ダービー卿CT 大阪杯 振り返り


ダービー卿CT

最終印

TB・展開

TBはコース替わりではあったがフラット。
ただし、既に内を開け始めており、差し馬は外を回りすぎると不発するリスクもあった。
時計水準は回復し、暖かくなって芝が良くなり時計が出るようになってきた。
3F 35.5-35.1、4F 46.8-46.1(5F57.8)
と勝ち時計1.32.9を考えると、遅いわけではないが若干スロー寄りかなというところ。しかもこのペースで逃げたエエヤンが3角で2秒弱離したため、後ろ用無しの展開に。
かつ、差し馬が慌てて外を回して追い上げてもロスがあるうえに前の脚も残っているので、流石に届かない展開となった。凡戦?

パラレルヴィジョン

逃げ馬の大きく離れた番手2頭のうちの1頭。
惰性で押し切るタイプのセッションよりも地力で脚を使えるタイプのこちらが上回り、展開をものにした。
正直これで重賞級とは思い難い内容。
もう1戦疑う余地はある。

エエヤン

まあ、このペースで後ろがガン無視で放置してくれてよかったね案件。気分良くスイスイと進めた結果だが、ラスト1Fは垂れた。
おそらく一頭でも早仕掛けの自滅上等で詰めてくる馬がいたら残らなかっただろうとは思う。
(そんなギャンブラー騎乗は、信用問題なので、乗ってる馬を知り尽くしてる騎手じゃないと難しい)
気性的に難しい馬なので、次戦は素直な競馬ができるかどうか…。

アスクコンナモンダ

番手グループの2列後ろのインでガッチリ構え、パラレルヴィジョンについていく形で開いた内を通す形で差してのもの。
もう少し早く動ければ2着はあったものではあるが、早仕掛けは自滅のリスクもあるだけに、それをしないソツのなさは望来騎手ならではだろう。
堅実に3着を確保したと言うべきか。

ニシノスーベニア

アスクコンナモンダとはほぼコース取りの差なので互角の内容。
思ったよりも走ったなとは思うが、さすがに前走のような単騎ポジションにならなかったぶんはやや苦しい競馬をさせられたか。

ダディーズビビッド

最内3列目、セッションの後ろを回ってロスなく運んでの雪崩れ込みであり、そこまで価値はない内容である。
また1400くらいの重賞で狙いたい。

ディオ

終始外目で、3.4角大外を回るロスが結果的には大きかったか。
力負けかどうかはなんとも言えないが、明らかに外を回った馬が崩れているので、もう一戦見たいところ。

大阪杯

最終印

TB・展開

TBはコース替わりもあって若干内有利かなというところ。ただ外を回った馬もきており、フラットに近かったと判断している。
3F35.8-35.0、5F60.2-58.0とスローの流れ。阪神らしく下り坂の残り1000からペースアップとなったが、ローシャムパークがマクって先頭に取り付いたあたりがここなので、それによってレースが動かされたかなと言う面も。それでも11.5以下が4F続き、これでは後方が差を詰めるのは難しく、基本的には前残りレースとなった。それでかつスピードが問われるロンスパ戦となったという印象。こうなるとロスなく回る方が有利にもなるので、やや内決着。
ラストは11.4-12.2と垂れているが、ペースの動き出しの早さとラスト1Fが坂なのでそんなものかなというところ。惰性は多少使えていたと判断。
近年大阪杯はドバイへ行かない1.5軍メンバーが揃いG1タイトルの駆け込み寺レースとなりがちだったが、今回もそういう雰囲気である。

ベラジオオペラ

和生騎手はノリイズム(適当に名付けた)を継承した乗り方が多く、今回は馬もスタートが良かったため決め打ちで早々に番手付けして勝負を掛けたと思われる。もともとスプリングSなどでこういう脚質で戦ってきてた馬なので、不自然ではない。
スタニングローズを行かせて単騎の番手を悠々と進め、ローシャムパークが捲るまでのスロー区間中は気分良く脚を溜められたことが大きく、最後まで脚を残せて押し切れた。完璧な騎乗によるものであり、展開、TBにも恵まれており、これ以上は求められないものである。
裏を返すと、これで捲ってきたローシャムパークをなんとか振り切り、重賞級レベルまでのルージュエヴァイユにあわやのところまで迫られていること、そもそも京都記念でG1では足りないプラダリアに伸び負け、チャレンジCではボッケリーニと同程度となると、世代トップ候補でこのレベルであることから、やはりこの馬も、ひいてはこの世代全体として現役トップクラスには今のところはなり得ない可能性が高いだろうなと改めて思わされた。
むしろここか、メンバースカスカになりがちの天皇賞春以外4歳馬の出る幕がないのでは?と思っていたので、本当にその通りになりそう。

