフードはコンプリートしてたよ。

宿泊先は友人のフジ君の家。
いつでも、どんな時でもフジ君は家に泊めてくれた。
しかも実家だよ?
お母さんが凄く面白くて優しい人でね。
いつも歓迎してくれ、ご飯まで作ってくれた。

ご飯を食べた後はフジ君と一緒に銭湯に行き、
阪神について朝まで熱く語った。

そして僕には忘れられない思い出がある。
2001年の巨人戦の試合前のことだ。

応援仲間のカナヤン先輩が、ユニをくれたんだ。
憧れのユニホーム。

「やんやん!これやるわ!!」
アイロンシールは手作りで「WADA」
カナヤンさんがホーム・ビジターと共に何百試合と大切に着ていたユニだ。

僕は嬉しくて嬉しくて、涙した。
あまりに嬉しくてその日はフジ君の家でそのまま着て寝た覚えがある。



あれから22年の月日が経った。

驚くかもしれないが僕はまだそのユニを持っており、球場に行く際は必ず着用している。

2003年の胴上げもそのユニで観たよ。遠征にも行った。
もう、首元はヨレヨレで汚れも目立つ。

もうボロボロやん!買い替えたら?
と言われた事もあるが、絶対に買い替えない。

何故って?
ユニはボロボロになっても
カナヤン先輩の想いやタイガース愛は色褪せないでしょう。
僕よりもずっと前から弱いタイガースを全力で応援していた先輩だよ?
その先輩が僕に後継としてくれたんだ。


あなたには、タイガースへの愛はありますか?
球場でどんな人と出会い、どんなドラマがありましたか?
忘れられない思い出はありますか?

僕にはある。
お腹を空かせた時には食べ物をくれ、宿泊先も与えてもらい、銭湯で熱く語った。
死ぬほど大切にしていたユニをくれた大切な友人や先輩と出会えたこと。

社会で生きる事に不器用かもしれないけど、
21号門前の二次会であれだけのパワーを生み出せること。
そしてみんなのあの笑顔。
二次会の帝王、アイパーの顔。タイガーの姿。

10代で物凄い経験が出来た。
SNSなんか無くても楽しかった。

球場で共に喜び、涙したこと。
何よりも信用を大切にすること。
自分がした事は必ず返ってくること。
後輩を大切にすること。

大切な人が困っていたら支えてやること。
人に感謝されること。
その感謝は、必ず自分にかえってくる。
一人じゃない。たくさんのヒーローに出会えた。

僕は大物にはなれなかった。
でもあの時の甲子園で学んだことを今でも忘れてはいない。
あの時にみんなと過ごした時間、
ご馳走してもらったカレーや焼き鳥の味が忘れられないんだ。
嫌な顔一つせず家に泊めてくれたフジ君のお母さんの優しさが忘れられないんだ。

感謝の二文字じゃ言い表せないんだ。



SNSで仲間を集うあなた。

わけのわからん刺繍をして見せびらかしてるあなた。そのニッカポッカは何の表現?

ルールやマナーを無理矢理押し付けてくるあなた。

あれはおかしいこれはおかしいとすぐにTwitterに書き込み拡散するあなた。

生涯虎命とか刺繍しておきながら翌年には来なくなるあなた。

蛍の光、あと一人、あと一球。
ガッツポーズまで批判するの?


そこは本当に野球場?
あなたは本当にタイガースが好きですか?

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