ヴィクトリアマイル 予想メモ


コース形態

先週同様。

王道路線の東京1600。安田記念等が行われる舞台。
よく通説として、「東京マイルを逃げ切るのは難しい」と言われるが、それはコース形態によるもの。
3角までは550mほどあり、かつ直線も長いので余計な先行争い、隊列形成への長い主張は避ける傾向にある。
下り坂スタートということもあり、先行争いは激しくならずとも自然とそれなりのペースになりやすい。
300m地点くらいで一度登り坂があるので、そこでペースを落としたいところなのだが、そこからすぐにまた下り坂で3角に入らなければならず、息の入れどころが非常に難しい。ペースを落とそうにも登りが始まるのは3角の中間であり、そのときにはもう4角が見えているころで勝負どころに入ってしまっている。そしてそのまま長い直線に移行すると、そこに待っているのは東京コース最大の急坂であり、ペースが上がりやすくかつ展開が早めに動きがちな上級条件になればなるほど逃げ馬にとってはかなり辛いコースとなっている。単騎逃げならばペースを握って多少はコントロールできるが、同型多数になると息の入る余地がなくなるので残るには相当な地力がないといけない。

TB想定

フラットでいいと思われるが、コース替わりのため様子を見たい。

ナミュール

マイルCSで初G1タイトルを飾ったが、安田記念ほどの豪華メンバーでなかったこと、シュネルマイスターとセリフォスの自爆により代わりに浮上した感は否めないが、目の覚めるような末脚による大外一気は見事であった。
香港マイルでは日本馬最先着の3着、1800に延長し王道路線での挑戦となったドバイターフでは現役最強候補のドウデュースや昨年好走の実力馬ダノンベルーガを破り(まあ、ドウデュースは競馬に集中できてなかったうえに出遅れて内で詰まり倒したので不発だが)、ハナ差2着まで追い込んだ強い内容で、まさに充実の一途を辿っている。
そのような馬が牝馬限定のG1に出るならば高い評価を与えて当然である。ただし、差し脚質なのでコース替わりで内有利のTBであったり、スローペースで前残り展開であったりすると脚を余して届かない可能性も考える必要がある。
1着候補。

マスクトディーヴァ

世代としてはリバティアイランドが傑出しており、この馬はその2番手候補である。
古馬初戦の東京新聞杯はかなりの内有利TBのなか大きく出遅れて外を回される競馬であったためこれでは敗れても仕方がない。むしろ0.4差の6着まで追い上げたことを評価した方がいい。同じく外を回った5着マテンロウスカイが中山記念で巻き返して勝ったように、悲観するようなものではない。
阪神牝馬Sは相手関係を考えればほとんど4歳戦であることを考えれば、絶好位のインコース追走だったので世代No.2を示すだけの楽勝をして欲しかったところではあるが、スローからの上がり勝負でそもそも差がつきにくい展開だったことや、直線でモレイラ騎手が手綱を落とし追い出せず寄れるロスがあったことを考えれば、斤量+1kgも含めて完勝だったと結論付けても問題はなさそうである。
よって、引き続き牝馬限定戦、かつ有力どころはほぼ阪神牝馬Sのメンツの今回ならば、最上位評価されて当然。ローズSの時点で「個人的にはVMに期待」と書いたので、当然期待している。
そもそも、秋華賞で現役最強候補リバティアイランドに同世代で唯一迫る競馬(とはいえ、リバティアイランドのほうがはるかに内容は上だが)ができている以上、相当な能力は担保されていることは間違いなく、中距離→マイルにカテゴリ弱化ならばナミュールとほとんど力差はない可能性が十分あり得る計算になる。
好位で流れに乗って抜け出せればナミュールを凌いで勝ち切る可能性も十分。2強体制。
1着候補。

ウンブライル

阪神牝馬Sの2着は悪くない内容だが、不慮のロスもあったマスクトディーヴァには斤量差を加味して着差以上の力負けだった。
東京新聞杯は立ち回りは悪くなかったが、長欠明けにしろ負けすぎ。
阪神牝馬SとNHKマイルは楽に運べていたので、もしかしたら馬群で競馬があまりできないタイプの可能性も考えられるし、そもそもその年のNHKマイルはまともにOP以上で通用している馬がいない超低レベル戦だった。
差しが届く展開ならばそれなりに評価は必要も、人気ほどの信頼度は高くない。
2着以下候補。

