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PS5がないので「Marvel's Avengers」を遊んでいたゲーマーの嘆き【今更ゲーミング Vol.2】

■今更ゲーミングとは?
最新作でもなければ、人気作でもない。歴史の闇に埋もれそうなゲームを「今更」発掘。そして紹介する変なマガジンです。「そういえばあのゲームってどうだったん?」っていう疑問の答えが分かるかも…?

本当は「Marvel's Spider-Man2」をやりたかったんですよね…

 そんな本音はさておき、世の中が「スイカゲーム」や「スーパーマリオワンダー」「Marvel's Spider-Man2」で盛り上がっていた中(もう2ヶ月以上前ですか…)、一人でちまちま遊んでいた「Marvel's Avengers」の紹介やっていきましょう。
 前回の「ゴーストリコンブレイクポイント」と違って既にPC版では購入できないタイトルなので、マジで今更感が凄いんですがこれも発売当初から興味はあったもののスルーしてきたタイトルでした。(コンシューマ版は市中在庫さえ手に入れれば遊べます)
 この時点ですでに嫌な予感がした貴方、ありがとうございます、多分前回も読んで頂いたのだと思います。「ナンノコッチャ?」な貴方は先のリンクから前回をどうぞ。

 改めて本作の概要を。本作は2020年に販売をスクウェア・エニックス、開発に「トゥーム・レイダー」シリーズで知られるクリスタル・ダイナミクスというタッグで発売されたタイトルで、ジャンルは「オンラインアクションRPG」。
 日本でも知名度を得たアメリカンコミックのヒーローチーム「アベンジャーズ」と、アベンジャーズの大ファンの少女「カマラ・カーン」をメインにしたオリジナルストーリーを楽しめるだけではなく、最大四人で行える協力プレイというのも売りの一つでした。
 レベリングやトレジャーハントの要素がある点で「バットマン:アーカム」シリーズや「Marvel's Spider-Man」とはかなり毛色が異なっていて、コンシューマであれば「マーベル アルティメット アライアンス」シリーズが近しいと思います。

 なお私のプレイ状況ですが、全編シングルプレイながらキャンペーンモード「リ・アッセンブル」からダウンロードコンテンツ「ワカンダの戦い」までクリア済み。キャンペーン以外のミッションやマルチプレイの感想はないものと思ってください。
 また、この項目に書いている内容は2023年9月時点のものなので、発売当初の出来事など過去の事には触れません。そしていつも通り、簡単なまとめを記事の最後に書いておきます。ささっと結論だけ読みたい人は目次から「まとめ」へどうぞ。ってことで今回もよろしくお願いします。

■目次


■良い点1:暗めながらも王道なストーリー

 まず本作のメインストーリー「リ・アッセンブル」の内容は本作の良い点の一つ。折角なので簡単なあらすじを書いてみます。

 本作のアベンジャーズは既にヒーローチームとして絶大な知名度と支持を作中世界で獲得。彼らの活躍はコミックとして広く親しまれるまでに至っており、主人公の一人であるカマラ・カーンもファンの一人だった。

 そんな折、新技術「テリジェン」を利用した新型のヘリキャリア(空飛ぶ空母兼基地)の除幕式を兼ねたファンセレモニーを行うアベンジャーズだが案の定新技術が暴走。更にはテリジェンを狙う勢力の攻撃もあり事態は混迷を極める。

 謎の勢力を退けるも、テリジェンの暴走は止まらずヘリキャリアは爆発し、現場で暴走を食い止めようとしたキャプテン・アメリカ含め数百人の犠牲者が出る大惨事に発展。責任を問われたアベンジャーズは解散を余儀なくされ、「A-Day」と呼ばれることになったこの惨劇をきっかけにスーパーパワーを持つ者たちは非難の的にされてしまう。

 それから5年、テリジェンの影響で突然変異を起こした超能力者が「インヒューマン(非人間)」と呼ばれ迫害を受ける監視社会と化したサンフランシスコにて、A-Dayの現場で自らもテリジェンの影響を受けながらも「ある事実」を知ったカマラは現状の打開のため、そしてアベンジャーズの汚名をそそぐため一人立ち上がる。

