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クラシック音楽でのエキゾチックへの関心とフォークへの関心①

音楽学大学院生の週一アウトプット*36

クラシック音楽でも民俗舞踊の要素を取り入れることがある。その取り入れ方はさまざまである。例えば、ある地域で用いられている旋法を抽出したものを用いてみたり、あるいは民謡のメロディーをそのまま一部分または全体を反映させてみたり、など。

これは、異国に対する「エキゾチック」な要素を求める感覚と似たものを感じるが少し違う気がする。これは、民族音楽ではなく民俗音楽への関心である。民族音楽と民俗音楽は発音が同じだが指し示す内容は異なる。この違いは1980年代からそれぞれの定義がされ始め、今日に至っても意外と定義するのが難しいのだが、私なりにごくごく簡単に定義すると以下のようになる。

民族音楽:ある民族集団の音楽文化
民俗音楽:あるコミュニティで口頭伝承されてきた音楽文化

文字通りではあるが、両者は重なる部分があるのでわかりにくいだろう。ということでここで例を出してみる。

日本の伝統的な音楽として雅楽がある。これは日本の民族音楽と言える。ただ、雅楽を演奏する人は職業としてその訓練を受け、これらには楽譜も存在する。つまり、ほとんどの場合、民俗音楽には分類されない。

では、近年日本のユネスコ無形文化遺産に登録された「風流踊り」の音楽はどうだろうか。これは日本人による音楽文化なので民族音楽であり、さらにある集落や集団で口頭伝承されてきたということで民俗音楽とも言える。そして、担い手となる人物は、普段はそれぞれの職業を持っていて、お祭りの時に演奏者なり踊り手なりとなる。

民族音楽は民俗音楽を内包することがしばしばある。それが、この違いを定義するのを難航させる原因の一つでもあるだろう。また、単純に楽譜の有無、職業か否かのみで決まらない、またはその二つは絶対条件なのか否か、片方だけ当てはまった場合はどうなのか、などなどのポイントもある。これまで様々な音楽学者が定義を試みてきたが、すべてがケーススタディとなっているようだ。

この違いについて、それぞれの過去に行われてきた定義を逐一確認するのも面白そうなのでまた今度やってみたいと思うのだが、今回はさらに感覚的なテーマへとつないでいきたい。それは、題名にも示した通り、クラシックの作曲家が示したクラシック音楽の理論から逸脱したような異なる音楽ジャンルへの興味のうちエキゾチックへの興味とフォークへの関心というものは似て非なるものなのではないかという感覚を説明するということである。

とはいえ、今日はもう力尽きてしまったので、ここまで。(最近思考の持久力がなくなってきた。まずい。)また来週。

FALL


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