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おっさんずラブリターンズ 第七話 「君たちはどう生きるのかい」を見て

前回の第七ラストでは、喀血する黒澤部長に血まみれの菊之助、我を失って喚きたてる和泉の姿があった。ドキドキのラストで、今回もどうなるかと思った。ジェットコースター並みの、スリリングな展開である。

第六回の熱海新婚旅行編では、「だいたいあんたさー、アラフォーのくせにあざといんだよ」と菊之助にディスられ。黒澤部長と牧が「同意」と何度も頷いた、春田の天然のあざとさが爆発した回だった。

困っていれば犬猫以外も助けてしまう春田の底なしの優しさは、彼を取り巻く人たちには周知の事実ではあるが、和泉にとってはダイナマイト並みの破壊力がある。

今回も、そのあざとさに和泉が翻弄され、元公安のエースとは思えないほどの醜態をさらしていた。

顔を見ると愛しさがこみあげ、どうかなってしまう和泉は、出勤してきた春田の声を聞くと目をつむり顔をみないようにする。ところが「えっ!?えっ?和泉さんどうしたんです?」と迫られ、目前に春田を見た和泉は「うひい~!」と悲鳴をあげ逃げ出した。

営業でサンドイッチマンになるはずの和泉がもたついていると、無理やり看板を押し込み、笑顔で和泉に笑いかける。最後は、コピー機の詰まりに四苦八苦する和泉に密着するだけでなく、耳元で話す。これはたまったものではない。「ああー! もう! あんたさ、ダメだって! そういうの!」と声を荒らげ春田を押しのけた和泉は「俺を殺す気かよ。罪人め!」と天を仰いだ。

忘れなければいけない・実りのない恋に苦しむ和泉には、地獄の所業である。意味のわからない「恋の処方箋」をゴミ箱に叩きつける姿は、コミカルであるはずなのに切ない。

亡くなった恋人に面影を重ねていただけかとは思ったが、素の秋斗も和泉の前ではかなりあざとかった。これでは、恋に落ちてしまうのは必然である。「春田の人を和ませる優しさ」が、復讐だけを考えてきた和泉の心の扉を開けさせたのだろう。

七回の終わりで緊急搬送された菊之助。秋斗の最後がフラバするのが辛い。元上司の「足利」から連絡を受け、和泉は警察病院に駆けつけるも「家族以外は面会できません」と追い返される。「お前らに、俺と菊の何がわかる!どけ!」の声すらむなしい。

屋上で「撃たれたと聞いた」と声をかける和泉に、「かすっただけです」と答える菊之助。安堵する和泉に「やっと捕まえました」と、秋斗を殺したテロリスト達が確保されたことを伝えた。

あまりにも長かった。和泉が復讐という鎖から解き放たれた瞬間だ。「そうか、やっと終わったか」と天を仰いだ和泉の心中は穏やかではなかっただろう。

「ねえ、和泉さん、あなたはもう自由に生きていいんです」と声をかける菊之助に「そんなこと……急に言われてもな」「この先、どうやって生きていけばいいか」と呟く。

そんな和泉に菊之助は寄り添い、そっとキスして「ずっと、好きでした」と告白する。ポイントは「好きでした」と過去形で告白しているところである。

和泉を復讐から解き放つことで、菊之助も過去の自分と決別したのではないかと感じた。

私は秋斗推しなのだが、和泉も菊之助にも幸せになってほしい。
ここまでくると、どのような結末でも受け入れようと思うのだが……春田と牧とは違った幸せを二人に与えてください。

秋斗の敵討ちが終わったことで、和泉は天空不動産にいる理由がなくなる。たぶん、秋斗の墓前で春田に告白し、辞めるのではないかと予測。

黒澤部長については、余命宣告というショッキングな予告だった。春田には父親がいないので、黒澤部長を親のように慕っていただけに、残念で仕方がない。