アーリントンC アンタレスS 皐月賞 振り返り

アーリントンC

最終印

TB・展開

TBはフラットだったが、時計もかなり良化。高速馬場らしい決着も目立ってきた。
3F 35.8-33.2、4F48.8-45.3(5F60.9)とドスローの上がり勝負。4F目は13.0であり、12.1-11.1-10.7-11.4とわかりやすいだろう。ラスト1Fはその前の2Fで全開したぶん脚を使い切っての惰性という感じか。
こうなると基本的には純粋に距離ロスした方が負けるので、内で溜める馬や前々で競馬をした馬が有利な展開になった。最下位以外は33秒台以下の上がりを使っており、かなりの前残り展開のバイアスが働いたと考えていい。結果と上位のメンバーを見ても、やはりレース質含めて低調と考えるのが妥当で、NHKマイルには繋がらなさそう。

ディスペランツァ

中団のインコースで脚を溜め、4角から徐々に進路を探しながら外へ持ち出す競馬。進路が決まってからは伸び、ラスト1Fで前がやや甘くなったところを差し切った。展開的にはロスなく乗られていたとはいえ届いたのは立派である。
とはいえ、2.3.4着は1勝馬であり、2.3着に至ってはOPすらろくに勝ち負けできていなかった。つまり、勝ち馬以外はメンバーが弱かったうえにこのような展開でレースレベルが一気に落ちたことで恵まれただけである。
よって、この馬自身もそこそこは強いのかもしれないが、基本的には高評価は不要。NHKマイルはもっと他の実力馬が揃うため(今年はなかなか粒揃い)、基本的には厳しいとみるべきである。

アレンジャー

内枠を生かしてインベタの2番手でじっくり構え、逃げ馬を目掛けて捕まえる競馬。その馬が上がり32.9でまとめるのだから前が相当恵まれたと考えるべきである。スプリント戦を使っていただけの脚力があったという見方もできるが、そもそもスプリント自体は基本的にレースレベル自体はマイルよりも劣るわけであり、その1勝クラスすらも勝てなかった馬である。
そのような馬が勝ち負けに加われたこと自体がレースレベルが大きく下がった展開であることの裏付けであり、NHKマイルに出ても高評価は不要と考えるべきである。

チャンネルトンネル

インベタの掲示板組と比べると内に一頭いる形での回り方ではあるので多少評価はするものの、そうは言っても直線の進路も楽に開いていたので、その時点で5番手にいるなら勝ってもいい展開ではあった。
そこを後ろから差されていることを考えると力負け。
スプリングS含めてこういうスローの脚比べだと、そこそこ先行力も終いも出せるので掲示板は確保できるのだろうが、いずれにせよ5戦ともかなりレースレベルが下げられた展開しか走っておらず、2勝目も上げられていない以上普通に本番では厳しいかと。

ワールズエンド

上がり32.1で届かないなら仕方ない展開。
新馬戦の内容を考えたらここまで脚を使えたのは以外。まあ条件戦は斤量が軽いうちは勝ち上がれるようには思える。
クラシックではもう重賞には出てこない可能性が高そうなので、いずれどこか勝ち上がってOPまで上がってきたらまた評価を考えたい。

ポッドテオ

逃げて上がり33.5。
惰性で残した5着で高評価は不要。

ジュンヴァンケット

馬がまだまだ若い。スローに耐えられず前半全て折り合いを欠きまくりでは伸びなくても仕方ないか。
この馬は弱くはないと思うので、条件戦は楽に上がって来れるとは思う。あとはどこまでいけるかは馬次第。

アンタレスS

最終印

TB・展開

TBはフラットで問題ない。
3F37.2-37.6、4F49.4-49.7(5F61.5)と淡々とした流れのミドルペース。1,2角で息が入り緩んだ以外はペースの上下もそこまでなく、ダートらしい脚の耐久力戦といったところ。前が楽というほどでもなかったとは思うが、12.3-12.7なら惰性が使えていないわけでもないので、やや前展開だったか。

