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恋の短歌

離れていく君を認めたくなくて
この手でわざと突き放す馬鹿

思い出は全部捨てたと言う人の
背後溢れたままのゴミ箱

愛なのか愛じゃないのか抱きしめる
前に申告いただけますか

熱心にアイスの棒を噛み続け
終わったことが信じられない

そうやって君は勝手に幸せに
なっていくんだ知らぬところで

あなたには必要のない神様を
必要とする人もいるから

ここにある君の体とここにない
君の心を縫い合わせたい

君ん家の柔軟剤を知った日に
買い替えたんだ超キモいだろ

短冊に愛されたいと書いた人達を集めて
愛し合わせる

犬になり大好きな君引っ張って
波打ち際を走りたかった

諦めの境地に達しあの人の
幸せばかり願ってしまう

幸せになれただろうかおれのこと
選ばなかった正しい君は

君と食うマクドナルドが好きだって
気づいてしまいしょっぱいポテト

歯軋りの顎の動きがヤギすぎて
心配なのに笑ってしまう

振り向いてくれない人のガラ空きの
背中いつでも刺せるから好き

まさよしもビビるくらいに君のこと
捜してしまう忘れたいのに

間に合ったギリギリ夏のバーベキュー
手遅れだった君との全部

今更と思わなければ間に合った
ことが沢山あって、今更

飲み屋から聞こえる下手な歌声の
せいで泣かずに済む助かった

秋だって言われたのか飽きたって
言われたのか聞き返せずにいる

なんでもない日も写せばよかったと
後悔をするなんにもない日

死んだってことにしておけアルバムの
消せない写真は全て遺影

ガス切れの百円ライターおまもりに
してしまうほどなにもなくて

初雪を毎年別の人と見て
おそらくこれも積もらない雪

時々はあなたのことを思い出す
夜が短くなってきた 春

携帯を握りしめている
大切にしたかったことばかり増える

起こさないようにベッドを抜けるとき
スライムみたいな私の動き

本当に好きってなんやねん嘘の
パターンもあるみたいでワロタ

鳴り止まぬ通知それでも寂しいと
言う人といる 濃いめのサワー

パンばかり食べてるだって楽だから
楽だからあなたが好きだった

思い出の色が褪せてく脚色を
すれば綺麗になるからしない

でも幸せならOKですニキの
真似をしてみる 語尾が震える

忘れ物常習犯が玄関で
心の所在を問われている

恥ずかしいあだ名で呼ばれド田舎の
スーパーに吹く湘南乃風

も〜嫌だ!そういうところ!直せって
はなしじゃなくて死ねってはなし!

君のこと考えてたら歯磨き粉
しぼりすぎて辛くて涙が

多分これすきだろうなと保存した
レシピばかりのフォルダを消した

どこまでが川なのだろう汽水域
眺める僕らずっと曖昧

ドラえもん覆水盆に返してよ
無理ならなんか拭くやつ出して

おれみょんが “君は短歌を読まない” を
切ない顔で歌っています

日に焼けて剥けた薄皮カゲロウの
翅みたいだね毟らせてくれ

終わりって急にくるからひとりでも
生きなきゃだからそのために撮る

体格のせいだ私が後ろから
抱きつけば縋るようなかたち

初めからなかったことにできなくて
非表示にするくらいの抵抗

折り合いをつけてつけてつけまくる
そういう遊びだ嫌なら帰れ

植物をまとめて「草」と呼ぶおれに
君が教えたエバーフレッシュ

簡単に尻を出さない子のほうが
一等賞を獲れるらしいよ

ひとりでもなんでもできる君だから
好きだったのに 結婚ですか

優しさが枯れちまったよもう君の
望む言葉を言ってやれない

口実を練ってる暇があるんなら
何も言わずに会いに行きなよ

君のこと大好きなのに目の下の
痙攣が止まらなくて困る

そのままの君でいいよと手放しに
肯定をしたみんな嘘つき

トルコ人なみに翻弄しやがって
結局アイスくれないんかい

もう二度と会えない人に会いたくなる
ような夏の夕暮れだった

残ってる瞼の裏に焼きついて
失ったものばかり眩しい

誕生日おめでとう君がいなけりゃ
こんな思いしなくて済んだ

久々に会ったらやっぱ無理だった
あなたは夏と同じ位置付け

インド人を右に おれは左に
きみは真っ直ぐ前だけを見て

絆創膏みたいな扱いされちゃって
もうひとりでも大丈夫かい

缶ビール片手に現れてごめん
会いたくないけど会いたかった

おれたちは言いたいことが多すぎて
逆に黙って誤解を招く

君なしじゃ生きていけないとか言って
全然生きてるまだまだ生きる

うそだろッ…あの一撃を食らっても
びくともしないなんて愛だろ

もう好きじゃないんだなんて言えなくて
惰性できみと聴く新曲

遠雷であればそこまで怖くない
きみよ遠くで幸せになれ

遊んだら片付けないといけなくて
花火のあとの匂いは寂しい

アホっぽい笑顔が好きと撫でられて
アホでもなんでもいいと思った

祭り行こうぜと手を引いて
暗く涼しい部屋から連れ出してくれ

柿ピーの柿だけを食いたい人を
募集してますピーは任せて

手のかかる子ほど可愛い飲みすぎて
転んだ人を慰めている

早く手を繋げって煽られている
絡まったまま泳ぐクラゲに

タグが内側にくるよう干すタオル
面倒くさいとフラれてからも

風が吹くだけでヒリつく柔弱な
肌をあなたはしっとり包む

恋愛の愛の部分にこだわって
気づけば恋ですらなくなった

ただ懐かしんでいただけもう一度
会いたいなんて認めたくない

遊び遊ばれる関係ブランコの
鎖の軋む音が淋しい

しがみつく指を一本ずつ剥がす
ようにあなたの写真を消した

難しいねって濁されてしまった
浅瀬にひとり取り残される

あーなんでいつも間違えちゃうんだろ
そんであなたを思い出してる

諸々に気づいていないふりをして
あげていること気づいてほしい

変な揺れ方をしているカーテンの
向こうに君がいたらいいのに

嗜好品の部類らしくおれだけじゃ
あなたは生きていけないようだ

ビンテージなんて言われて愛されて
来世は革かデニムがいいな

洗っても洗っても出てくる海の
砂はおそらく呪いの類い

失くなったといえばなんか他人事
みたいでおれが失くしたんだろ

気持ちいい気温やねって穏やかな
君に抱きしめられても寒い

「寂しい」のたった一言すら言えず
不貞腐れたような顔でいる

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