私は、何故か今とても漫画が描きたいです。
小説ももちろん書きたいし書いているのですが、来年の春のイベントに向けて、また「向いていない」と言われている漫画を描きたくて仕方がないのです。
「何年経っても下手」「絵向いてない」「小説頑張れ」そう言われて筆を折っていた時期もありましたが、私は、小説は小説でしか、漫画は漫画でしか表現できないものがあるので、どっちも書きたいのです。
でも、先月のイベントで一冊も売れなくて、見向きもされなくて、それでもまた漫画を描くの？と言われたら「そうなんですよ」としか言えない。

何故だろう。
資源が勿体なくないのか。
丹精込めて作ってくれた印刷所の人に申し訳なくないのか。
そんな声が聴こえてきそうだし、私も思わないこともない。
毎回綺麗に印刷・製本してくださる印刷所の人たちにも申し訳ない気持ちになるし、印刷代も決して安くはない。
それなのにどうしてまだ描きたいのか。ネットが盛んな現代、描きたいのならネットにだけあげていけば、見てもらえるし資源も無駄にならなしい印刷所の人にも申し訳なくならない。
そうでしょう？
……そうかな？
本当にそうかな？

私は、大好きな推しキャラを描きたい。
原作では描かれていない推しカプの幸せな話を描きたい。（そして読みたい）
それを同志と共有したい。
それなら、たしかにネットだけで完結できる。
昔、ネットで完結させていたオタ友にも同じことを言われました。
いいねやブクマをもらえるネットのほうがモチベ上がるし、印刷代もかからないよ？　的なことを言われました。
たしかに、そのとおりかもしれないです。

でも、そのとおりじゃないんです。少なくとも私には。
そもそも私にとっての同人誌は、誰か見知らぬ人に読んでもらえる、の前に、私へのプレゼントなのです。
他の誰でもない、私が読みたいのです。
50部100部刷って全部余っても、その中から一冊自分の宝物を手に入れたいのです。
見知らぬ人と好きを共有できる体験も素敵な宝物だと思いますが、原点である「自分のための一冊が欲しい」を忘れると、私はすぐ軸がぶれます。

でも、やはり何十部も作って余部すら減らなかったら、切なくはなりますね。部屋に置く場所がなくなったら、処分しなくてはならないのもツライですし。
では、これからどうしたいか。
私は、これからも描き続けて、本にしたい。
だったらどうするか。
描き続けるしかない。これに尽きます。

私は、同人誌を描き続けることで、先にぼんやりと映る景色を見てみたいんです。
資源が無駄になる、と言われたら、なら、何かを生み出すために何もやるな、というふうに受け止めます。
資源を無駄にしたくて同人を描いているわけではない。
大切な人に喜びをプレゼントしたくて書く手紙が、資源の無駄遣いだと言われたら、それは違うと答えるのと同じように。
傍から見ればそれは、たしかに資源の無駄遣いに見えるかもしれないし、実際そうかもしれない。
でも、私が見たい世界につなぐそれが「橋」だとしたら、資源は本当に無駄なのだろうか？
視えないだけで、私は書き続けることによって、たしかに、先にぼんやりと映る景色への架け橋になっていて、作られた本はその資源だとしたら。
その資源が無駄なものだと、私は思いません。

もちろん、物理的な話をすると、資源が失われているのは事実なので、本が売れたら、出来る限りを森林募金に充てるようにしています。（微々たるものですが）

私は、自分から湧き出る「昇華したい気持ち」を、これからも描き続けたいです。
それは、目に見えない橋になって、見たことのない世界を見せてくれると思っているからです。