ミッキーヌチバナ

東海Sから巻き返してここでは差し脚を発揮して勝ち切った。相手関係的にはそこまで強くはなかったとはいえ、力を出せればこれだけやれるということは示した形で、今後にも期待が持てそう。
ただ中団グループがポツンと3頭しかおらず、その外を楽に追走できたという面もあり隊列に恵まれた感もあるので、過信は禁物。OP上位程度の評価でいいかもしれない。

スレイマン

逃げ馬を突いて外番手を楽に進んで逃げ馬を競り落として振り切る手前まで来たが、差された。
この馬以外の前が弱かっただけで前展開だったのか、フラット展開で前受けして頑張れたのかは難しいところだが、トウセツと7馬身近く(1.1秒)離れていることを考えると、そこまで力差があるか?とも思うし、勝ったミッキーヌチバナ以降が道中離れていたことを考えると前者かなと思う。いずれにせよもう一戦見てみたい。

ハギノアレグリアス

中央では崩れていなかっただけに今回も複勝圏を外さなかったのは立派だが、これまでの相手関係と実績を考えるとかなり物足りない。
内容も最内を生かして先行して、砂を嫌がった感じもなく内をロスなく回っていざ抜け出すだけの競馬だったのだが、そこから伸びずミッキーヌチバナに差される体たらくである。
海外組を除く現G1環境の馬たちが実はかなり弱く、上がり馬たちにチャンスが出ている可能性は否定できないが、にしても負けすぎ感。
ただの不発という可能性もあるが、7歳馬でいつ衰えがきてもという馬なだけに判断が分かれそう。

トウセツ

この馬以下はハギノアレグリアスとは5馬身差で明らかな力の差があるので軒並み高評価は不要。
とはいえ、この馬に関してはかなり外を回るロスの大きい競馬を考えるとこの馬に関しては着差ほど内容の差はないとは思う。(脚質的に展開依存なので仕方ないが)
OPなら足りるとは思うが、重賞級ではないかなというところだが、今年のプロキオンS(小倉1700)で差し決着狙いで候補には入れるつもり。

皐月賞

最終印

TB・展開

TB自体は内外フラットであるが、最終週のこの日に限って異様なほど超高速馬場に。(馬場造園課、やった?)近2年ほど外が有利にはなってはおらず。
最終週のタフな芝でのタフな中山2000での削り合いということでクラシック初戦のこの舞台はかなり耐久戦になる(→そのため、皐月賞と菊花賞がリンクすることがあった)のだが、今年はどちらかというとそんな感じには見えない。
3F34.2-35.8、5F57.5-59.6とかなり前傾のハイペースではあるが、メイショウタバルが単騎大逃げの形だったため、2番手以降で見るなら前半3Fは34.6、5Fは58.7(後半は58.4)程度と思われる。まあどちらにしろスローとは言いづらく、切り離してみればイーブン程度のそこそこのペースではあったと思われる。ただ、上がりは掛かり気味とはいえど馬場の高速化具合から12.0-12.1-11.7-12.0なので、惰性も使えてはいたと考える。よって、中山コースらしくある程度の位置にいなければ勝負にならなかったうえに、縦長隊列が物語るように追走もしなければならない、比較的地力展開だったと言っていいだろう。
ただ、後方で差して追い上げたものの脚を余した馬には酌量の余地がある。特に今回は縦長隊列ではあったが、どちらかというと後方に馬群が固まっており、追走能力に優劣が出た(特に後方は能力下位馬が多く、差し馬にとっては邪魔)とはいえそこで構えてしまった差し馬にとっては仕掛けが難しかった側面も考えられるからである。

ジャスティンミラノ

追走面の未知の課題を簡単にクリアし、ミドルペースをしっかり好位からついていき、3,4角で自ら動いて前を捉えに行く競馬。先に抜け出したジャンタルマンタルを差し切る文句のつけようのない完勝である。高速馬場を差し置いたとしても素晴らしい内容。
ダービーへ向けても一歩リードし、二冠が見えてきた内容といってもいいだろう。

