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キタダ、詩を読む。…VOL.15 刺戟的な作品群


2013年の2月に中日新聞朝刊の文化芸術欄で読んだ記事。

「俳句は次の四つに分類されると思う。すなわち、①古い意匠の古い俳句、②古い意匠の新しい俳句、③新しい意匠の古い俳句、④新しい意匠の新しい俳句。山田氏の俳句はそのうちどれか。たっぷりと作品を紹介するので、読者の皆さんにも判断していただきたい。」

と書いて紹介されているのは、
山田露結氏(45歳、当時)の第一句集『ホームスウィートホーム』(邑書林・刊)。
けさ(当時)の中日新聞朝刊・文化欄「中部の文芸」です。
評者は加藤かな文氏。

早春の魚網のごときストッキング

春なれや波の音する洗濯機

春星に近づく二段ベッドかな

剃刀の切れ味にして散るさくら

コピーして赤はグレーに昭和の日

毛虫には想像力が欠けてゐる

くらげひとつむりよくむりよくとただよへり

鈴虫が鳴かなくなつて広き部屋

外よりも中の寒くて大伽藍

目が見えて耳が聞こえて冬の森

戦遠し落葉を人のやうに掃き

たましひが人を着てゐる寒さかな

対岸をきのふと思ふ冬ざくら

紙の音して寒禽の飛び出づる

「こんな俳句は今までなかった」(加藤氏)同感。大いに刺戟される。
私のベスト3は「戦遠し」「対岸を」「紙の音」の三句。

同じ「中部の文芸」で紹介されている、
岸野常正氏の句もいい。

あきつ飛ぶわが膝丈の宙を飛ぶ   『青山椒』

刺戟とインスパイアに感謝。




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