京都新聞杯 新潟大賞典 NHKマイルC 振り返り


京都新聞杯

最終印

TB・展開

TBはフラットだが若干内の方が良さそうな感じ。
3F35.7-33.8、5F60.3-58.2の典型的なスローからの上がり勝負。京都らしくL4Fからレースが動いていったが、ほぼ脚を使ったのは3Fのみ。瞬発力比べとなった。11.2-11.3-11.3でこれを後方から差すのはかなりの脚力が必要となった。しかし、各馬の推定上がりでこれを上回ったのは1,3着の2頭のみであり、逃げたウエストナウで34.0(上がり4位)。つまり後方は進路取りや外を回すロスなどがあったにしろ力が足りない馬たちだった可能性がある。
…そうはいっても、1角前にウエストナウが大きく外に斜行したため3頭ほどかなり不利を受け甚大なロスを余儀なくされたため、レースを壊してしまったので、どこまでこのレースでの力関係を考えるべきかはイマイチ不明。
1つ言えるのは、このレースでダービーにつながる馬はいないであろうということ。

ジューンテイク

見事なイン抜け出しを決めた。道中も内枠を生かしてロスなく好位を立ち回ってのもので、スローからの脚比べゆえに展開的に内が大きく恵まれていた。それゆえの勝利と判断している。
上がり最速の末脚を出して勝ち切ったのは立派であるが…
ただこの馬は皐月賞で通用しなかった若葉S組(ミスタージーティー、ホウオウプロサンゲ)の5着、すみれS組(サンライズアース)の2着である。
そんな馬が京都新聞杯を勝ったということは、つまりこのレースが大斜行によって壊されたとはいえ低レベルであったという証拠にしかならない。
皐月賞組を逆転するのは困難であり、ダービーは苦戦が予想される。

ウエストナウ

レース破壊の張本人。
内枠を生かしてすんなりハナに立ったが、1角手前で大きく外に斜行したことでハヤテノフクノスケ、プレリュードシチー、ファーヴェントが被害にあい大きなロスをさせてしまった。これにより外先行馬が全滅。
自身も斜行のぶんロスはあったのだが、何事もなくコースに戻ってハナのままスロー単騎で楽に進められたため、展開に恵まれた。
ダービーはそもそも調教再審査で出られない可能性が高いが、出てきたとしても好勝負は厳しいだろう。

ヴェローチェエラ

中団後方外目を進め、さらに外から被されながらもしっかり追い上げたが、届かなかった。
ほぼ進路取りと位置の差であり、着順ほど差はないが、所詮ジューンテイクと同等だとしても重賞級と言えるレベルにはなさそうである。

アドマイヤテラ

スローだったため捲る判断は間違ってなかったと思われるが、脚が上がってしまった。
この競馬しかできないのもあるが、まくる競馬はハナを奪い取るか途中でポジションを収めて脚を溜め直す以外は自分が格上でないと押し切れないことが多く、力負けである。

キープカルム

結果的に大外枠と位置取りにより届かなかったとは言えるが、そこまで末脚も使えているわけでもなく、力不足だったか。

新潟大賞典

最終印

TB・展開

TBは既にフラットで、外ラチへ求める馬もかなり出てきた。
3F36.9-34.4、5F61.6-58.4の典型的スローペース。最後4Fは11.7-11.3-11.0-12.1と長い直線全てを使ったスピード勝負である。スローペースのため前残り展開ではあったが、直線で仕掛けが早かったぶんか、ラストで大きく垂れたために差し勢が最後に強襲してきた形である。

ヤマニンサルバム

スタート直後は番手の位置だったが、途中で主張してハナに立って単騎スロー逃げ。気分良く進められたうえに完璧に展開を手中にして粘り切った。
とはいえ、この馬が本当に強いならラスト12.1まで垂れるか?とも思うし、この展開、メンバーレベルなら僅差じゃなくてしっかり差はつけて勝つべきだろうと思う。重賞2勝で今後ハンデ戦は使いにくい。これ以上レベルが上がると気分良く行ける確率は下がるので、そろそろ頭打ちな予感。

キングズパレス

差し脚質ながら本当に崩れなく走れており立派。内容的にはほぼ位置取りの差なので、斤量、展開を加味すればほぼ互角と言える。
今回はOPレベルが多数のハンデ戦であるため通用したが、この馬もこれ以上レースレベルが上がると頭打ちの予感はする。
サマー2000シリーズの主役となれるかどうか。

ヨーホーレイク

内ラチ沿いをロスなく立ち回ったとはいえ、斤量差と位置取りを考えれば、着差もあまりないので最も強い内容と言えるのはこの馬になりそう。
今回は中団に控える競馬だったがしっかり脚を支えたのは収穫。
…ではあるが、このメンバーレベルでも勝てないとなれば、日経新春杯のときのような力を臨むのは酷かもしれない。全盛期ほどは強くない。

デビットバローズ

逃げ馬の離れた番手で最高にロスなく脚を溜めたことを考えると、3角でセルバーグとノッキングポイントが進出して並んできたため外から行かせたとはいえ、直線は前がガラ空きだったし、展開を考えればこの着順は力負けである。
1600路線の方が個人的にはチャンスはありそう。

