※当記事を転載した場合、1記事につき500万円を著作者であるFakeZarathustraに支払うと同意したものとします。

※本作品はR18指定の内容です。note運営の判断の如何に関わらず18歳未満の閲覧はご遠慮ください。

　今日は二年に一度の動物脱走対策訓練の日だ。
　テレビでは面白可笑しく取り上げられるが、大切な訓練だし、真面目な避難誘導とか連絡網の確認なんかが一番の肝ではある。
　確かに事情を知らない人間からすれば、飼育員がはしゃいでいるだけにも見えるのだけど。

　と、いうことで、今回はライオンが脱走したと言う想定の訓練である。
　それで新米飼育員の僕がライオン役になったわけである。
「こういう時、普通オスのライオンじゃありません？」
　用意された着ぐるみは何故かメスライオンのものだった。
「レンタルの在庫がなかったそうだよ。まぁいいじゃないか、訓練内容は変わらないんだし」

　僕としては……ライオン飼育員としては多少思うところはある。
　当園はライオンをつがいで飼育していたが、昨年メスのライラが急逝してしまったのだ。
　オスのリュウがそろそろお年頃と言う訳で、他の動物園からトレードで来たメスだった。なので、園としては少しばかり気を紛らわせたいところがあったのかも知れない。