見出し画像

再販にあたって、大きな修正点

2021年の6月に『愛した人を殺しますか?――はい/いいえ』の初版を出し、文学フリマ東京37に合わせて、10月に再販を印刷しました。

これにあたって、初版時と大きく変わった本文内容をここにまとめておきたいと思います!

初版を購入した方が気になるかなと思ったので、「私が大事だと思った点」のみ記しておきます。実際には、もっと細かいセリフの修正や描写の増加などがあります。
私が忘れている箇所もあるかもですが、大目にみてください。

わりと長いので、★部分だけ読むのもおすすめです。



一巻 海賊の冒険

第五章 拷問の話

拷問描写を全体的にもっと凄惨にしました(^^) 特に言及しておきたい箇所のみピックアップします。

 転がる被虐者(ジューマ)を足で踏みつけ、嗜虐者(ラムズ)は愉快そうに嗤う。獣人の目玉は今にも飛びだしそうだ。顔全体が血で汚れて、それが恐怖に慄く顔をさらに引きたてる。周りの船員も、凄惨な光景に顔が引きつっていた。

 初版148p

 転がる獣人を足で踏みつけ、ラムズは愉快そうに嗤う。獣人の目玉は今にも飛びだしそうだ。そばでしゃがむと、今度は前髪を頭皮ごとカトラスで切り剥がした。獣人は頭を抱えて泣き喚く。血塗れの顔をよく見れば、眉毛や瞼が痛ましく歪んでいる。周りの船員も、凄惨な光景に顔が引きつっている。

再販148p

ラムズは「嗜虐者じゃない=虐めるの好きではない」わ……と思ってなおしました。かっこいいしこの漢字だけで見るとグロさが増す気がして使ってたんですけどね……。


「何をするかわかるか?」
 彼は首を振ろうとしていたけど、当たり前にそれは無理だった。でも震えているから、振っているように見えなくもないかも(*133)。
 ラムズはカトラスを手に取って、思い切り獣人の腹へ突き刺した。赤錆色の刃は、柔らかい肉を割るように体へ潜った。でも、さすがは錆びたカトラス。全然刃先は埋まっていない。男は痛みに耐えかね体を動かそうとするも、がっちりラムズに捕まえられている。声はもう枯れてしまったか、声があるってことを忘れてしまったみたいだ(*134)。
 ラムズはそのまま、刃先をぐりぐりと体へ差しこんでいった。ただの腹だ、心臓に刺したわけではない。そのせいで獣人はまだ死ねていなかった。でももう気絶寸前。気絶する前にやってしまおうかと思ったのか、ラムズは刺したカトラスをいったん抜くと、切れ味のよさそうなカトラスに持ち替えた。
 ラムズはギラギラした眼で彼を見た。体に空いた穴にカトラスをずぶりと差しこむと、そのまま思いっきり縦にカトラスを振った。カトラスの曲がった刃先が皮膚を内側から引き裂いて、内臓が飛び散った。

初版150p

「殺してほしいか?」
 彼は首を振ろうとしていたけど、当たり前にそれは無理だった。でも震えているから、振っているように見えなくもないかも(*133)。
 ラムズはカトラスを手に取って、乱暴に獣人の腹へ突き刺した。赤錆色の刃は、柔らかい肉を割るように体へ潜っていく。でも、さすがは錆びたカトラス。全然刃先は埋まっていない。彼は痛みに堪えかね体を動かそうとするも、がっちりラムズに捕まえられている。声はもう枯れてしまったか、声があるってことを忘れてしまったみたいだ(*134)。
 ラムズはそのまま、刃先をぐりぐりと体へ切りこんでいった。ただの腹だ、心臓に刺したわけではない。そのせいで獣人はまだ死ねていなかった。腹に穴を開けるように、肉塊の中でカトラスを右に左に抉り穿る。赤黒い腸を引っ張りだし、長い襞を途中で千切って彼の口にまた突っ込んだ。そんなの食べられるわけない。もう気絶寸前だ。
 気絶する前にやってしまおうかと思ったのか、ラムズはつまらなそうにカトラスを抜き、切れ味のいい別のカトラスに持ち替えた。
「早えよ」疎ましそうに毒を零す。
 死ぬのが早いってこと? ……いやいや、十分頑張ってたでしょう。
 ラムズは獣人の体に空いた穴にカトラスを差しこんだ。胸部に向かって軽く振りあげる。カトラスの曲がった刃先は鉤のように皮膚を内側から引き裂き、内臓が飛び散った。

再販150p

全体的に直しました。
ラムズさんこのときギラギラ……してない気がしました。セリフもなんか違ったので…。


第六章 無人島

この章はなんだかめっちゃ修正が多かったです。かなりラムズのセリフを直しましたし、描写もわかりづらい部分が多かったので綺麗にしました。私的に重要そうな部分をピックアップ…

おい、あれは目玉だそこさえ潰せば死ぬ!触っても平気だからやれ!