 というお話で、メインストーリーは基本的にカマラの視点から語られていきます。年齢も若くヒーローとしても未熟な彼女ですが、時に周りを巻き込み、時には周りに導かれつつ持ち前のガッツと直向きさを武器に突き進み成長していく様は主人公として好感が持てました。
 一方でタイトルにもなっているアベンジャーズの面々はA-Day事件の影響もあり意気消沈。ハルクとブラックウィドウは行方不明、ソーはハンマーを捨て、アイアンマンは会社を買収され、キャプテン・アメリカは死亡、市民からも公共の敵扱いと平常運転散々な有り様。
 打ちのめされてしまった大人たちと、そんな大人たちに憧れて育った子ども。彼らの邂逅をきっかけにチームが「再集結」するまで、そして一人の少女が憧れてきた「ヒーロー」になるまでのお話で、意外性こそないものの王道で実直なストーリーは十分見応えあり。

 良い意味で驚いたのが、ハルクことブルース・バナーがかなり優遇されていたこと。一人目の仲間がハルクですし、性能面でも強みが分かりやすく扱いやすいのもグッド。ハルクはキャラクターの性質上、他のメディアではかませ犬扱いを受けることも多いので本作での活躍は意外でありつつも嬉しいですね。
 ストーリーにおいては、A-Day後の公聴会で自ら「アベンジャーズが社会の脅威である」と証言をしたことでチーム解散に決定打を与え、その事で仲間たちからは疎まれつつ、バナー自身も深い後悔を抱えてしまいました。
 カマラからA-Dayに関する新事実を伝えられても協力を拒むほどでしたが、「意図せず手にした能力のせいで迫害を受ける」というかつての自分と似た境遇の中でも挫けないカマラの姿を見て徐々に態度を軟化させていくわけです。ぶっちゃけこのゲームのヒロインといっても過言ではない。

■良くない点1:とにかく、とにかく説明不足。

 ただ、ストーリーに関しては幾つか問題を抱えているのも確かです。まず、カマラとメインヴィラン以外のキャラクターや組織に関しては背景の掘り下げがほとんどされないので、映画やコミックなどに触れて前提知識がないとついていけないでしょう。
 それと、大筋こそ良いものの、掘り下げなどを省きに省いた結果、メインストーリーも内容はともかくボリュームは今ひとつ。かなり性急に話が進んでいくし、翻訳の都合なのか脈絡のない進み方をすることもある…
 だけならまだマシなんですが、アップデートで追加されたであろうセリフやDLCの範囲までいくと唐突にキャラクターが英語で話し始めたり、日本語と英語が同時再生されたりといった怪現象が起き始めました。説明不足もそうですが翻訳の質もあまり高くないですね。

 加えて少し面倒なのがアメコミ特有のマルチバース問題。本作はマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)関連の映画や、同じ「Marvel's」のタイトルを持っている「Marvel's Spider-Man」などとは一切の繋がりがないオリジナルの世界観だということも理解しておかないといけません。
 この記事の仕上げをするにあたってネット上の情報を色々見て回っていたのですが、MCUと混同しているコメントもちらほら見受けられました。これに関しては日本のプレイヤーに馴染みがないマルチバースの概念をゲーム内で十分に説明を出来ていない事が問題だと思います。
 一応設定の掘り下げについては、サイドミッションやマップ上に散りばめられた収集要素のテキストでも行われているのですが、前者は解禁条件が説明されず、キャンペーンミッションは一度クリアするとミッションセレクトで再挑戦できないこともありテキストの再回収はかなりの手間です。(一応通常ミッションでもランダムでボックスから回収はできるらしいです)

 説明不足という点について更に言うと、ゲーム内のワードチョイスについても本作はかなり独特です。例えば以下の画像は、キャラクターセレクト画面におけるステータス表示なんですが…

 まぁ「筋力」はなんとなく想像こそできますが、他は一見してどれが何を示しているステータスなのか分かりません。一応各キャラクターのインベントリ画面まで開けば、それぞれどういった性質の項目であるかの記載はありますが、一番多く見る場所がこれでは分かりにくいですよね。
 こういったワードというのは、文章だけではなくアイコンとしての役割もあるわけですから、一見した時に理解できるようにしておかないと意味がないと思います。
 ちなみに、普段はゲーム内のワードもできるだけ表記通り記載しているのですが、今回は例外としてわかりにくいものは言い換えていくこととします。

■良い点2:操作キャラクターは多く、このレベルのグラフィックで動かせることには価値あり。

 良い点の2つ目ですが、この規模のグラフィックのゲームで複数のキャラクターを自由に操作できるということ自体が評価点だと思っています。「それはちょっと苦しくないか?」って?まぁちょっと聞いてください。