リフレーミング

後方から追い込んだと見れば悪くはないが、0.5差は少し離された感はあるし、もはやほぼバテ差しの着拾いの部類。
そこまで評価はできない。

レーベンスティール

不発だった可能性はあるものの、全く伸びる気配もなくあまりにも負けすぎで弱かったなあと思える内容。
敗因は正直わからないが、次戦も内容が悪ければ評価を下げなければならなそうではある。

NHKマイルC

最終印

TB・展開

TBはフラット。ペースによる依存度が高く、スローだと内や前の決着もそこそこあった。
3F34.3-34.1、4F46.3-46.1(5F58.3)とそこまで速くはなく、4,5F目に12.0が入ったため、ここで少し息が入ったと見るとスロー寄りだったと言える。
そのため決着はロスのない内と前に集まったことを鑑みて評価はつけたいところ。

ジャンタルマンタル

やや前残りだったのは事実も、外を不利なく回ってアスコリピチェーノに蓋をして内に閉じ込める完璧な競馬。直線は仕掛けを待つ余裕すらある完勝であり、他が内でゴチャついてるうちに抜け出して押し切った。
まさに牡馬トップクラスの馬が力を存分に見せつけた内容と言える。
安田記念に挑戦するのだろうか?十分チャンスはありそうだが。さすがにローテがちょっと過密か。

アスコリピチェーノ

好位のインコースで競馬を進め、手応えは悪くなかったが、直線で番手のマスクオールウィンが内に寄れた煽りを受けて自分も内に斜行し、狭い進路を半ば強引に突っ張ったため、キャプテンシーとボンドガールに不利を与えてしまった。
しかし、ルメール騎手が追い出す前の事象であり、加速しきっておらず、トップスピードに乗る前だったことを考えるとこの馬の不利の程度としては見た目ほどは大きくない。加速していない=溜めた脚を使ってないから、その後脚を使って自力で2着に来たということでいいはず。
また、展開面としてもスロー寄りでやや内前が恵まれたなか外枠から内に潜らせて脚を溜めていたこと、外のジャンタルマンタル自身には仕掛けを待つ余裕があってしかも0.4差であることを考えると、仮にスムーズでも2着の可能性が高く、着差は詰まったかもしれないが接戦まで行けたかというと…というところである。
見た目は派手だったので「あれでよく2着にきた」と思いたくはなるが、上述の通り脚がまだ残っていたこと、相手が一線級少数で弱かったこと、後方不発の展開があったことも忘れてはならない。
総評すると、ジャンタルマンタルには完敗だが、ジャンタルマンタルについて行ったロジリオンを捉えて差したということで、牝馬トップクラス、マイル戦線世代上位の力は示せたとは言えるだろう。

余談だが、ルメール騎手が本当に強い、普通にやれば勝てると思っている馬に乗る場合、この枠ならほぼ確実に安全に外に出す騎乗をして脚を伸ばしていただろうと思う。それをせず内でロスなく溜める競馬をしたということは、ルメール騎手の感覚的には抜けて強いと思ってなかったのではないかと思う。(まあ、阪神JFでステレンボッシュに乗って接戦だったのでなんとなくわかっていただろうし、桜花賞も見ていたと思うので)
内で溜めるにしても、アーモンドアイの天皇賞秋1回目のように多少仕掛けを遅らせてでも進路が取れる確信を持てるまで待つ選択をしたのではないかなと思っている。

ロジリオン

ジャンタルマンタルの後ろをビタでついていって、その進路をそのまま生かして伸びてきたというもの。展開的には恵まれたもので、戸崎騎手が上手く乗った結果と言えそう。まあ京王杯で阪神JF3着のコラソンビートに迫っただけの能力はあるのだろうが、直線スムーズさを欠いたアスコリピチェーノに差されるあたりはやはり力としては劣るという見方でいいだろう。

ゴンバデカーブース

長欠明けだが、やはり力はあるのだなという内容。
ただ今回の展開的に3.4角で中団、かつ外を回すややロスのある競馬は位置も進路も不利であり、そのぶん差し届かなかったというもの。
内容的にはロジリオンよりも上ではあるが、牡馬クラシックのトップクラスのジャンタルマンタルとは0.5差と大きく離れている。不利要素を無くしても0.3はありそうで、今のままだとダービーへそのままチャレンジしても、好走はできても勝ち負けまでは厳しいという評価しか下せない。

イフェイオン

好位のインベタで脚を溜め、ロスなく立ち回って雪崩れ込んだ結果。アスコリピチェーノとマスクオールウィンによる不利を受けている1頭だが、ボンドガールらの後ろにいたぶん被害は最小限。そこまで長く引っ張ることもなく進路を切り替える程度であり、展開に恵まれた。4着とは0.3差と離されており、後ろを見るとそのさらに0.3差のうちに12着まで入っていることから、5着以降は展開などのアヤで決まる程度の差しかなく大混戦であり、その中で恵まれたから上にきたというだけ。
つまり力上位は4着まで(そのなかでロジリオンが最も恵まれたので、このレースで高評価していいのは実質3頭)であり、この馬は高評価すべきではない。

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