「あれは目玉だ。そこさえ潰せば死ぬ」

162p

なんのために「!」ついてん????
意味もないのにつけるな……。ラムズさんがこれごときで叫ぶわけないだろ…。叫ばなくても声届くし…。過去の私を殴りたい。
あとはこれジウに向かって言ってるんだけど、ジウは基本肉弾戦というか殴る蹴るの闘い方をしてるんだから、「ジウに言う=触っても平気なの自明」では?と思った。
なるべくラムズのセリフは無駄を削ぎ落とそうな!!!りとさん!!!


 ジウは素早い身のこなしで前におどり出ると、目玉に向かって手刀を食らわせた。魔物の目玉は、ガラスが砕けるようにして割れていく。ゴトンと大きな魔石が落ちた。
「え、その魔石って、かなり価値のあるものじゃ……」
「ああ、これはⅣ級のロコルアイベヤーだからな。目玉以外がすぐに治るから討伐ランクが高いが、本当は簡単だ。かなり珍しい魔物だし、倒す方法が知られてねえんだろ」
(地の文略)
「まあ、ジウの力のおかげでもあるかな」 



「え、その魔石って、かなり価値のあるものじゃ……」
「ああ、Ⅳ級のロコルアイベヤーだからな」
(地の文略)
「目玉を壊すだけなのにⅣ級?」
とジウ。
「魔法は効かない。硬かっただろ、ルテミスじゃなきゃちと苦労する」
「目玉を攻撃したのは?」
わたしが尋ねる。
「自然治癒力が高いんだ。目玉がいちばん効率がいい」

163p

めちゃくちゃ解説するじゃんラムズ様。
しないだろ。
しねえだろ!!!!!!

ということで、会話の流れを修正しました。翻訳間違えていてごめんなさい…。
しかもラムズ様は端的にわかりやすく説明できる頭のいい子なので、セリフは多分こんな感じになってたはずです。


「上!」
 わたしはハッとして頭上に氷柱魔法を打った。大木の間からリルワイバーン(*141)が急降下してくる。



「上」
 わたしははっとして頭上に氷柱魔法を打った。大木のあいだからリルワイバーン(*141)が急降下してくる。

164p

だから軽率に「!」をつけるな。

ラムズ様絶対平然とした声で軽く「上」って言うじゃん。
絶対そのほうが正しいじゃん!!!!!!


「やっぱりコカトリスか。面倒だな……」ラムズが小さな声で呟く。
 あの魔物はコカトリスというらしいわね。ラムズが面倒というくらいだ。そうとう〝面倒〟なんだろう。(略)
「コカトリスはⅢ級の魔物だ。あいつと目が合うと石になる」
 ラムズはさらっと、そう恐ろしいことを言ってのけた。(略)
「メアリ、水鏡魔法(*150)は使えるか?」
「一応。でも十枚しか出せないわ」
「一枚でいい。コカトリスにバレないように、水鏡魔法を放て。あいつの目の前だ」
 わたしはゆっくり手を動かして、コカトリスの前に水鏡を出した。(略)
「え。エッ?」
「簡単だったろ」

初版168p

「なんていう魔物? 面倒なの?」ジウは心ばかり声を落とした。
「コカトリス。対処を知らなければ」
 曖昧な言い方ね。面倒ってことはもしかしてⅡ級……?(略)
「Ⅲ級の魔物だ。あいつと目が合うと石になる」
(略)

再販168p

>初版
なんでラムズさん、最初に「面倒だな」って言ったくせに最後「簡単だったろ?」って言ってんの????? 謎!!!! 矛盾!! バカ!!!!!
そもそもまったく面倒じゃなかったじゃん。