 マーベルコミックのキャラクターを題材にしたゲームは古今東西かなりあって、中には操作キャラクターがもっと多いものもありますけど、そういうゲームはどうしてもアクション性やグラフィックに限界がありました。
 その点本作は10人近くのキャラクターが居るにも関わらず「Marvel's Spider-Man」や「バットマン:アーカム」シリーズなどに近しい、現代水準のグラフィックとアクション性を両立できているので、この点は評価されるべき点だと思っています。
 特に凄いのがスキンの数。一つのキャラに20個前後のコスチュームがあってコミック由来のものからオリジナル、映画版のコスチュームまで揃っていて選り取り見取り。それも細かなバリエーション違いもある手の込みよう。

 アクション面について掘り下げていくと、近接攻撃は勿論、各キャラに設定された遠距離攻撃は性能やモーションもしっかり区別化されているし、アイアンマンやソーなど飛行可能なキャラクターは操作中任意で飛行状態に切り替えることが可能で、空中戦と地上戦をシームレスに行うことが出来るようになっています。
 攻撃技もかなり豊富。ボタンによって出せる軽攻撃と重攻撃は、回避やダッシュ、ジャンプといったキャラクターの状態との組み合わせ、ボタンの長押しの有無などによって異なる攻撃になりますし、クールタイムが存在する3つのスキル、スタンさせた敵に行うフィニッシュムーブなど、種類の多さとモーションの作り込みには素直に感心しました。
 もう一つ、各キャラには特殊ゲージを利用したアビリティが設定されていて「防御」が主な用途という共通点こそあるもののキャラクターの設定やスーパーパワーを再現していて面白いのです。せっかくなので画像と例を挙げてみますね。

▲ゲージが無くなるまで攻撃力と防御力がアップ&攻撃の度に体力回復。(+ここには記載はないが弱いダメージを無効化)
▲シールドで防御する度にゲージ消費、ジャストタイミングならパリィで無消費になる。
▲攻撃を受けることでゲージが増える上、そのゲージを用いて強化された攻撃が使用可能になる。

 特にブラックパンサーはダウンロードコンテンツ最後のキャラクターということもあって、独自の仕様が多くかなり手の込んだ作りになっています。せっかくなのでどんな動きをするかGIF画像でどうぞ。

 まるで映画みたいですよね。こういった動きを実際に操作できるというのは本当に凄いと思います。

■良くない点2:実際のゲームプレイには難あり。アクションゲームとしての出来は正直イマイチ

 スキンやモーション、キャラクター性能の熱量は素晴らしいものの、残念ながら肝心のゲームプレイの部分は同ジャンルの先駆者ほどの面白さや目新しさはなく、正直イマイチです。理由は二点あると思っていて、一つは「アクションゲームとしてのバランスの悪さ」、二つ目は「RPG要素とアクション要素が致命的に噛み合っていない」こと。一つずつ深掘りしてみます。

・アクションゲームとしてのバランスの悪さ

 まずそもそも「どうあればアクションゲームとしてバランスが取れているのか?」という話なんですが、ものすごく簡単に言ってしまうと「難しくても理不尽ではない」というのが理想形だと個人的には思っています。
 と言ってしまえばなんとなく察しが付くと思いますが、本作の敵はかなり理不尽な攻撃をしてきます。それもボスクラスではなく雑魚や中ボスレベルの敵ですらかなりの理不尽を強いてくるんですよね。

 そもそも敵の攻撃は大まかに「青、黃、赤」の三種類。青は防御可能、黄色はジャストガードによるパリィのみ有効、赤はパリィ不可なので回避するしかない。と分かれていて、攻撃前のエフェクトで判別できるようになっています。ではここで動画を一つどうぞ。

 攻撃前の予兆が短すぎてモーションを見てからパリィと回避を判断することが出来ないレベルなのですが、これ一応通常難易度なんですよ。しかもこういった攻撃に限って、状態異常など厄介な効果付きだったりするから余計にたちが悪い。
 ガード不能な攻撃の存在自体は文句はないのですが、攻撃の「危険度の高さ」に応じて「予兆を長くする」などしてバランスをとるのが一般的だと思いますし、これではただひたすらに理不尽なだけでスリルもなにもありません

