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逆ホラー系探索アクションゲーム「CARRION」をネチャっと紹介

まずこれを書いている時点の進行状況なんですが、5時間ほどプレイして、探索要素は残っているものの一応はクリアしたという感じ。セール期間に間に合うように書いているのでやや駆け足プレイなのはご留意を。
なお、記事内にはゲーム中のスクリーンショットやビデオクリップもあるので、気になる方や時間がない方は目次から「☆総評(約500字でまとめると)」をどうぞ。
あと大事なことなんですがグロ注意です。これ、画像や動画のクリップを出す度に書くのもなんなので最初に書いておきますね。

■目次


■ストアページ

■紹介、感想など

ではまず本作の概要から、ジャンルとしては一応探索型アクションゲーム、いわゆる「メトロイドヴァニア」となるのですが、こいつぁかなり異色の作品ですぜ。って感じです。
そう感じたポイントはいくつかあるのですが、なんといっても特徴的なのは操作キャラクターでしょう。これに関しては、まぁ見てもらったほうが早いと思います。

面白いのが、この、この、えーと、なんだかよくわからない彼?なんですが、こんな凶暴そうな見た目をしている割に実はそんなに強くないという点
非武装の人間に対してはともかく相手が武装しているとなると一筋縄ではいかず、拳銃程度ならまだしもそれ以上の武装を持っている相手には正面からは太刀打ちできません。
ではどうするのかというと、排気ダクトにニュルッと入り込み相手が油断したところを頭上からかっさらったり、扉の向こうから突進して扉ごと粉砕したり、雄叫びをあげて怯ませたり、先に捕らえた犠牲者やその辺のものをぶん投げてぶつけたりと、手を変え品を変え犠牲者を増やしていくわけです。

いいですねぇ「ホラー映画のモンスター」みたいな動きです。正直遊びながら「うわ」とか「キモいなぁ」って呟いた回数は数しれず。
それはともかく、無敵の怪物を操り無双蹂躙するゲームではなく、多彩な能力を持つが直接攻撃されると弱い彼?を操るゲームで、映画で言うなら「エイリアン」ではなく「遊星からの物体X」に近しいと思います。
その都合、戦闘シーンも殆どが隠れながら立ち回るステルスアクション的なものになっているわけですが、先程挙げたのは一例で、パワーアップすることで更にえげつない特殊能力を手に入れて色々な攻略ができるのも面白いです。

まぁその都度異なるステージやシチュエーションで行うステルス戦闘は面白いのですが、このゲーム「主人公がラスボス」みたいな状況ということもありボス戦など存在しないので、ゲームを通して戦闘が単調なのは否めません。
個人的におすすめしたいのが「ホラー映画のモンスターならどうする?」みたいなことを考えて、逃げ惑う人々や、無駄な抵抗をする兵士を蹂躙する「残酷な怪物」のロールプレイに徹する遊び方ですね。
メリハリのない戦闘という点と一抹の罪悪感があることを差し置いても、この体験は唯一無二だし、この体験でしか得られないカタルシスというのは間違いなくあると思います。


【閑話休題:1】
「怪物になって人を襲う」という体験について、何かいい例えがないかと考えてみたのですが、「グランド・セフト・オート」のようなクライム・アクションとも少し似ているかも。


では続けてもう一つ良い点を。本作はキャラクターと背景含め全てドット絵なんですけど、これの出来と挙動は特筆すべきでしょう。動作するキャラクターはもちろんなんですが、探索する各エリアもそれぞれバリエーションが豊かですし、背景もしっかり動いたり壊れたりするのが細かくていいですね。

そもそもこの肉塊くんの動き自体も本当に細かくて良く出来ていまして、移動する際には触手を伸ばし壁や天井を自動的につかみ、壁に張り付きたいなと思ったらしっかりその通り動いてくれます。

まるで空中を飛んでいるような動作ですが、しっかりと床、壁、天井に触手を伸ばしてそれを基準にして動いているみたいです。上記のビデオクリップのように天井が高い場所で動かしてみると分かりやすいですね。


ただ、基本的にはこちらの思った通り動いてくれはするのですが問題点もありまして、前提としてこの操作キャラクター、体力の増減に応じて質量が変わり、体力が多いほど大きく、少ないほど小さくなるのですが、どこを基準にして動いているのかが分かりにくいんですよね。

▲普通盛りと大盛り。なんか見てるとパスタ食べたくなってきません?

