元盲目の彼女と別れた話 日記 10月16日

 今日は珍しく部屋を掃除したい気分だったのでニートの有り余る時間を用いて部屋の隅々まで掃除をしていた。
 そしたら高校生時代に使っていたスマホを見つけたので高校生時代の話をしたいと思う。
 高校生時代の私は今と変わらず冴えないチー牛であった。
 そんなチー牛の私には、なぜか私には彼女がいた。
 個人の特定を避けるために出会いは書かないが、まあ色んな事が重なり、私に彼女が出来てしまう。
 まぁ、彼女は事故で盲目になってしまっていて、それの介助もかねてのお付き合いだったので、諸兄等が思うようなラブなロマンスも、劇的なストーリーも無いのだが。
 まぁそんな彼女に振り回されたり、疲れたりしながらなんとか過ごしていた私の耳に、一つの報が飛び込んだ。
 なんとIPS細胞を用いた実験手術の対称に選ばれたという。
 で、なんと治ったのだ、眼が。
 そもそも軽度の盲目であったこと、後天性であることなどが幸いしたのだと言われていた気がするが、まぁ何せ結構昔の事なので私は覚えていない。
 
 眼が治ってもなお彼女との付き合いは続いていたのだが、眼の治った彼女は凄まじかった、視力を取り戻したことで行動範囲が広がり、それに比例するように増大した行動力、視力がない時代に得た研ぎ澄まされた感覚は様々な所で才として発揮された。
 
 まぁそんな彼女の才に嫉妬したり、行動力に辟易としている内に私は付き合いが辛くなってきた。
 で、別れたのだ。まぁもともとが介助も含めてのお付き合い、眼が治った以上、私といる意味も大してないし、そもそも私は異性としては魅力的ではないのだから当然としては当然である。
 帰り道、なんだか心が少し軽くなったのを今でも覚えている。
 そんな事を今日見つけたスマホを見て思い出した。
 
 ちなみに上記のほとんどは嘘である。
 今日は部屋を掃除してないし、高校生時代のスマホを今日見つけたわけでもないし彼女もいたことない。唯一の真実は高校生時代の私がチー牛だという事だけである。悲しいね。
 それではさようなら。 


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