ということで話に合うようにセリフを変えました。



第七章 無人島

 そもそもこの休憩もラムズが言い出したのだ。息を切らせているし顔は真っ青だし、いったいどうしたのかと思ったくらい。人間たちも驚いていたわ。



 そもそもこの休憩もラムズが言いだしたのだ。息が切れているとか顔色が悪いとか、そういう変化があるわけではないんだけど……。歩きづらそうだし、手を上げたり下ろしたり、口を開くことすら億劫そうに見えるのだ(*157)。人間たちも驚いていたわ。

178→180

最近の観測結果でですね、ラムズは体力ないというか、「人間で説明するなら体力ないって感じ」だったので、描写を変えました。息が切れることはないなと。そもそも息吸ってないもん。
ただこう、普通にして過ごしづらくなるみたいのがあるから、ラムズの使族の生態に合わせて変更しました。
初版の220ページも、ラムズが体力ない描写過剰だったので修正してます。


 ラムズは近づいて、わたしの手を触った。暖か―くない。凍えるくらいに冷たい。わたしがびくりと肩を震わせたら、ラムズがしまったという顔をした。
忘れてた。俺冷たいんだった」



 ラムズは近づいて、わたしの手を触った。暖か―くない。石みたいに冷たい。びくりと肩を震わせたら、ラムズは目を瞬いた。
あ。俺冷たいんだった」

203→205

忘れはしないかな、ラムズ様は。
あと「しまったという顔」はたぶんしないわ。ここまで露骨に表情出さないと思う。もちろんわざとやる可能性はあるけど、それなら意味がないといけない。ここでわざとそんな顔をする意味はないので間違い。



第八章 無人島から逃亡 ★

大きく変わったところというか、追加した部分があるので載せます。

とりあえずこれを見てくれ。

「ベルゼビィって、その……Ⅳ級の魔物っすよね」死んだベルゼビィに戦きながら、人間が呟いた。
「ああ、そうだ」とラムズ。
「人間だったらあんな簡単には……。それにさっきの戦い、獣人やジウさんはわかるっすけど、船長とメアリは……」



「ベルゼビィって、その……Ⅳ級の魔物っすよね」死んだベルゼビィに戦きながら、人間が呟いた。
「まあ、そうだったかな」とラムズ。
「人間だったらあんな簡単には……。それにさっきの戦い、獣人やジウさんはわかるっすけど、船長とメアリは……」

223→225

ラムズさん、のらりくらり誤魔化しててすき!!!!!!
てか誤魔化せてない!!!!!ww

メアリやラムズの使族のこと疑われてるのに「そうだ」って肯定するのはおかしいなと思いました。で、誤魔化したんですけど誤魔化せてないので……

追加 ★

「ジウ、下ろせ」
 あと少しで森から抜けられるというところで、ラムズが声をかけた。急いで下山していたので、日が落ちる前に無事船には戻れそうだ。
 体調が回復したらしいラムズは、迷いなく最後尾の人間の船員のもとへ歩いた。ぎょっと目を見開いた船員が、ただならぬ雰囲気を感じてあとずさる。だが逃げだす前にラムズが彼を掴んだ。口に手を押しあてる。
「悪いな」
 船員の目が徐々に閉じていきがくんと膝が折れる。ラムズは平然と船員を地面に横たえた。
「えっ、ラムズ?」
 メアリが驚いて近づくあいだに、ラムズは船員の懐をまさぐって金品を奪いとった。さっきの宝石の魔物の報酬も自分のものにしてしまった。ラムズは立ちあがり、リーチェやグレン、メアリに向きなおった。
 首をかしげ、無機質な仮面を甘く崩す。「こいつは運悪く魔物にやられたらしい。エリスはデスメイラが迎えるってさ」
「らにゃ~」
「あいあいさ」
 慣れた光景なのか、グレンとリーチェに驚く素振りはない。ジウも返事をする。
「死体は?」
「ニンフにあげよう」ラムズが人差し指をくいと回すと、地面からツタが生え体を覆い、ずるずると地中へ呑みこんだ。
 そのまま進んでしまう五人の後ろで、メアリは難しい顔をして腕を組んだ。「わたしも邪魔になったら殺されるのかしら」
 ジウが振りかえる。「メアリは平気だよ。なんのために殺したのかわかってないの?」
「うーん、デスメイラがどうとかいうやつ?」
「まぁそうだね」
 メアリがまだきょとんとしているので、ジウは肩をすくめた。「争いの種になりうる者は死んだほうがいいってこと」
「争い……エリスが?」
「そう。あのふたりもよくわかってないと思うけど」ジウはちらと獣人たちを見る。「で、その争いってキミの使族のことでしょ」
「あら……」メアリは気まずそうに視線をずらした。「そうね……」
「誰も気にしてないよ。だからボクたちの前で殺ったんでしょ」
「ジウは人間なら死んでもいいの? この前船を救おうとしていたでしょ?」
「そういうんじゃないよ」首を捻った。「団が壊れるのは嫌だ。あと、船長の決定なら口出ししない」
「ちなみに、船長の決定で団が壊れることになったら?」
 ジウはむっと唇を尖らせた。「キミも意地悪だね。それは船長に抗議しようかな」

