fair_serval635

会社員。小説、脚本書いてます サラリーマン辞めたい。責任感無。気力無。

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サボテン暮らしの宇宙人

 明らかに、サボテンは昨日より大きくなっていた。始めは気のせいだと思っていたけれど、この柱型サボテンが家にやってきてから日に日に大きくなっている。ミクリはメジャーを持ってきて、サボテンの高さを測った。昨日より十八センチもでかくなっている。壁に掛かっているカレンダーの日付に、測った数字を記録した。 十二月十九日 六十二.五センチ  誕生日の五日前。ミクリはもうすぐで二十二歳になる。女友達の優里から小包が届いた。中に入っていたのは高さが十五センチばかりのサボテンだった。殺風

    • 興梠さんの少女

       私に霊感はない。彩月(あやつき)れなは子供の頃からそう思っていた。宗教にどっぷりはまった親の影響だったのかもしれない。家の中は、厳しいおきてであふれていた。二十四時間三百六十五日、ほとんど隙間なく掟で埋め尽くされていた。朝起きてから夜寝るまで、時には寝ている間さえ、厳しい戒律が呪文のように唱えられていた。少しでも戒律を乱すと、厳しい罰が待っていた。小学五年生まで、罰を受けるたびに、親に対する憎しみが膨れ上がった。小学校でいじめられなかったのも、親に対する憎しみのおかげだった

      • チェックメイト

        チェックメイト それまで忘れていた。あのサークルのことを。チェック柄のジャケットを着た人たちで構成されるサークル。その名もチェックメイト。思い出したのは、たまたま電車の中で、グレーのチェック柄のジャケットを着たふたりの女性が横に並んで座っているのを見かけたからだ。あれから二十年以上が経つ。 チェックサークルがあるのを知ったのは大学一年の秋。確か九月ごろだったと思う。チェックのジャケットを着てキャンパス内を歩いていると、女性に声を掛けられた。彼女もまた、チェック柄のジャケッ

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      • 百宝物語
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