一人クリニック商店

元救急医の開業15年生です。『少人数制。コストは最小限、サービスは手厚く』をコンセプト…

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元救急医の開業15年生です。『少人数制。コストは最小限、サービスは手厚く』をコンセプトに金のかからないクリニックを経営。パートナー1人と在宅、介護、高齢者住宅、オンライン診療を併営。今開業医には逆風で、働き方改革で勤務医も又多難です。これから医業を行う人と患者さんに送る言葉です。

最近の記事

今、在宅医療なのか?(医療者向け、有料) その4-クリニックを作る

 15年前にもなりますが、開業がまさに華やかなりし頃、足の便がいい高級住宅地のいい土地には<開業予定地>という看板をわりに目にしたものでした。当時すでに訪問診療の世界はすでに違ったビジョンで動いていました。青空の下、太陽のもと、出かけて行って医療機関の外で診察をします。意外と思われるかもしれませんが、保険診療が行える場所は、医療機関の中、介護老人福祉施設、患者の家に限られる、とのルールがあります。たとえば飛行機の中で『お医者様はいらっしゃいますか?』とアナウンスが入ることがあ

    • コロナ五類化1年。次のパンデミックに備える方法。

      救急外来部門での感染対策を再考し次の感染拡大に備える 救急外来部門での感染対策は重要でありCOVID-19感染拡大期にはその推進が図られたが、様々な問題点も浮き彫りとなった。現状、COVID-19が五類となったこともあり感染対策緩和が図られているが、次の感染拡大での医療者の安全や救急需要増加に備える必要がある。そこで、COVID-19も含めこれまで行ってきた救急外来部門での感染対策を再考する。 演題名 ※ ER前オンライントリアージによる絶対的隔離の必要性。 抄録本文

      • 今、在宅医療なのか?(医療者向け、有料) その3-診療デバイス

         現在、私は相方と訪問する際に、iPadを一つ抱えているだけです。聴診器も首にかけていますが、こっちは時々車に忘れます。しかし、相方が忘れずに持ってくれていますから、結局はiPadだけを持っておれば、往診は大丈夫です。じゃあ、採血道具、点滴とかは?エコーやポータブル心電図は?はい、たまに予定して使うだけなので車の中に、AEDと一緒に置いています。私が携行する最も大事なデバイスは実は、iPadとiPhoneであり、これが在宅医療の中枢です。クラウドサービスやデータベースが世に出

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        • 今、在宅医療なのか?(医療者向け・有料) その2

          在宅医療と一言で言っても、在宅時医学総合管理料(在医総管)と施設等医学総合管理料(施設総管)の2種類があることは前回(その1)でお話ししました。熱意とかは別にして、運営経営上のお話をしてまいります。下世話な話ばかりで恐縮ですが、患者さん1人の単価は、個人宅の方の在医総管は、老人ホームに入居している方の施設総管の約4〜5倍の金額です。これ以上の詳しい算定のことは成書にお譲りするとして、ここでは実際やってみての諸々を中心に、医師または経営者の立場からのお話をしたいと思います。

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        今、在宅医療なのか?(医療者向け、有料) その4-クリニックを作る

          今、在宅医療なのか?(医療者向け・有料)

           救急医を23年続けて、ふとしたきっかけで2008年に在宅医療に転向し、第二の人生をスタートしました。最初はERではなく在宅で救急をやるんだ、訪問救急だ、と勢い込んでいましたが、すぐにそれは早とちりであることに気づきました。この仕事はhome care (在宅医療の英訳)の名前の通り、患者さんだけを見るのではなく、周辺事情、お家や家族の状況といった社会的な問題を最期まで引き受ける、医療のおまけ付きサービス事業なのです。病院や大学で磨いてきた専門的知識は決して無駄ではないにして

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          今、在宅医療なのか?(医療者向け・有料)

          昭和の薬箱 その2 大阪万博の話。

          僕ら昭和世代にとって、万博といえば、1970年の大阪万博です。〜センキュウヒャクナナジュウネンのう、こんにちはー という三波春夫さんが高らかに唄う、万博の歌は今でも耳に残ってます。目玉は、アメリカ館。月から取ってきた<月の石>。東京ドームを低くしたようなテーマ館だった。ソ連(ロシアの前身、ソビエト社会主義共和国連邦だったかな)館も負けじと、宇宙船を展示してた。やはりアメリカが誇るアポロ11号が、月面着陸し宇宙服の人が降りてきて。あの月の地面を歩いてた!月面についた靴の足跡含め

          昭和の薬箱 その2 大阪万博の話。

          その1 風邪は万病のもと、馬鹿は風邪をひかない、夏風邪は馬鹿がひく。 

           かぜ、元来は『ふうじゃ』という言葉は、古くは『黄帝内経素問(こうていだいけいそもん)』(前漢時代の紀元前206年~紀元8年以前)に記載されています。そこにはすでに、「風邪は百病の初め」「風邪は百病の長」と、風邪は万病のもと、の由来と思われる記載が見受けられます。人類は2000年以上風邪、いわばその当時の新型コロナウイルスと戦い、特効薬の研究開発に励み、漢方薬が生まれ発展していきました。ウイルスや細菌の概念などない時代、どこからともなく風に乗って、あっという間に広がる悪しき邪

          その1 風邪は万病のもと、馬鹿は風邪をひかない、夏風邪は馬鹿がひく。 

          一人クリニック商店『昭和の薬箱』

          どうも故事成語伝説の類が好きで、日本や英米のその種の書物をめくっては、ふーんと感心する小学生だった。やたら古いモノに惹かれ、観たり聴いたりするうちに、年が明けたら六十五の高齢者になっていた。最近は昭和ノスタルジーが若者に人気と聞くが、ついに自分の時代が来た!とシメシメと密かに思っていた。しかし、人間の古いのは別に流行なわけはなかった。懐かしいものを取り出して、一人で懐古する余生を考えていたところ、偶然にもメルマガなる仕組みを教えてもらった。思うところを書いて、面白いと思って下

          一人クリニック商店『昭和の薬箱』