再販225

追加長!!!!!!

うん。さらっとひとり犠牲になりました。
脅威は排除するでしょさすがに…
まぁ初版のほうのまま(=人間殺さない)でも、「ラムズがわざと泳がせてる」っていうのはあるから絶対に間違いとは言い難いんだけど、ここまで露骨に人間がメアリたちを疑ってるならありえるかなぁと。
いらない人間船員だしさらっとやってそう。好き。
会話も好き。えへへ。


二巻 転移者

二巻は伝えたいと思う修正箇所はそんなに多くないです。

第十二章 船首像

 後ろをふり返ってサムズアップしようとすると、ラムズはかつてないほど驚いた顔で船首像を見ていた。「まさか本当に話すとは……。なぜ俺じゃダメだったんだ?」



 ふり返ってサムズアップしようとすると、ラムズは船首像に意識を向け目を瞬いている。「まさか本当に話すとは……。なぜ俺じゃダメだったんだ?」

307→322

ラムズ様こんなに驚かないかなって…。
まぁこの「目を瞬いた」が、メアリにとっての「かつてないほど驚いた顔」と思った顔の可能性はあるが、誤解を招くので変えました。



第十四章 メーデイア 追加 ★

めっちゃ増やしました。もう500ページ超えたの確実だし、多少増えても変わんないかなって() あはは……。

なんというか、あまりにも怜苑が何もしてなさすぎて、怜苑の性格のことを考えるとこれくらいならしてもおかしくなかったよな、と観測しなおしました。もう少し彼は頭を使える子なはずなんですよ…。

