託羽屋

小説、エッセイを書きます。 たまに歌詞も書いたり、ラジオに出たり。 「四蜜」の一員とし…

託羽屋

小説、エッセイを書きます。 たまに歌詞も書いたり、ラジオに出たり。 「四蜜」の一員として文学フリマにも出店。 Instagramで日常のひとこと小説毎日更新中。

最近の記事

400字小説 「落葉と紅葉」

バスを乗り継いでようやく辿り着くと叔母が迎えてくれた。 「遠い所よく来てくれたわね。こんなに大きくなって!まずはお線香あげて頂戴」 挨拶もそこそこに祖母の部屋に通される。 亡くなったばかりにしては随分と片付いている。 「自分の死期を悟ってたみたいに身の回りも綺麗に掃除もしてて」 自分にも他人にも厳しかった祖母らしい。 幼かった私は厳格な祖母があまり得意ではなかったが。 ふと窓ガラスだけは埃が付いている事に気が付く。 「その窓だけは何故か触らせてくれなかったのよ

    • 400字小説 「紅く色づくシャーデンフロイデ」

      苛立つ思いで山中を急ぐ。 俺の住むど田舎のさらに山奥には、忘れ去られた相当に老朽化が進んだ橋がある。 それを渡った先の広場が誰にも邪魔されない俺のベストプレイス。 鮮やかに木々が色付くあの絶景でも見てむしゃくしゃした感情を落ち着けたい。 だがこの日は珍しく山中に人を見かけた。大きなカメラを持った女性だ。 「地元の方ですか?」 鬱陶しいことに話しかけてきた。 「この辺りで景色が綺麗な場所、ご存知ないですか?」 どうやら田舎の綺麗な風景を撮ってはSNSに上げるのが彼

      • 400字小説 「パパ、お月様撮って」

        「月」をテーマに書いた400字小説です。 ペデストリアンデッキに注ぐ月灯りに人が群がっている。 誰も彼もが空を見上げ、カメラを向けている者も多い。 部分月食と満月が同時に見られるらしい。 娘がスマートフォンで撮った写真を見せてくれる。 今はこんなに簡単に月の写真を綺麗に撮れるんだ。 科学技術が進歩し続けていることに内心驚き、何となく申し訳ないような気持ちも覚えていた。 満月が自分の物にならないことは勿論幼い頃から理解出来ていた。 幼い頃は月の見られない夜には写真を眺めた。

        • 同人サークル「四蜜」

          ひょんなことから2022年11月の文学フリマ東京に同人誌を買いに行った。 非常に面白い催しで、次回は是非自分も出店者側で参加するぞと決意したものの、自分の面倒臭がりっぷりを思い出し、仲間を探すことにした。 そして結成されたのが同人小説サークル「四蜜」である。 私の他に非常に個性豊かで面白い方々が3人集まり、無事に初の同人誌「甘い世界に浸っていたい」が完成。 2023年5月21日の文学フリマ東京に初出店した。 思っていた以上に多くの人に買ってもらい我々の中では成功を収め

        400字小説 「落葉と紅葉」

          小さな旅

          「旅に出よう」 ただ一言LINEが来た。六月下旬の金曜の夜である。 彼がそう言う時は決まって何か行き詰まった時だ。 どこかいい場所があるだろうかと私は考える。 「行きたい所がある」 一言だけ返した。 翌日中野駅で集合した。 中野駅から目的地まで徒歩だと30分近くかかる。 駅を出てアーケード商店街を抜け、中野ブロードウェイを素通りし、まずは天下一品のラーメンで腹ごしらえをする。 ランチセットで腹を満たした後、ようやく歩き始める。 迷うことなく今日の目的地に着いた。 哲学堂公園

          小さな旅

          胡乱なエッセイ始めます

          noteを始めてみることにした。 Instagram等にも挑戦はしてみているものの、 SNSは不得手だ。 というか何故かテクノロジー全般に対しての苦手意識がある。 しかし、人に読んでもらえる可能性のある場は活用したいという気持ちは強い。 このnoteというプラットフォームは何となく自分の肌に合っているような気がしている。 日々感じたことをこの場で胡乱なエッセイとして綴っていきたい。 世事に疎くはありたくない。

          胡乱なエッセイ始めます