コスモキュランダ

道中の隊列を見ると、この馬から後ろが少し切れて能力下位馬と差し脚質の有力馬となったため、この馬より後ろが馬場・展開・隊列的に厳しいものになったと想像ができる。
道中は好位集団の最後方からインに潜ってロスなく回って脚を溜め、ジャスティンミラノが仕掛けた後に続くように外から進出。
並ぶところまではきたものの届かなかった。
騎乗内容としては完璧で、さすがモレイラ騎手だなというところ。
1.2.3着の内容は互角で展開次第で入れ替わりそうではあるものの、細かいところを見ていくと、仕掛けをわずかに遅らせていたことや3,4角までの道中のロスのなさを考えると、僅かにこの馬が劣るかな?というところ。
また、ポジションもプレッシャーがかかりにくい比較的楽なところを取れていたので、能力全開に繋がったか。その点でもやや減点すればその辺りが落としどころか。

ジャンタルマンタル

外目3番手から早めに仕掛けて抜け出して押し切りを狙う横綱競馬だったが、流石に最後は甘くなったところを強襲されてしまった形である。
川田騎手の上手さも含め、スタートを決めて自分が走りやすいよう、恵まれるよう立ち回れるのがこの馬の長所。そのうえで、異なるレース質でジャスティンミラノに2連続で敗れたことから、現状はジャスティンミラノを上に取るべきかと思われる。
ただ、どちらも展開一つで逆転可能な内容であったと考えるため、有意な差はない。
今年の朝日杯はこの馬が強かったレース、と結論付け、そのまま世代最強候補に名を連ねていると考えて良さそうだ。
今年のクラシックは悪い意味でどうなの?という個人的な思惑は杞憂に終わり、牡馬のクラシック上位組は粒揃いでかなり強い可能性が高まってきた。古馬混合でも楽しみである。

アーバンシック

敗れたのは位置取りの問題であり、後方の外から追い上げてここまで押し上げられたこと自体は評価していい。馬場の時計水準が先週レベルだったらこの馬が来ていた可能性は十分あったかもしれない。
ジャスティンミラノらに比べると少し見劣りはするものの、逆転不可能な範囲ではない。
ダービーでも期待がかかる。

シンエンペラー

この馬が好走するとしたらもう少し前目から早仕掛けをして先頭から押し切るくらいの構えでないと決め手不足で厳しかったと思われる。
それでも大崩れせずよく走っているが、現状はG1勝ち負けまではちょっと厳しいかなというところ。
ダービーは立ち回りでどこまでカバーできるか。

レガレイラ

いつも通り後方に下げての競馬だったが、ウォーターリヒトに外から併せられたポジションで、かつ後方集団はいつ垂れてブロックを食らってもおかしくない能力下位馬が密集しており、捌き辛いところに収まってしまった。
3角でもなかなか進出できず万事休すというところではあったものの、4角からは意地を見せて追い上げた。しかし、やはりあの位置取りでは無理があった。上がり33.9は最速で、ジャスティンミラノやジャンタルマンタルらには劣るとはいえ悲観するほど悪い内容とは言えない。位置取りの問題である。
ダービー、あるいはオークスでは展開にもよるが巻き返し可能と考えていいだろう。

エコロヴァルツ

気分よく走らせるために最後方から一か八かの末脚勝負に賭けたが、残念ながら前が止まらず。上がり33.9は最速であり全く悪いわけではないが、レガレイラのほうが少し前のポジションかつ苦しい立ち回りを強いられたことを考えると、彼女よりは内容は下である。現状は力不足だろう。

メイショウタバル

気分よく走らせる選択をした結果の大逃げ。馬の気性があまり良くなく掛かり気味に行ってしまったので、前半57.5のペースとなってしまった。1400あたりですでにバテており、終戦。
とはいっても、勝つためにはなんとかして逃げる以外にはなかったとは思うので、責められないとは思う。

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