初版の362ページ付近にいれた感じですね。

「ねえな」ラムズは首を振った。「いつも言ってたんだ。三回戦で戦おうってな。実際向こうの船が潰れりゃ、あいつらに戦う理由はないはずだ」
 ラムズはなんとなく敵の目星がついているのだろうか。ともあれ、シュピガーデスさえ通りぬけられればガーネット号自体は窮地を脱するようだ。
 怜苑は密かにもう一度シャーナを視界に入れた。そのあと怠そうに体重を片足にかけ立っているラムズを盗み見る。今までは何か話すたびに彼に止められてしまっていたが、今なら……。
 ラムズのほうが自分より、そしてメーデイアよりも強いが、少なくとも薬をもらうまではメーデイアに手出しはできない。ということは、メーデイアが自分の味方になってくれれば。――少なくともシャーナよりマシな〝土産〟を提案できれば。
「君はラムズに……嫌がらせがしたいんだろ?」ラムズは目を瞬き、メーデイアは面白そうに唇を曲げた。「それならシャーナじゃなくて――」
 ラムズが何か言う前に、メーデイアはさっと手をあげる。「喋らせてやんな。薬を渡さないよ」
 彼は目を細めすっと逸らした。怜苑は肩を撫でおろす。面白い提案ができるかぎりはラムズのことはメーデイアがなんとかしてくれる、目論見どおりだ。
「船長室にたくさん宝がある。そういうんじゃダメなのか? 剣とか金のハープとか、宝石のチェス盤とか……。覚えてるかぎりで俺が伝える」
 底冷えする声が心を穿った。「お前俺に殺されたいのか?」
 がたがたと歯を鳴らしながら答える。「ま、まだ直接ラムズの宝石に害を与えたわけじゃない。だろ? それに今回は……ラムズの運命で俺は連れてこられた。船に入れてくれたのもそういう理由からだよな。てことは、俺はなんらかの……ラムズに運命を示す神にとって……意味がある人間ってことだよな?」これはさっきの彼の発言からも確信したことだ。「じゃあ殺すことだって……。面倒なことになるとわかっていて俺を連れてきたんだから、運命に抗う気もラムズはないはずだ」
 彼は青の視線を薄くして、冷たく言う。「そこまで見えてんなら好きにやれ」
 すんなり返ってきた言葉に逆に面食らった。首を振って気持ちを切りかえる。もう一度メーデイアに向きなおった。「船にあるラムズのお宝じゃダメか?」
 メーデイアはふふふと上品に笑った。「残念だったね。もちろんもらえるものならもらいたいさ。だがこの男は絶対に許さないだろう。さっきあんなチンケな宝石でさえ手放すのに苦労していたんだ。それとも何かとっておきのカードがあるのかい?」
「君は、ラムズのお宝でないと薬を渡さないとまでは言わない――ってことか」
「取引が釣りあってないんだよ。宝石と船じゃ、こいつは船を捨てるよ」
 ぎょっとしてラムズを見た。彼の顔色は一切変わらない。まさか、全員を見殺しにしてでも宝石ひとつをとるのか?
「それにそこまでのリスクを負いたくないね。ここで素直に寄越しても、確実にあとで奪いかえそうとするだろうから。それにおまえも、いくら神に愛されていようと、殺す隙を永遠にうかがわれるよ。勇気は買ってやるが、おまえの負けだ。こいつの宝石への異状な執着心を見誤った。そして逆に、私はそれをよく知っている。多少は遊んでいたが、私は加減をわかっている。だがおまえは知らないだろう……」彼女は不適に笑った。「気に入られているならなおさら、こいつらは敵に回さないほうがいい。人間のよしみでアドバイスしてやる」
 怪しい笑い方だが、嘘を言っているようには見えなかった。そっとラムズに視線を移す。自分のことを話題にされている男とは思えないほど、無関心そうに飄々としている。
 怜苑はぐっと拳を握った。交換材料を見誤ってしまった。でもまだ……何か、方法はないか。
「じゃあ逆に教えてよ。君は何がほしいの?」こんなの交渉でいちばんの悪手だ。だが今はどうしようもなかった。
 彼女は不気味な声で言った。「イアーソーンの骨」
「それは、えっと……。死んだ人の骨か?」
「そうだ。海にあるんだろうが、水の神の影響が強すぎて自分じゃ探しきれない。届ける者もいないのさ」メーデイアは舌を打ち、「人魚め」とぼやいた。
 逆に言えば、人魚なら見つけられるということなのだろう。メアリ。――いやでも、自分の勝手な取引にメアリを巻きこんでしまっていいのか? ここで安請けあいできる話じゃない。ひとまず、手札のひとつにして話を進めた。

再販382

ちょっと語りたいので語る。
ここまで言われてラムズさん怒らないのか問題なんですけど。

途中で怜苑(れおん)が言ってるとおり、ラムズの宝石を直接害したわけじゃないのでまだ怒る判定には入らないんだよね。自分の思い通りにならないという意味で要注意人物ではあるんだけど、泳がせておこうかなって思ってる。
ラムズが今回連れてきたのも「運命」のせいだからね、それこそ「殺せない」のかもね。

それ↑をわかってる怜苑、「何者!? そこまで察せてるのすごくない?!」って感じだけど、ラムズも言ってるとおり。「そこまで読めてるなら好きにやれ」でして。

考えなしに無鉄砲に発言したんじゃなくて、今までのラムズの行動から推測してちゃんと頭使ってやってるし、地雷は踏まないようにしてるし、って意味で、「ある意味信用を得た」のかなと。
ラムズは「こいつ思ってたより考えてんな」って感じだと思う。
警戒心は上がったけど、怜苑に対する利用価値ってほどじゃないけど、評価は少し上がった気がするね。

最初は、「偽善者でもないけど、主人公ぶってる青臭いガキ」的な評価だったけど、「意外と物事をわかっているというか、見る目があるのかもしれない」って評価に変わったんだろうな。

>そこまで考えててすごい、怜苑って何者?
なんで怜苑が、ここまでいろいろ考えて発言できたかは今ここでは語れないけど、怜苑らしさをひとつ出せた気がして私は嬉しいですね…。観測能力が上がった!!




以上、私がどうしても伝えておきたい修正箇所でした。
忘れているところがあれば追記します。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?