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バイオ医薬品のトレンドについて

皆さん、こんばんは。
今日はバイオ医薬品のお話しです。
バイオ医薬品と聞いて、まず何を連想するでしょうか?
私は抗体医薬がまず頭に浮かびます。
でも、ところでバイオ医薬品の定義とはなんだだっけ?と不安になったので、ちょっとググってみたところ、「バイオ医薬品とは、遺伝子組換え技術や細胞培養技術を用いて製造した タンパク質を有効成分とする医薬品です。 」と書かれていました。

タンパク質が有効成分とのことなので、抗体医薬品はまさにバイオ医薬品に含まれるのですが、この定義だと細胞を患者さんに投与する再生医療はバイオ医薬品に含まれないのだろうか?と疑問が湧きます。

再生医療で患者さんに移植した細胞が体内で生理活性を示すのはタンパク質をはじめとする色々な成分を発現して分泌するからだと思うのですが、そうしたらタンパク質を有効成分と考えて、再生医療もバイオ医薬品に含まれると解釈することも出来そうです。

遺伝子治療の場合は文字通り遺伝子をウイルスベクターなどに組み込んで患者さんの体内に投与するので、有効成分は遺伝子なのかと思いますが、体内に送達された遺伝子はタンパク質を発現して機能する訳ですから、有効成分はタンパク質と考えることが出来そうで、遺伝子治療もバイオ医薬品に含まれるのかな?と言う気もしてきます。

バイオ医薬品の定義の問題はややこしいし、時代とともに変わりそうな気もするので、今日のところはザックリとバイオテクノロジーを使った医薬品と定義することにして、抗体医薬、再生医療、細胞治療、遺伝子治療、核酸医薬、mRNAワクチンなども含めてお話しを展開したいと思います。

まず、バイオ医薬品の代表選手として、抗体医薬品、再生医療、核酸医薬を選び、これらの市場規模についてネットで調べてみました。

そうしたら、2022年の抗体医薬品の市場規模は世界で28兆円、2023年の再生医療の市場規模は3.5兆円、2021年の核酸医薬品の市場規模は、新型コロナのmRNAワクチンを含めて6兆円とのことでした。同じ年に揃えて比較することは出来ませんでしたが、それでもだいたいのことは分かりました。抗体医薬品の市場規模は現時点では再生医療や核酸医薬に比べて圧倒的に大きいと言うことです。なお、再生医療にはiPS細胞やMSC細胞などの幹細胞を用いた文字通りの再生医療のみでなく、遺伝子治療や細胞治療も含まれています。

さて、ザックリとした市場規模の違いについてイメージできたところで、それぞれのバイオ医薬品がどれだけ話題になっているのかについて調べてみようと思います。具体的には日経バイオテクの検索機能を使って、それぞれのバイオ医薬品のモダリティごとに、今年の1月から4月まででどれだけの記事があったのか、本数を調べてみると言う企画です。

早速、市場規模が圧倒的に大きい抗体医薬について調べてみたら61本でした。
次いで核酸医薬が29本。
mRNA医薬で15本、mRNAワクチンで13本でした。
そして再生医療が77本と最も多く話題にのぼっていることが分かりました。

さて、再生医療と一口に言っても、さきほども少し触れましたが、これはiPS細胞などのまさに再生医療のど真ん中の医療の他に、CAR-Tのように患者さんのT細胞を取り出して、癌細胞に対する殺傷能力を高めるように遺伝子改変して患者さんの体内に戻すような細胞治療、或いはウイルスベクターに疾患の原因遺伝子を搭載して患者さんに投与する遺伝子治療が含まれています。ですので、細胞治療と遺伝子治療のそれぞれについても検索してみました。すると細胞治療が26件なのに対して遺伝子治療が70件もありました。ただ、ここで注意が必要なのは、CAR-Tは遺伝子の改変もしているので、遺伝子治療に含まれる場合もあると言うところです。
整理すると、細胞治療にはiPS細胞やCAR-T細胞が含まれますが、遺伝子治療にはウイルスベクターを用いた遺伝子治療の他にCAR-Tも含まれる場合もあります。

よって次の段階では、細胞治療にしか含まれないiPS細胞、MSC細胞、遺伝子治療にしか含まれないウイルスベクター、そして細胞治療にも遺伝子治療にも含まれるCAR-Tのそれぞれについて検索してみました。

その結果は、
iPS細胞が13本
MSCが11本
ウイルスベクターが11本
ウイルスベクターとして最もよく使われるアデノ随伴ウイルスが16本
CAR-Tが55本。

これでCAR-Tが圧倒的に沢山話題にのぼっていることがハッキリしました。

日本のメディアでは再生医療と言えばiPS細胞ですが、グローバルで見ると今のトレンドはCAR-Tのようです。

ついでに、抗体医薬品に含まれるADCや二重特異性抗体についても調べてみました。ADCが43本、二重特異性抗体が23本でした。

以上まとめると、
CAR-T 55本
ADC 43本
二重特異性抗体 23本
アデノ随伴ウイルス 16本
mRNA医薬 15本
iPS細胞 13本
MSC  11本

となりました。
今日は以上です。
お疲れ様でした。

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