暴走事故と対策方法

関東のライダーには有名な奥多摩周遊道路でまたバイクの死亡事故が発生しました。カーブでのバイク同士の正面衝突だそうです。亡くなられた方には心よりお悔やみを申し上げます。

あそこの道路は東京都の管轄で、潤沢な資金を持つため路面が整備されて走りやすいのだそうです。そのため、サーキット代わりに来テク磨きのためなのか腕を自慢したいのか、大型のスポーツバイクでいわゆる攻める走りをするために集まるライダーが多いのもまた事実です。奥多摩周遊道路はふもとから救急車がのぼってくるのに2時間かかります。ドクターヘリもあるにはありますが、ヘリポートから事故現場までは徒歩です。事故で大けがしてるのに搬送で時間をかけていては死んでしまいます。

さて、こういう事故が起きるとバイクを通すなとか通報して捕まえさせろという意見が出てきますが、私はそういうのはどうかと思います。それぞれについてダメだと思う理由を述べます。

バイクを通すな、について。一部のおかしなライダーのためにバイクすべてが不利益を被るのは理にかなっていないと思います。レーサーレプリカブームの時代も過去のもので、現在では大半が安全なツーリングライダーです。そして事故を起こすのはほぼ50歳以上、バイクブームで中型二輪に乗っていたような人です。そういう一部の人のためにすべてのバイクが不利益を受けるのは、あまりにも理不尽です。

次に通報して捕まえさせろ、について。所轄警察も人員に限りがあるのと、結局は暴走行為をしている人を捕まえても、速度超過でせいぜい免停になるのが関の山です。試験場で免停講習を受けて短時間で免許を取り戻し、また同じことを繰り返すので、結局はいたちごっこにしかなりません。

そもそも、人はミスをするもので、どんな人でも操作を誤って事故を起こすことはあります。特に奥多摩のような道ではコーナーアプローチから出口にかけて、そういう危険が高いといえます。だったら、誰が操作ミスで事故を起こしそうになっても、被害規模を抑えるような対策にするしかないです。そもそも人はミスをするものなので、どんな聖人君子でもバイクに乗っていれば事故る可能性は十分にあるわけです。

であれば、事故は起きるものと考えて、バイクが事故を起こした時の被害を最小限に抑える仕組みにするのが効果的です。具体的には、コーナー入り口から出口までの間に、太さ20cm・高さ1mほどの頑丈な鉄柱に衝撃緩和用の発泡ウレタンを巻いて、センターライン上に15cm間隔くらいで設置すればよいのです。

仮にバイクが曲がり切れなかったり転んで滑ったとしても、センターライン上で跳ね返されて対向車線には被害を与えません。また、事故の場合は転んで滑るほうが摩擦抵抗でダメージが減殺されるので、トータルの負傷が軽く済む可能性が高いです。

今回の事例のように、センターに障害物のない峠では、対向車線にふくらんで被害を拡大するケースが大変多いです。事故っても対向車線に飛び出さない対策を取れれば、少なくとも2人の事故被害が1人に減ります。障害物で跳ね返されることで滑ってダメージが少なく済む可能性も出てきます。

こういう「事故は起きるものだから、起きた時の被害を最小限に」という対策が、奥多摩のような救助が難しく事故の多い道路には必要でしょう。お金がかかるのと、バイクごときのためにやってくれるとは思えませんが・・・

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