【FC琉球】J2 第3節 VS 愛媛FC

はじめに

悪天候が危ぶまれた今節、キックオフ前から雨は上がったものの強風が吹く沖縄らしいコンディション。観客数は2428名と厳しい数字になりましが、試合の方は2-0で愛媛FCを破り開幕3連勝を飾りました。

スタメン

琉球:増谷に代わり、水戸から加入の福井がイン。その他は前節と同様。増谷は怪我?富所が今節もベンチ外
愛媛:4-4-2と表記すべきか迷ったが4-3-3がしっくりくる。東京オリンピック世代の神谷は左サイド


サリーダ・ラボルピアーナ

試合を振り返る前に1つだけ触れておく。サリーダ・ラボルピアーナ、後方からのビルドアップにおいてMFが1人、2CBの間に降りてくる形。アンカー落ちとも呼ばれる。この試合、愛媛で見られたビルドアップの形である。

中盤アンカーの田中がCB間に落ち、両SBを押し上げると同時に中盤両翼を中央に動かす。
最終ラインに3枚が並ぶことで数的有利を作り出しビルドアップを容易にしていく事が目的である。琉球でもジョンソン監督の下、昨季前半まで取り入れていた。

前半

コイントスに勝った愛媛はエンド変更をチョイス。
愛媛=風上、琉球=風下でキックオフ。愛媛は前半から圧を強めたい意図がみえた。

開始10分、早々に試合が動く。
岡崎からのアバウトなロングボールは風の影響を受け、愛媛CBの処理ミスを誘発。これを詰めていた上門が見事なコントロールからシュート。相手DFの足に当たりコースが変わったボールはゴール隅に吸い込まれた。ホームの地の利を活かして琉球が3試合連続の先制。

風上の中優位に試合を進めたい愛媛であったが、ロングボールは風に乗って琉球GKまで届いてしまい当てにならない。必然的にショートパスがファーストチョイスになる。

強風下での戦いに慣れている琉球は、ラインを高く設定して守る。DF裏にはスペースを作るが、たとえ狙われたとしてもボールは風に乗ってGKの手元行きだった。ショートパス主体の愛媛を縦横圧縮4-4-2の守備ブロックで迎え撃った。DF-MF-FWの3ライン間の距離をコンパクトに設定し、ライン間にギャップを許さない。

攻めあぐねる愛媛は攻めの陣形を少しかえる。
アンカー田中を最終ラインまで落とし、琉球FW2枚に対し、後方に3枚を置き数的優位を作りボール支配率を上げていく。(サリーダ・ラボルピアーナ)


前半終わって愛媛が60%のボール支配率に加えてパス本数が琉球206本に対し愛媛が329本。一見愛媛ペースにみえるが、329本の約半分は最終ラインからのパスであった。


後半

エンドが変わって風上に立つ琉球。
ハーフタイムの監督の指示はショートパスを繋げだった。

前半同様コンパクトネスを保ち、上里がゲームのリズムを作る。
シンプルなコンビネーションからサイドを崩すのは比較的容易だった。
両SBのクロスの質も高いが、あと一歩の所でFWと合わなかった。

そして愛媛。
後半からサリーダの形が増える。78分に30番の選手が入ってからは3バックになったが、それまでは徹底して田中がアンカー落ちしビルドアップに勤しむ。

前半同様、後方に数的有利を得た愛媛はボールを支配する事に成功する。
後ろ3枚に加え、GKもめちゃくちゃ上手いので簡単に後方から試合を組み立てていく。実際にボール支配率は琉球41%愛媛59%だった。ただ、チャンスにはならない。

まず、数的優位はそれだけでは大した役には立たなかった。
正しい距離感と位置的優位を作り出せていなければ相手ディフェンスの連携を分断できない。
基本的に愛媛のビルドアップは琉球の第一プレスラインの前、つまり守備ブロックの外側でのボール支配だった(中盤の選手にボールを預けたい意図は見えたが、後ろに3名を敷いている分、前の選択肢は減った)。
琉球側からするとボールを「持たせていた」

GKがあれだけ上手いのだから、アンカー落ちせずGK+2CBでも十分ビルドアップ出来そうだが。

後半75分、鈴木が3試合連続となるゴールを挙げる。
このシーン、GKカルバハルまで下げたボールに愛媛FWがプレスをかけにいくが、中盤が連動しておらずファーストプレスラインを簡単にブレイク。
慌てて前に突撃した愛媛の中盤であったが後手を踏んでしまい中途半端なプレスになりハーフスペースを露出してしまう。琉球田中がそこでボールを受け、見事な動き出しをした鈴木にパス→ゴールだった。


雑感

これで無傷の3連勝。
そして今節は初のクリーンシートでの勝利。攻撃にばかり目が行きがちだけど、樋口監督になって守備が向上した気がする。相手によって守備戦術を変えているし、選手交代にも明確なメッセージが感じ取れる。

あと、個人的には3ラインの距離間が本当に素晴らしいと思っている。そのおかげで奪ったあとのポジティブトランジションへの移行がめちゃくちゃスムーズ。
増谷不在の影響はめちゃくちゃ感じたし改めて不可欠な存在であると確認した。代わりに入った福井は一度だけ致命傷を負いかねないミスをしたが、それ以外は要所を締めていた。左利きのCBは貴重なので期待したい。

今日もまたホームで試合が出来る。
移籍が決まった中川は出れないっぽい。空いた穴はどうするのかな。
風間を1列上げて越智or小松、または守備が不安だけど富所を入れるか、はたまた和田と鈴木の2トップにするか。いずれにせよ計算できる布陣だ。

対戦相手の徳島はロドリゲス監督の下、モダンなフットボールをする。今年は未だ観れていないけど個人的に2年ほど追ってきたチームだ。楽しみ。

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