阪神牝馬S NZT 桜花賞 振り返り



阪神牝馬S

最終印

TB・展開

TBはほぼフラットで時計も速く、とにかく決め手が必要になった、日本競馬らしい力比べの馬場となってきた。
3F35.4-33.5、4F47.4-45.6(5F59.5)と重賞としては結構スローの典型的な3Fの上がり勝負。
目立って序盤で決まった隊列も動かず、ほぼ直線だけのレースと言ってもいい。トップスピードがなければ話が始まらない展開となったうえに、レースレベルも少頭数のスローで落ちた。上がり32.9が最速で、33秒前半以下が6頭なのだから相当だろう。
あまり取り上げることはないか。

マスクトディーヴァ

今回はスタートを決めて(といっても、また突進しそうにはなってたが…)、逃げ馬を行かせてインの3番手集団で足を溜めた。直線も狭くはなったものの力でこじ開けて抜け出して力を見せつけた形。
斤量も1kg背負ってるのもあり文句のない完勝だろう。ローズSで見た時よりも思ったより加速しないな?なんか外に寄れたな?とは思ったが、かなりの上がり勝負で差がつきにくかったのもあるし、モレイラ騎手が直線で手綱を落としたらしく、そこで制御が効かなかったためにモタついたようである。
思ったよりも乗り難しい馬であることを前走で見せてしまったことになるが、しっかり勝たせるあたりさす
がだなというところ。
ただ、やたら望来騎手じゃなくてよかったみたいな声があったが、そもそも東京新聞杯の負けは彼のせいではないので…(騎手のせいにしたがる人はいるが)。
VMも当然有力視されるだろう。

(望来騎手は博打はあまりせずソツなく乗れるタイプで、それでいて関東騎手の半数のように折り合い気にして踏み遅れとか前を放置みたいなこともあまりしないので、個人的には十分上手いとは思うんだがね…)

ウンブライル

復調、というよりも牝馬限定戻りでメンバーレベルがかなり落ちたことと、レースレベルが落ちてトップスピードさえあればという展開になったので楽に走れたから、という面が大きそうである。
川田騎手も3.4角のロスは最小限に抑えており、直線だけ大外という形で上手くまとめている。
有力どころはスピード不安のライラックやモリアーナがいたわけで、彼女らは位置が取れず立ち遅れ。他の大半はOPでウロウロしているレベルなので、まあ来ても驚かない構成ではあった。
まあよく走ったなとは思うものの、評価は控えめ。マスクトディーヴァとは僅差ではあるが、1kg+直線トラブルでモタつきを考えると完敗で、内容の比較をするならばマスクトディーヴァよりもモリアーナとだろう。

モリアーナ

ウンブライルの後ろから追い上げたものの、同じ上がり32.9なので位置取りの差。力負けではない。斤量1kg差も考えるとややこちらの方が上か?
久々のマイルだが悪い内容ではなかった。

シングザットソング

マスクトディーヴァと同じ位置から進めたが、伸び負けており完敗。
単に上がり勝負なので展開が違えば2~4着は入れ替わりそうだが、スローだからこそ距離延長を誤魔化したとも言えるので、評価はそこまで上げる必要はないか。

ドゥアイズ

中団をとれず後方からだったのが全てか。
近い位置だったモリアーナよりも伸び負けており、現状はOPまでかなというところ。舞台が違えばもう少し変わっただろうが、やはり同世代との比較だとマスクトディーヴァが少し抜けている。

NZT

最終印

TB・展開

TBはフラットだが、やや内よりも外の伸び脚が目立つようになってきた。
内を開けるレースも散見され、進路取りが難しくなり始めていた。時計は標準程度だが、少し湿ったのもありタフな芝のまま。相変わらず上がりはかかり気味。
3F36.0-35.5、4F47.3-47.1(5F58.9)とそこまで後傾ではないが、2F目が11.6、最速区間が4F目の11.3を考えると、ペースが上がり切らないややスローと言っていいだろう。ラスト3Fも11.9-11.7-11.9と速いラップではないが垂れていないので、終始同じようなペースで雪崩れ込んだ感じで前残りの展開と言える。なかなか加速しないくらい力が要る馬場なのかどうかはなんとも言えないところだが、雨残りは少しあったか。

エコロブルーム

なんだかんだシンザン記念組はそこそこ結果が出ているので、当初1勝クラスに毛が生えたレベルだろうと思っていたが、重賞というだけあり予想よりはレベルが高そうである。この馬も例に漏れずそこそこ強そう。(ハイレベルと言うほどではないはずだが)
道中はボンドガールの前で掛かる手前くらいでガッチリ抑えながら進め、直線で前が塞がって外に進路を切り替えるロスもありながら捉え切ったのは展開面として前が恵まれたにしろ好内容。
NHKマイルはどうなるかだが、シンザン記念ではノーブルロジャーには力負けしているので展開の恩恵は欲しいようには思える。

ボンドガール

久々というのもあり行きたがるのは相変わらず。
スタートは良かったがハナには行かせず、掛かりながらなんとか抑え込んで3角で徐々に進出し、他が開けた内を選んだが、そこからはジリ脚で逃げ馬を競り落とすのがやっと。サウジRCでも見せた競り負けない根性はあるのはいいのだが、いかんせん前進気勢の塊で道中気分良く進められないのが問題。
それでもスローの前残りだし恵まれた側ならこのメンバーなら楽勝して欲しかったのだが、比較的馬場が悪い内を通ったにしろ案外。まあ権利と賞金は取れたので、ノルマはクリアしたが。
長欠明けで馬ができてないのか、キャリアが浅いぶんか、それとも大して強くないのか。あとは意外と好走のためのストライクゾーン(適正)が狭いのか。(まあダノンベルーガの妹だし…兄貴もちょっと難儀だし。兄貴と違って根性はあるけど)
あとは牡馬がレベル低いレースが多いと評してきたが、実は軒並みハイレベルだったのかしれないという説もある。これは皐月賞やNHKマイルで見えてくるだろう。
NHKマイルは新馬、サウジRCと結果が出ている東京マイルなので、スムーズに走れてどこまでというところ。現状、世代牝馬最強候補からはワンランクダウンかも?というところ。