 また、敵の攻撃には遠距離攻撃も存在しますが、そちらもバランスが取れていません。そもそも「一対多スタイル」のゲームにおける遠距離攻撃は、プレイヤー側の対抗手段が少ないという点で「危険度が非常に高い」為、以下のような段階を踏むことが多いと思います。

①音やモーションなどで大きな予兆を示しつつ
②こちらに照準を合わせ
③その時点でプレイヤーがいた「位置」に対して攻撃を行い
④射撃中もそこからあまり大きく照準をずらさない

 これによって「接近して先手を取る」もしくは「回避を行う」といった対抗手段を実施するための猶予を生み、リスクとリターンのバランスを取る。というのが基本形だと思うのですが、本作の場合はというと…

 先に書いた4つの段階に関して、いずれも十分に行われていません。もちろんそれが絶対的なルールと言うつもりはありませんが、どれか一つでも徹底されていれば理不尽感も少しは低くなったように思います。

 更に厄介なのが、遠距離攻撃を行う敵の中にはこちらの接近に対してワープを行うものがいるという点と、一定以上のランクの敵はこちらの攻撃に回避行動を取る仕様。このゲームは戦闘フィールドがかなり広めなので画面外からも遠慮なく攻撃が飛び交ってくることもあり手がつけられません。
 一応プレイアブルキャラクターの機動力は全体的に高く、先述の通り全員遠距離攻撃を使えるものの、殆どのキャラクターは連射速度が低めです。ただでさえ乱戦の中で遠くの敵を一発で狙うのはハードルが高いのに、上手く狙えても回避されて次弾の発射まで隙だらけ。かといって接近戦で手数を補おうとすればワープ。と恐ろしいジレンマが待っています。

・RPG要素とアクションが致命的に噛み合っていない

 ところで「アクションRPG」というジャンルの良さってなんでしょう?個人的には「アクションが苦手でもRPGの要素を突き詰めることでクリア出来る」かつ「アクションが上手ければRPGの部分を多少おろそかにしてもクリア出来る」事だと思います。
 アクションの難しさ、敵の攻撃を避けたりチャンスを見計らって攻める工程を、レベルを上げたり、バフ・デバフや状態異常付与などの補助によって解決する。逆にアクションが上手ければ時間をかけてレベルを上げたりせずとも、攻撃を見切り続けてクリアできる。こういう柔軟さが魅力的なわけです。
 ただしこれはアクションとRPGの良い点が相互作用した場合の話。ではもしも悪い点が相互作用したら…?アメコミ名物”What If”ってやつですね。

 まずキャラクターのレベル(正確には「パワーレベル」)に関して、少なくともキャンペーンモードにおいては機能していません。そもそも、各キャラのレベルは4つの装備に設定された数値の平均から算出され、ミッションに設定されたレベルとの釣り合いによって適正難易度かどうか判断されるというのが基本的な仕様となっています。
 ただし、キャンペーンモードの各ミッションは、適正レベルがその時点で到達できる最大レベルと同じ数値に設定されるという仕様があるので、通常難易度で遊んでいる場合いくらレベルを上げても、ミッションの適正レベルも一緒に上がるので意味がないのです。

▲こんな感じのループによって新しい装備に更新し続けることが求められる。

 また、装備は単純にステータスを上げるだけではなく、条件付きでバフをかけたり、状態異常の付与を行える「パーク」(特殊能力)を持ったものもあるのですが、常に装備を更新し続ける必要がある為、狙った特殊能力の装備があってもすぐに型落ちになるというのも問題だと感じました。

 こちらの状態異常は装備の仕様の都合あまり機能していないのに対して、敵専用の状態異常が極めて厄介、というか正直不快なレベルなのも問題です。中でも序盤から登場する「抑圧」は一定時間ダッシュと回避行動を封じるという効果があります。
 繰り返しになりますが、本作の敵の攻撃はガード不可のものも多いうえ予兆も短く避けにくいものが多いのです。そんな状況で回避行動やとっさに距離を離すダッシュを封じられたらどうなるか。言うまでもないですよね。
 特にひどいのが先程遠距離攻撃に関する動画にも出てきたボス「マエストロ」。あの超ホーミングの咆哮はこちらに抑圧を付与してきますし、ボス戦中、広範囲に瓦礫が降り注ぐギミックが延々と続きます。DLCのボスだからってやり過ぎでしょう。と思いながら戦ってました。