ローシャムパーク

スタート一息で中団やや後ろからとなったが、すぐに外へ出せるポジションを確保し、緩んだところですかさず捲った戸崎騎手の好判断だが、先頭に取りついたあたりからレースが動いて前に抵抗されたので、息を入れる暇がなくかなり長く脚を使わされたと思われる。
ベラジオオペラを交わせなかったのはその分の余力の差だろう。内容としてはずっと外を回っていたことも考えると彼の方が上。地力としては1番というところを見せつけた。
勝てなかったのは残念だが、今後もチャンスはありそうな一頭なので、注目は続けたいところ。

ルージュエヴァイユ

彼女はタフな展開よりも府中牝馬Sのようにスピード寄りの勝負の方が(牝馬は斤量が軽いということも含めて)力を発揮できるのと、そこまで揉まれても苦にせず内で脚を溜めるのが上手なので、展開に馬のタイプが上手く噛み合ったとは言える。ロスなく回って差したのも好騎乗。
ただそれでも前残りのところを勝ち負け寸前のところまで追い込めたのは素直に評価。自身のMAXを更新した素晴らしい走りであった。
一線級相手だと流石に足りないが、VMや秋のエリ女の牝馬限定路線なら通用しそうなので、また期待したいところ。

ステラヴェローチェ

外からよく追い込んだようには見えるものの、ルージュエヴァイユを先に行かせつつじっくり構えて脚を溜め、3.4角は内目であり、そこまでロスがあったわけではない。直線だけ馬場のいい外に持ち出した形である。
先行できなかったものの、もともと差し脚質だったのでそこまで問題ではない。
よって、先に動いたルージュエヴァイユに伸び負けてのものであり力負けと判断するのが妥当である。
宝塚記念でもそこそこ人気にはなりそうだが、そもそもこのメンバーで勝ち負けできないなら海外のトップ組が集まりだす宝塚記念の方が苦戦は避けられない。
軽視の方向で考えている。

ジオグリフ

前残り気味の展開でロスも少なく好位から雪崩れ込んだだけのものである。あまり内容もなく、評価できない5着である。
正直ここで恵まれて勝ち負けできないならもうG1は厳しいと判断されても仕方がない。マイル行ってみる?

プラダリア

ジオグリフの後ろからほぼ同様の内容で、やはりG1だと足りない。スピード勝負に長けたタイプではないので展開的にやや恵まれなかったとも取れるが、やはりボッケリーニのように重賞級どまりの立ち位置になりそう。

ソールオリエンス

ローシャムパークに釣り出されるように同じように向正面から捲り気味に進出したが、脚が残らず。
そもそも論で捲る競馬をしたことがない馬なので、位置取りだけを考えるならマクリは正解だが、その脚質は合ってなかったということだろう。また、外を回り続けてのスピード寄りのロンスパ展開はさすがに厳しい。
現状は後方できっちり溜めた方がいいのかもしれない。できれば東京や外回りで見直したいとは思っている。

余談だが、この世代があまり強くない原因としては、スピードに長けた馬が少ないという可能性を考えている。ダービーがその象徴なのだが、(パクスオトマニカが大逃げ気味だったとはいえ)後半の最速区間が11.6であり、2番手以降は実質ドスローの展開にも関わらずダービー馬タスティエーラは上がり33.5、この馬は33.3でどちらも上がり3位以内にも入っていない。ベラジオオペラが33.0で最速で、この世代でスピード勝負に適性があったのがこの馬だった、だから大阪杯はその展開で勝てた、という見方もできる。
そもそもタイム2.25.2も物足りない。前週のオークスのリバティアイランドで2.23.1である。(スローすぎたからというのも原因だが)
その背景に、父ディープインパクトやハーツクライ、キングカメハメハがいなくなり、良く言えば群雄割拠、悪く言えば血統からレベルが落ち始めているのかもなあ、とは少し思っている。(血統詳しくないけど)

タスティエーラ

内の4番手から進めたため恵まれた側なのだが、あまりにも負けすぎな11着であり、情けない内容。
内に閉じ込められてストレスのかかる競馬が原因かと思ったが、好位から早めに脚を使って抜け出し、押し切りができる馬でそんなことはないんじゃないかな、と思うので、単にこの馬のロンスパ能力としてレースラップ以上の脚を使うのが厳しかったという可能性がある。つまりスピード不足でキレ負け。
もっと底力が問われるタフな展開が必要だったのかもしれない。
今回のところは不発として度外視するが、次戦も大敗するようであれば評価を下げることも検討する必要がある。

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