ユキノロイヤル

スロー単騎逃げに恵まれた結果だが、それなりに直線もしぶとく粘れるのはいいこと。
今後もTB次第では注意しなければならない馬になり得る存在。

カズミクラーシュ・ドリーミングアップ

カズミクラーシュは前目にいたけど外を回し、ドリーミングアップは後方だったがロスなく内差しを選んでいるので、差しとしての内容はほぼ同じ。
着順通りの評価でいいだろう。展開がもう少し流れれば圏内の可能性はあったかもしれない。

桜花賞

最終印

TB・展開

TBはフラットでとにかく決め手が問われる馬場となった。スピードに寄る阪神芝らしい力比べをしやすい芝に。
3F 34.5-34.1、4F46.3-45.9(5F58.1)と最初以外の7Fは全て12秒を切る高速マイルらしい流れになったが、ラストが11.4-11.2-11.5と典型的な瞬発力勝負寄りの展開、かつほとんどラスト1Fで垂れていないので、全体の流れ的には軽いレースで若干緩めと見ても間違ってはいないだろう。
もちろん各馬のこれまでのレースよりも序盤は流れているので、能力勝負に近かったのは間違いない。
ただ、もともと今回のメンバーは上位と下位で比較的能力差がはっきりしていたレースであったので、不発を除けば大方その通りの決着となったと思われる。

ステレンボッシュ

スタートはやや遅めで道中は中団から進め、外から併せていたアスコリピチェーノを弾いて進路をこじ開けて4角から進出。前を捉えて差し切り、後から迫ったアスコリピチェーノを凌いだ。
自分から動いての勝利であり、文句なしの力を見せての完勝。
オークスへ向けて一歩リードと言えるだろう。

アスコリピチェーノ

スタートはステレンボッシュ同様やや遅め。
ステレンボッシュの外を併せる形でマークしながら進めたが、手応えの差でステレンボッシュに内からこじ開けられ、4角で外に弾かれてしまったため、そのぶんのロスが響いて後手を踏んでしまった形に。
それでも力は見せた内容で、3着以下との力差は示した。確かにロスがなければステレンボッシュとは互角と言ってもいい内容だが、あのような形での4角の攻防は運動エネルギー同士のぶつかり合いなので、手応えがあれば(脚力が残っていれば)弾き返して締めることもできたと推察するため、この内容を考えると力負けの面も考えられる。
次走はオークスではなくNHKマイル。牡馬との力関係がカギだが、現状は牝馬代表として当然本命候補の一頭。

ライトバック

スウィープフィートと最後方を進め、こちらが外目。
気性的な課題から楽をさせるために下げたと推察。
3.4角はなるべくロスなく回っており、直線で大外一気で伸びてきた。
1.2着ともに着差は少ないが、自ら動いて勝ちに行った2頭と比較するとやや内容は劣り、あくまでも展開依存で直線勝負したというだけであるので、現状は2頭の一つ下であり、力負けが妥当。
特別追い込みに展開が向いたわけではなかったが、あくまでも力がこの中では上の方だったという評価で良さそう。

スウィープフィート

こちらも気性を気にしてか、チューリップ賞同様の後方待機。
外にライトバックがいたのが誤算か?
コーナーはロスなく回って直線外へ出そうとしたが、ライトバックにブロック。
仕方なく馬群を縫ってから追い上げたものの、やや踏み遅れたぶんもあって届かなかった。
ライトバックとはほぼ同じ評価ではよさそうで、今回では3番手評価。オークスも上位評価だが、今回同様TBと展開依存の立ち回りかと思われる。

エドヴプレ

ペースが極端に速くはならなかったので、前残りのチャンスもゼロではないと思っていたが、先行脚質にそこまで強くはない馬たちはいなかったのもあってか差し決着となってしまったなか、唯一見せ場を作れた先行馬である。
だからと言って強いかと聞かれると、逃げたショウナンマヌエラの番手を先行力の高さで早々に確保し、大外枠のロスを打ち消したうえにしばらく単騎になっていたので、ほぼロスなく乗れて気分良く運べた好騎乗に恵まれたと言っていい。ラップ的にもこの馬はそこまで垂れていないと思われるので、ロスなく乗っても及ばなかった力負けという見方が妥当と考えている。
しかし、自分の形に持ち込めばかなりしぶといタイプということがわかったので、1200~1400路線に戻るのならば世代トップ候補として戦える可能性は大いにある。

クイーンズウォーク

1枠を生かして好位追走のインベタでロスなく回って直線に向いたが、進路をやや切り替えながらとはいえエドヴプレも交わせなかったのは力負けという見方をせざるを得ないか?
ただし、かなり被されながらの競馬で不発という可能性も否定できない。
オークスでどうなるかだが、川田騎手が「オークス向き」と言ってるので人気しそうな気配。(でコケるまでがオチかも?)

チェルヴィニア

キャリアが浅い以上仕方ないといえばそうだが、あまりにも負けすぎか?
スローの経験しかないうえに休み明けで心肺が整ってなかった感じはするし、スタートやや出負け→向正面外を押し上げて6番手で脚を溜める時間がなく、余力を残せなかった感もある。
不発という見方もできるものの、オークスでも力を出し切れるかはわからず、不安にはなる大敗ではある。

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