質量が大きくなると見つかりやすくなってしまうし被弾判定も大きくなる。というデメリット自体は「大きい状態が必ずしも正解ではない」という点でゲームバランスの調整に役立っていると思うのですが、先に述べた通り動かしにくいし、触手がどこから伸びているのか分かりにくいなどの問題を抱えています。
また、この質量はセーブポイントなど特定のポイントで変化させるか、犠牲者を捕食する、被弾するなど体力の増減でしか変更できないのですが、特定の質量でないと突破できないギミックもあるので、ダメージを受けすぎてしまうと一旦戻る必要が出てきたりとテンポは悪いのも否めません。
一応、一度殺害した犠牲者たちは二度と復活しないので道を戻るのは難しくはない、のですがここでもう一つの問題、というか賛否分かれそうな点が出てくるのです。


【閑話休題:2】
ところで「CARRION」は「屍肉、腐肉」という意味の単語だそうです。実際ゲーム中でも、殺害した犠牲者の遺体を食べることで体力の回復を質量を増やしていくので相応しい名前かもしれませんね。てっきり関係ない単語なのかなと思ってました。だって「メトロイド」の主人公はメトロイドじゃないし…


というのもこのゲーム、マップが存在しないんですよね。なんならテキストやナビゲートも殆ど存在しないし、セリフに至っては一切ありません。ホラー映画のモンスターがマップを正確に把握できるのはおかしいという理屈は分かるものの、流石にこれはどうかなと思います。
この辺りも最初に「異色の作品」と述べた一因ではありますが、まぁ基本的に一方通行の動きで探索をしていくので、クリアするだけなら迷うことはないと思います。導線はよく出来ているし、ギミックを解かないと先に進めないし戻れないという場面が多いので、解法が分からないことはあれど迷うということはあまりないはずです。
ただ、それでもダメージを受けすぎて質量を回復するために戻らないといけない時など、ちょっと面倒なんですが、まぁどうしてもという場合にはメニュー画面からチェックポイントに戻ることもできますから、実際に遊ぶときは活用してみてください。


色々と良くない点も挙げましたけど、このゲームのコンセプトを実現させようとすればするほど、こういうゲームになる事自体は理解できるんですよね。

例えば、操作キャラクターを強くしすぎるとゲームとして成立しないのであれば、非武装や拳銃程度なら問題ないが重火器には弱いくらいのバランスでなければいけないし、そうなるとステルスがメインになる。
そして、パニックホラーの怪物という目線で描く以上、ある程度強力なモブや大ダメージを受けるギミックはともかく、互角の戦いができる「ボス」は用意できないというのも分かります。
一度殺害したモブはリポップしないのも当然といえば当然で、この手のホラー映画の犠牲者がカットが変わった瞬間出てこないのと同じです。そんなの肩透かしですからね。
これは先にも触れましたけど、操作キャラクターがそもそも人間ではないのであれば、知能の有無はともかく正確なマップを把握できるというのも変です。
更に、マップがない以上は探索要素を複雑にできないので、一方通行など多くして導線を厚くしたり、同じルートを条件を変えつつ何度か行き来するマップデザインにするというのも理に叶っていると私は思います。
そして、最初のプレイ時間でなんとなく察した方もいると思いますが、ボス戦もマップもない以上、ボリュームを増やすことが出来ないのもまた道理。ただ、その分新しいステージに行く度に新たな能力を手に入れることができるのでゲーム全体のテンポはいいし、短いとはいえ全く飽きずに遊べました。グロすぎてちょっと気が滅入ったけど…

こういうコンセプト重視の一極集中的なゲーム性って実にインディーズゲームらしいですよね。マップなし、情報なし、セリフなしの超ストロングスタイルでかなり癖は強いんですけど嫌いにはなれません。

ということでそろそろまとめに入りますか。


■まとめ

☆良い点
・恐ろしい怪物になりきり無慈悲に襲いかかる「ホラー映画の怪物」体験は唯一無二の面白さとカタルシスがある。
・キャラクターから背景オブジェクトに至るまで、ドット絵の出来や挙動は素晴らしい。

☆良くない点
・操作キャラクターのサイズが大きくなると操作面で不自由になる。
・コンセプト上仕方がないが、ボリュームは少なく、マップやボス戦もないかなり独特な仕様になっている。

☆総評(約500字でまとめると)

本作はホラー映画のモンスターになりきり、薄暗い研究所の排気口を這い回っては犠牲者を出していく。いうなれば逆ホラーとでもいうべきゲームとなっています。

そのため、主人公自体が最大の脅威なのでボス戦はなし、人間ではないのでマップも確認不可、よってナビゲーションもなし。とかなり異色なのも特徴で「コンセプトを突き詰めるため」と一応の納得はできるものの不親切とも言えて、ここは賛否両論分かれそうです。

ただ、それをふまえても丁寧に作られている印象で、導線はしっかり出来ていますし、チェックポイントも多いので迷うことはないでしょう。ボリュームは多くないのですが、新ステージに進む度たび新能力が手に入るので飽きませんし、ゲーム全体のテンポも良好です。

戦闘はステルス一辺倒でメリハリはないのですが、多彩な能力やその場にあるものを利用したえげつなく、残酷な怪物になりきるロールプレイには唯一無二の楽しさやカタルシスがあることも事実です。

総括するとインディーズだからこそ成立する、コンパクトだけどインパクトのあるアイディアのゲームといった感じ。グロ系に苦手意識がなく、パニックホラーがお好きなら遊んでみる価値はありです。


というわけで今回はここまでとします。
ここまでお読み頂きありがとうございました。

他のゲームのレビューもしているので、よければそちらもどうぞ~!

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#インディーズゲーム

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