見出し画像

心理的安全性を高めるための伝え方



波風を立てない「ほどほどの伝え方」


ナミさんのお話によると
前職の人間関係がトラウマ化して

「先輩に逆らったら嫌がらせをされる」

という
疑心暗鬼のような先入観が拭えず
そのせいで自分の気持ちを
相手に伝えることに戸惑いや
ためらいを感じてしまうことが
悩みだと仰っていました。

ただ
ナミさんのケースに限らず
社会で生きていれば
どうしても相手に腹が立ったり
意見が食い違ったりして
その度に
強い口調でものを言ったり
あるいは
言いたいことがあっても
口に出せず我慢して
ストレスを溜めてしまうような
場面というのが多々起きます。

そんな時に役立つのが

「アサーション」。

自分の気持ちを大事にしながら
相手の事情や気持ちも尊重した
バランスの取れた伝え方です。


言われただけでは
具体的なイメージが
掴みにくいと思うので
今回も
ナミさんのお話を例にとって
解説していきます。

たとえばナミさんが
タスクをしこたま抱えている時に
先輩からやや一方的に

「これやっといて」

と仕事をふられたとします。

この時ナミさんが
先輩からの
つっけんどんな頼み方に対して
若干ムッとして

「私だって今忙しいんです!
これくらい先輩がやってください!」


強い口調で断ったとしましょう。

でも
実際このように言われた先輩は
どう思うでしょうか。

ナミさんは言いたいことを
はっきり言えたかもしれませんが
強い口調で断られてしまった先輩は
ナミさんの言い方にムッとして
なにかしら
言い返したくなるかもしれませんし
最悪の場合口論にまで
発展するかもしれません。

(補足ですが
この先輩の反応は
相手からガーーっと
強い口調で言われると
こっちも
なんだその態度は!
負けるかーー!
という気になってしまう

「敵意の返報性」

という心理によるものです)。

では一方で
ナミさんが先輩の言うことを
黙って聞けば済む話だったのか
というと
そうとも言い切れません。

ナミさんだってタスクを抱えて
いっぱいいっぱいの状態です。

そんな中
自分の気持ちや意見を抑え込んで
先輩の頼みごとを聞けば
確かにトラブルは
避けられるかもしれませんが
ナミさんの
精神的・身体的負担は
増していくでしょう。

以上のようなケースでは
たとえ強い口調で反発しても
自分の気持ちや意見を抑えても
両者にしこりが残る結果となって
しまいやすいのです。

そうならないためにも
相手と自分の間に
波風を立てないように伝えられる

「アサーション」

というスキルが役立つのです。


「アサーション」ってどうやってやるの?


ではここからは
アサーションのやり方とコツ
について
ポイントを3つに絞って
解説していきます。

①まず相手の言動に対して
自分の思ったことや
感じたことを考えます。

②次に相手の事情や気持ちを
考えます。

③①と②をかけあわせた
バランスのとれた言い方で
相手に思いを伝えます。

たとえば
上記の①と②を
ナミさんのケースに置き換えると

ナミさんが先輩から
「これやっといて」

つっけんどんに言われた時
ナミさんは

「なんで私に頼むの?
こっちだって仕事
いっぱい抱えてるのに
これ以上は無理だよ…。
でも断ったら断ったで
次の日から
嫌がらせされるかもしれないし
それもそれで不安だな…。

でも先輩も先輩で忙しそうだし
本当に手一杯だったから
私に頼んだのかも。
なにより私を選んだのも
私の事信頼してくれてるから?
だとしたら嬉しいけど
やっぱりこっちも忙しくて
手が回らないからお断りしよう」

という感じで
自分の気持ちと
相手の事情を汲んでいます。

③は
この両者の気持ちを
かけあわせます。

「先輩、先ほど依頼された
仕事の件なんですけど
実は私もタスクに追われてて
とてもじゃないですが
今はお手伝いするのが
難しい状況なんです。

先輩もお忙しい中
本当に申し訳ないのですが
他の人にやってもらうわけには
いかないでしょうか?

もし他の人も手一杯で
私しか頼める人がいないなら
明日か明後日くらいまで
お時間頂けると助かります」。

このように③は
自分と相手の気持ちを慮った
バランスのとれた伝え方
になります。

この時のコツは

1:可能な限り時間をおくこと。

2:提案や代替案も加えて
伝えてみること。

です。

時間をおく理由は
相手の言動に対して
怒りや腹立たしさを覚えた時に
その感情をストレートに
相手にぶつけてしまうと
トラブルの元になってしまうので
自分の気持ちや相手の事情を
冷静に考えてみるためにも
まずはできる限り時間をおいて
昂った感情をクールダウン
させるためです。

さらに

「他のスタッフではダメですか?」

「もし私しかいないなら
明日か明後日くらいまで
お時間をください」


提案や代替案を加えて伝えると
相手も

「言われてみれば
別にナミさんじゃなくて
他のスタッフにも
お願いできる仕事内容かも」

「言われてみればそんなに
急な仕事でもないな」

といった具合に
検討し直してくれる可能性も
ぐっと広がりますので
是非試してみてください。


千里の道も一歩から


ここまで
アサーションのやり方とコツを
解説してまいりましたが

「いやいやそんな簡単に
自分の意見をスラスラ言えたら
誰も苦労しないよ」

「自分の意見や
思ってることを伝えるのが
どれだけ勇気のいることか
わかってる?」

という方も
おられると思います。

そんな方は

「スモールステップ」

という方法を
是非取り入れてみて下さい。

聞いたことがある方も
多いと思いますが
このスモールステップとは
ハードルが高くて
飛び越えられそうにない目標に対して
一段一段小さなステップをつけて
段階的に目標に近づいていく方法です。

たとえば
仕事をたくさん
抱えているにもかかわらず
雑用を押し付けてくる先輩に対して
お断りをしようと思うけど
なかなか言い出しづらくて
結局いつも自分の意見を
飲み込んでしまうという方は

①まず先輩に対して言いたいことを
家の中で独り言で言ってみる。

②家族や友人・恋人など
社外で気の知れた人や
信頼できる人に
愚痴っぽく話してみる。

③社内にいる仲の良い人や
信頼できる人に
愚痴っぽく話してみる。

④仕事中に同僚や後輩に対して
思っていることや自分の意見を
アサーションを使って言ってみる。

⑤先輩に対して思っていることや
自分の意見をアサーションで伝える
イメトレをする。

⑥実際に先輩に対して
思っていることや自分の意見を
アサーションを使って言ってみる。

いかがでしょうか。

はじめは
「自分の意見を言うこと自体
ハードルが高くて難しい」
という状態でしたが
目標に至るまでに
5つのステップを設けることで
そのハードルを
飛び越える難易度が
低くなったと思います。

このようにスモールステップでは
一段一段が低くても
そのステップ上で得た経験や体験が
達成感となって積み重なることで
次のステップに進むための
モチベーションになるのです。

ですので
自分にとって達成させるのが
困難だなと思う目標でもあっても
スモールステップを使って
目標に至るまでの行程を
小分けにしていくことで
取り組みやすくなり
目標達成に一歩一歩近づいていく
実感も持てますので
こちらも是非
あわせて試してみて下さい。

続く。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?