見出し画像

秋の日

秋に咲く
萩の花にも似た君の
淡く穏しき其の声に
学び過ごしし秋の日も
日々喧騒に褪せるまま
ひとり涙で揺蕩えば
この身は風の落ち葉とて
皆其の道に立ちしかど
魂魄変わらず其処に座し
変わりゆくのは幾年の
胸の内なる灯さえ
まるで雨夜の夢の様に
醒めてしまえば跡形の
消えてしまうも儚くは
夢を彩る花に似て
散りては又も咲けれども
其は束の間の刹那とは
過ぎ行く時の砂嵐
楽し二度とは還られぬ
秋の名残は赤々と
茜にも似て燃え立てば
心に咲いた花さえも
永遠に枯れ得ぬ運命ゆえ
あの日交わした言の葉も
今は彼方の宙のこと
それでも今尚忘られぬ
君と過ごしし秋の日を

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?