スタニングローズ

秋華賞では不利があったとはいえ二冠馬スターズオンアースを退け、ナミュールにも先着した。
もともと距離を伸ばしたオークスから結果が出始めていただけに、マイルが合うかと聞かれると微妙ではある。ただ、昨年のVMは出遅れて自分の競馬ができなかったうえにスローの前残り展開だったので度外視可能ではある。
昨年中山記念も大阪杯も展開やTBが向いたわりにあっさり負けているので、牡馬混合の別定重賞以上では通用していない馬ではあるが、牝馬限定ならば相手弱化。これといった強い馬は少なく、先行馬も少ないので、G1馬という点を最大限に見たうえで、コース替わりにより内有利TBがあって楽に先手を奪えれば、どちらかというと差し脚質の上位2頭を尻目に押し切れる可能性は存在する。
ただ、長欠明けで馬がダメになっている可能性もゼロではない。
1着候補。

モリアーナ

どの条件でも比較的崩れなく走れる優秀なタイプ。
阪神牝馬Sはウンブライルに先着されたが、位置取りと斤量差のものであるためほぼ互角。
牡馬混合別定であるAJCCも馬場適性の都合も加味する必要があるとはいえそれなりに走っているため、能力的にも悪くない。
よって、スムーズに運べれば好走の可能性はあるものの、阪神牝馬Sの内容からもマスクトディーヴァには完敗であるため、連下や抑えの評価で十分である。
2着以下候補。

フィアスプライド

後方一手の馬だったが、ターコイズSはルメール騎手に乗り替わって位置を取る競馬ができて完勝した。
ただし、スローペースで展開的に内が恵まれたなかをロスなく立ち回っていたため、抜けて強い、というものではなかった。
中山牝馬SはターコイズS以上のスローペースで凡戦なうえにメンバーも弱化。同様に内が恵まれる展開で今度は外を回してマクリ気味に進出する競馬であったため、斤量増も含めて脚が止まってしまったものであるため、多少度外視はできるが、あのメンバーでもあっさり大敗しただけに抜けている馬ではないことは明白。
よって、さらなる相手強化を考えると好位でロスなく立ち回ってどこまで通用するかというところで当落線上の評価となる。
3着候補。

コンクシェル

単騎逃げなどで被されず気分良く運べないと脆い馬で、負ける時は惨敗するタイプ。
中山牝馬Sは外のフィールシンパシーが日和って引いたことで単騎逃げが成立し、しかもドスロー。さらに53kgの軽斤量で恵まれまくっての勝利であり、相手も弱かった。
よって、さらなる相手強化のうえ誤魔化しがしにくい東京マイル、かつ斤量増を考えると、仮に単騎逃げできても捕まる可能性が高く、よほど展開やTBが向かないと好走は難しそうである。
見送り。

ドゥアイズ

阪神牝馬Sの内容だけ見れば、この馬を買うなら上3頭買うよねって話になるのだが、スタート直後の不利で出負けして位置が下がったぶんとも言えなくはない。
また、どのレースもジリ脚気味で最後の最後に前の脚が上がりかけるところで伸びてくるので、長めにエンジンを使わせる競馬の方がいい可能性はありそうには思う。つまり東京自体は悪くない。
ただ洛陽Sを見る限りは荒れ馬場で力も欲しくなるようなレースの方が真価は出そうである。
よって、瞬発力勝負よりロンスパ戦や多少タフな流れの方がチャンスがありそうなので、その際に最後の最後で強襲してくる可能性はあるものの、世代戦の内容からしてマスクトディーヴァを逆転するまでは厳しい。
3着候補。

ハーパー

世代の格としてはマスクトディーヴァ、ブレイディヴェーグに次ぐレベルで、三冠レース全てで崩れなく走ってきた。
内で溜める競馬がうまく、エリ女もスロー寄りでかつ牝馬にとってはやや厳しいスタミナが問われる2200であることから内でロスなく溜めて抜け出しに行く3着に入れたのは内容としてはイマイチだが実績としての価値はある。
有馬記念は相手が悪すぎたし、大阪杯はやや内有利のTBで外を回り続けて厳しいレースになったものである。あとは単に牡馬混合で通用しなかっただけと見れば、牝馬限定戻り、マイル転戦でカテゴリ弱化、相手弱化の今回巻き返す可能性は普通に高そう。
世代戦ではドゥアイズ、ウンブライル、コンクシェル、モリアーナなど全て負かしてきているだけに、負けすぎてメンタル的に終わっていなければマスクトディーヴァには勝てなくともそれ以外には格を見せて先着する可能性は普通に考えられる。
2着以下候補。