 開発側としては異常耐性を得られる装備を使って欲しかったんでしょうが、現実には運良く必要なタイミングで拾った装備に付いていることを祈るしかないわけで、これではアクションの理不尽さを解消するどころかむしろ悪化させていると言わざるを得ません。
 一応、キャンペーンモードをクリアさえしてしまえばレベルキャップが機能するので装備にも選択の余地が生まれるのだとは思います。ただ、レベリングやトレジャーハントなどのエンドコンテンツを前提にしたこの仕様は、キャンペーンモードとの相性が恐ろしく悪い。
 オンラインゲームにおけるキャンペーン(ストーリー)モードというのは、ものすごく広い目で見た場合、エンドコンテンツをこなせるようになるためのチュートリアルという側面もあると思うんですが、これでは入門する前にふるい落とされてしまいます。

■その他:オンライン要素に関するアレコレ

 ではオンライン要素自体の評価はどうかという話なんですが。最初に書いた通りマルチプレイは一切していないので正確な評価はできません。ただ「オンライン要素との兼ね合いでこうなったんだろうな」という仕様がシングルプレイ中に散見されたので最後にその辺りについて触れていくことにします。

・ボスキャラの人選がイマイチ…

 本作のような、いわゆる「キャラゲー」の良いところと言えば、お馴染みのキャラクターを操作してこれまたお馴染みの敵役と戦えるところ。本作もボスキャラとしてコミックや映画で知名度のあるヴィランが登場するのですが、正直中途半端な人選だと思ってます。
 キャンペーンに登場する6体の内、タスクマスターとアボミネーション、そしてラスボスとなるメインヴィラン「モードック」は知名度のあるヴィランなのですが、残りの3体はオリジナルのキャラクター。というか大型の無人ドローンと、ザコ敵としても登場するメックの強化版なのでキャラクターですらない始末
 ダウンロードコンテンツも含めると更に5体のボスが増えるのですが、その内の2体もオリジナル。というか1体はキャンペーンに登場した大型ドローンの強化版でした。

▲(どうして私はアメコミゲーで知らない巨大メカと戦ってるんだろう…)となっていた図

 ついでにいうと「アボミネーション」と、先程触れた「マエストロ」はどちらもハルク由来のヴィランというのもちょっと疑問があります。せっかくアベンジャーズが勢ぞろいしているのですから、ウィンター・ソルジャーやロキなどメンバーそれぞれに所縁のあるヴィランを出せばいいのにと思わずにいられません。
 まぁこれに関しては、最大4人のプレイヤーで戦う以上、操作キャラと同じサイズの敵では戦いづらいから、ある程度サイズの大きなヴィランにしたい。という考えがあったんでしょうが、大きいのもちょっと問題で、攻撃予兆のマーカーは敵の頭上に出るので画面から見切れてしまう事があるんですよね。
 それにストーリーでアボミネーションと戦う際はハルクを操作するんですが、順当ではあるものの意外性には乏しいですよね。折角ならアイアンマンがハルクバスターを使ってアボミネーションと戦うみたいなシチュエーションも見てみたかったな、なんて思うわけです。

・ゲームプレイの大半が単調

 マルチプレイを前面に押し出した本作の設計。これによって発生していると感じたもう一つの影響が実際のゲームプレイにおける単調さです。

 一応、アイテムが手に入る寄り道や、一定時間規定されたエリアを守り切る、スイッチを探して扉を開ける。といったバリエーションはあるものの、基本的には「戦闘→進む→戦闘→進む」というサイクルが変わることはなく、競合作ほどアクティビティに種類はありません。
 キャンペーンミッションではカマラがスーパーパワーを用いて「トゥームレイダー」顔負けのアスレチックを繰り広げたり、アイアンマンが高速飛行しつつ敵地に強襲するといった展開があり面白いのですがそれも少数で、遊んでいる時間の大半は広いだけで特段ギミックがない荒野や市街地を進むだけ。そちらは退屈ですし、戦闘においては広さが仇になっているというのは先に触れた通りです。

 また、本作の発売前に最初のミッションをプレイしている映像を公開していたんですが、その内容が目まぐるしく変わっていく状況の中で、アベンジャーズを切り替えながら進んでいくというもので、まるで映画のようでした。まだ動画は残っているのでリンクを貼っておきます。

