【小説】フェイブル・コーポレーション 第七話
六月中旬。一週間ほど様子を見てみたが、和也がフェイブル・コーポレーションをまた訪れることはなかった。
代打ちの新十郎は、日々開催される賭場をコントロールしていた。新十郎によって優しく手なずけられている客たちからは「回銭」の声も飛ばなくなった。新十郎も新十郎で、ペースをつくり、自身の浮きを確保していた。すべての歯車が噛みあいはじめていた。
龍介は洋間の扉を荒々しく開けた。
拓海がテーブルについて、ポーカーの研究でもしているのか、トランプをひろげている。新十郎は寝転がって