ライラック

実績的には一昨年エリ女は大雨、ハイペースのうえに超外差し馬場に恵まれたとはいえ2着、内で決まったエリ女で外回って差しての4着など価値がある内容のレースはあるし、府中牝馬Sでスローのなか3着に好走するなど、単純比較するとかなり上位である。
ただし、この馬は華奢な馬らしくトップスピードに難があるタイプで、加速も良くない。スタミナ展開、荒れ馬場の消耗戦でズブズブになりながら差すのが得意条件なので、舞台としてはあまり向かない。サリエラなどと同タイプ。(あっちはズブズブは向いてなさそうだけど)
そのため、瞬発力勝負になると確実に分が悪い。府中牝馬Sはどちらかというと少頭数のうえまともな実績馬も少ないやや低調なメンバーだっただけになんとかなったという感じに見える。実際直線は加速が遅れて一度呑まれかけてるので。
パンパンな馬場でこの馬が好走するには地力展開かつ4F以上のロンスパ勝負、あるいはハイペースのバテ比べになった時。
望みは薄いが、穴なら拾っておく価値はあり。
3着候補。

フィールシンパシー

ターコイズSは軽斤量でスロー逃げが上手くいったものだがフィアスプライドに差され、中山牝馬Sは少し外を回ったとはいえコンクシェルにハナを譲ってドスローの2番手で差し込まれての4着、福島牝馬Sもスローの番手グループから押し切りを狙ってコスタボニータに差されたというものでここのところは何度も展開に恵まれている。
しかし、中山牝馬S、福島牝馬SはOPでも通用していなかったり条件級が出てきたりとかなり弱いメンバー構成であり、レースもスローで凡戦となると今回評価できる要素がなく、力比べなら大幅相手強化で厳しい。
見送り。

テンハッピーローズ

阪神牝馬Sは離されており上がりもそこまでではなく、力が足りなそうであった。この馬を買うなら他の上位を買うべきである。
見送り。

サウンドビバーチェ

昨年阪神牝馬Sは強烈な内有利を生かしたもので相手もそこまで強くなかった。
昨年VMもスロー寄りで内前残り展開に恵まれたものである。それでも5着止まりであることを考えると、基本的には厳しい。
ターコイズS、東京新聞杯は負けすぎだし、精神的にピークが過ぎてる感もある。
よって、TB、内枠、スロー先行全て揃ってようやく来るかどうか検討するレベルで十分である。
見送り。

ルージュリナージュ

東京新聞杯はほぼ着拾いでロスだらけのマスクトディーヴァよりも上がりは負けているし、そのほかのレースも特に見せ場もなかった。
確かに中山マイルよりもワンターンの東京マイルの方が良さそうではあるが、今回はさらに相手強化であるため、基本的には厳しい。
見送り。

キタウイング

近走全く見せ場がないので、厳しい。
見送り。

総評

ナミュールとマスクトディーヴァの2強ムード。
NHKマイルは世間は2強の雰囲気だったが、結果的にワンツーでそうなっただけで普通に分析するとジャンタルマンタル1強というところに勝負できる要素があったが、今回は突き詰めても2強という構図は変わらず、個人的にもそれには同意せざるを得ない。
TBフラットならばよほどスロー前残りにできない限りはこの2頭でワンツー、悪くても圏内2つが埋まる確率は高く、妙味も皆無で非常に勝負しにくい。
残るもう一席を無理やり探して3連単にするのはどう考えてもリスクとオッズ、券種の難しさに見合わないし、無闇に逆らう状況でもない。
3着狙いの穴本命にしたくもなるが、どう考えても取れる馬券の可能性を狭める行為で愚策。
よって、TBがフラットならば見送りが妥当。馬券妙味を検討するなら他のレースを模索するべきである。

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