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誰かに言われた大切な言葉

私は話すことが上手くない。苦手意識がずっとあった。

ケアマネの仕事に就いて一年目。
利用者の方との会話に困った。
先輩方はみな話が上手。
楽しそうに会話をしている。
私は、相手の会話にどう返すのが良いのか自信がなかった。
周りのように、気の利いた返しができない。
会話の糸口が見つからない。

介護の制度やサービスの知識は勉強すれば身につく。
質問に対し答えることもできる。

でも、会話がぎこちない・・・

何かを答えなきゃ、そんな思いでどんどん硬くなってしまった。
だんだん仕事が重く感じてきた。
私が硬ければ、相手はもっと息苦しいだろう。
申し訳なさと情けなさで、悩んで悩んでその先は・・・

返そうとするのをやめる
良い事を言おうとするのをやめる
聞くことから始めよう

良い格好をしようとすると、とたんに会話はぎこちなくなってしまうから
流れに任せよう

そのように仕事をするようになって数か月が過ぎたときのこと。

ある利用者の方が要支援から要介護になり担当を変わることになった。
当時、私は地域包括支援センターで働いており、制度のややこしい部分なのだが包括では要介護を担当できないのだ。

認定が変わり、担当が変わることになると説明したときに利用者の方がポツリと言った言葉にドキッとした。

「変わるんか・・・
あんたはな、じっと聞いてくれたんや・・・それがよかった。」

・・・。
これで良かったんだ。
良かった、格好つけないで。
心底ホッとした。

ケアマネのスキルは磨いていく必要がある。
しかし、聞くことも大事なんだと思った。

無理に会話をすることをやめて、
それを肯定してもらえたことで、
ケアマネの在り方に悩んでいたところに光が差したようだった。

ケアマネの仕事をして10年が経った。
一年目に悩んで、利用者の方に教えていただいたことが今も仕事をする上で大切なこととなっている。

※こちらの記事は、いしかわゆき著「書く習慣」の1か月チャレンジ27日目のテーマでした

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