 これを見たときは「これを操作できるなら絶対面白いじゃん!」と思った記憶があるのですが、実際にはこういうシチュエーションも殆どなく、多くのキャラが入れ替わり立ち代わりというのはラストミッションまでお預けだったのは驚きました。
 全員が集合するのは終盤の出来事ではあるものの、中盤には3人以上揃うのでもう少し上の動画のようなミッションがあっても面白かったと思うんですが、せいぜい新規キャラクターが加入する際に操作が切り替わる程度なのも残念です。

 改めて、「面白い」としたキャンペーンモード限定の演出を見ていると、開発元のクリスタルダイナミクスの長所が「トゥームレイダー」シリーズで培った映画的なシングルアドベンチャーを作ることの上手さであることを再認識させられます。
 実際スーパーヒーロー版「トゥームレイダー」という開発元の得意な方向に突き詰めていったら、オープンワールドが主流の現代ゲームを相手にしても十分通用したんじゃないかと思うんです。本作のこれは、どうにもイタリアンレストランでコースを頼んだら、コースの所々で最高級の和食が出てきた。みたいなちぐはぐ感があるんですよね。
 推測でしか有りませんけど、オンライン要素との兼ね合いで色々な制限があり、かつそちらにリソースを割かれてシングルプレイの部分の調整もままならず。結局開発元の良さを発揮できたのは一部だけ。なんて事があったんでしょうかね。そんなふうに考えてしまう出来でした。

■まとめ:悪くはないが…

 良くもない。というのが正直な感想です。まず、事前知識こそ必要なものの、メインとなるストーリーは短めながらも良い内容でした。絶望的な状況に諦めてしまった大人たちが、ヒーローを信じる少女と出逢い立ち直っていく中で、大人たちの教えもあり少女もまた本物のヒーローに成長していく。そんな王道の良さがあります。

 キャンペーンモードに関してはアドベンチャーの部分も良い出来で、スーパーヒーロー版「トゥームレイダー」的なアスレチックや、超人パルクール、パワードスーツでの高速飛行など、数は少ないものの凝った演出が多いし、多彩なアクションと個性豊かなスキルを持つキャラクターたちを自分で操作できる楽しみは格別です。

 ただし、アクションゲームとしてはかなりバランスが悪く、理不尽で反応しきれない攻撃や、回避をさせる気がない射撃など調整不足感が否めません。また、機能していないレベルシステムやアクション要素とあまりにも相性の悪い状態異常など、「アクションの難しさをRPGの部分で補う」というアクションRPG特有の良さを活かしきるどころか悪化させているのも残念。

 一人プレイのゲームとして演出を更に強化していれば、マルチプレイの分のリソースをバランス調整にあてられていれば、日本でもマルチバース設定を少し浸透した現在に出ていれば、あとスクエニがもう少し日本での販促と翻訳をがんばって、スパイダーマンをプレステ限定にせず、ライブサービス型ゲーム全盛期の2010年代後半に開発されていなければ、そんな「たられば」をどうしても考えてしまう。そんな作品でした。

■あとがき

 ここまでお付き合い頂きありがとうございます。一通りゲームを遊び終えてから仕上げのために情報を仕入れているんですが、ユーザー主導の攻略Wikiを見て初めて分かった情報がとにかく多くびっくり。
 私は基本的に一通りクリアするまでは攻略情報を見ないことにしているんですけど、もしも万一にこれからPS4版などやるって人は絶対に読んだほうがいいでしょうね。流石に直近の更新は途絶えていますけど、ユーザー主導Wikiが廃れて久しい時期のゲームにしてはかなり熱量を感じ取れるWikiでした。

 さて、第一回からかなりの期間を空けつつも、なんだかんだと続いた謎の企画「今更ゲーミング」。次回は同じくスクエニから発売され、プラチナゲームズが開発をした伝説のゲーム「バビロンズフォール」をご紹介…

しません!!

 滑り込みで購入できた本作と違ってアレは買えませんでした。プラチナゲームズは好きなのでちょっと興味はあったんですけどね。まさかサービス終了後の1人プレイもできないとは思いませんでした。

 実際にご紹介しますは、映画でもお馴染み、日本国内でもスパイダーマンと同等の知名度を持つヒーロー「バットマン」の最後の戦いを描いた名作アクションゲーム!

「バットマン:アーカムナイト」!!

 とはまた別の世界観でバットマンの死とその後の世界を守る若い騎士たちの戦いを描いた!

「ゴッサムナイツ」くんです

マルチプレイ推しゲーム軍団との最後(?)の戦いが今始ま…

りました。↑

 というわけで今回はここまで、お読み頂きありがとうございました。

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