たけのこ

幽体離脱である。 言葉は僕から抜け出て文に帰る。 あなたが読むのは抜け殻の僕の前にある…

たけのこ

幽体離脱である。 言葉は僕から抜け出て文に帰る。 あなたが読むのは抜け殻の僕の前にある、この一文だ。 書く仕事ください→take5989@gmail.com

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    言葉にできないコトバをことばにします。

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2024.5.4 題無し

ゴッホと宮沢賢治が37歳で他界した。 だから僕もあと10年で死ぬ。 そんなふうに思うことは おかしいだろうか。 断じて。 世が天才と呼ぶ者への 哀しき憧れなどではない。 まぁ、そう言う他ない。 これは予言でも宣言でもない。 そうであってもおかしくはない、 ただそれだけの独り言である。 しかし、それが 書き留めねばと思われるほどの ある種、実感を伴ったに過ぎない。 焦りも悲しみも痛みもない。 現在は何も動いていない。 見えてはいない私の顔が ひどく真剣に硬まっているのが ほんの

    • 足りない時間

      まだ子どもだった頃、 時間はいくらあっても足りなかった 一人で、友だちと、お父さんと、お母さんと とにかく遊ぶことに、 時間はぜんぜん足りなかった いつからか大人になった頃、 時間はいくらあっても足りなかった 仕事に、家事に、育児に、趣味に とにかく生きることに、 時間は全然、足りなかった 遊ぶことは、生きることになった それは、全てではないけれど やりたいことが やらなければならないことになった 夢中でしていた無駄なことが 必死でしている必要なことになった

      • 汚れ

        汚れていく それは生活というだけで 汚れていく 生きていればなおさらのこと 汚れていく 強く、厚く、かかわるほどに 汚れという自然を汚さぬように どうか美しくありたい 一緒に汚くなれること 汚れることを厭わないこと そのことで誰かを美しくすること

        • 石ころに。

          石ころになりたい 小石でも 巨石でも 石でもなく 石ころに。なりたい 転がって転がって どうしようもなさを生きて、 原形などとうになくなって、 誰も私を知らなくなって、 それでもはじまりは私だったことを 私だけでも覚えていて、 角が取れても どこかが角のままで、 特徴がなくとも そのことだけは特徴になって、 誰の役にも立たず、 たまにいる物好き以外からは 見向きもされず、 気にも止めず踏みのぼられ、 気分次第で蹴飛ばされ、 区別する意味もなく わざわざ石ころと呼ばれる、

        2024.5.4 題無し

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        記事

          2024.4.27 題未定

          人生をむつかしくしているのは いつも自分です そもそもは白紙だったのです そこには、道も、山も、 帰る家さえなかったのです 筆を手にしたそのときから わからなくなることは始まっていたのです 悲劇でしょうか、 喜劇でしょうか、 外側からは、 どちらにしても劇的でしょうか、 すると、 内側からは、 どこまでも嘘になりましょうか、 嘘でも、真でも、 それは滑稽な病です、 一方、 私の側からは、 どうも呪われているように見えます 人生をむつかしくしているのは いつも自分で

          2024.4.27 題未定

          【詩】あの人の涙

          その涙を 私は見つめられなかった どうしてか 受け止められない気がして ちゃんと見つめないと ちゃんと受け止めないと あの人の流した涙は 私の言葉を戒める 一粒の滴となって 落ちるのだから

          【詩】あの人の涙

          【詩】やわらかな答え

          答案用紙に書いた私の答えは その時の鉛筆のように鋭く尖っている 私にはやわらかな答えが出せない 登り詰めた山の頂上はどうしても狭く 走り続けた道の先はどんどんと孤独だ 未知の世界は多くの人にとってインチキで 存在しない正しさに向けて開拓者は船を出す やわらかな答えはいったいどこにあるのだろう 語ろうとすれば 言葉は誰かのナワバリを荒らし がんじがらめの自分の居場所で 愛する人へ糸電話をかける 愛し合おうとしていた頃 私たちの愛はまだやわらかだった 冷え固まった蝋のよう

          【詩】やわらかな答え

          【詩】していい

          けっして、したほうがいいわけじゃない かといって、しちゃいけないわけではない でも、「まぁ、しない」ってことがある ただ、ほんとうのきもちって じつは、そういうことだったりする おとなになったせいか がまんできるようになってしまって べんきょうしたせいか うまくいかないきがしてきて じゆうになったせいか していいことがわからなくなった もしも、もういちど なにかをやりなおせるのなら きみはなにをやりなおすだろう していいことは じつはむげんにあったこと それだけでも お

          【詩】していい

          【詩】フィットネスです。

          最近、フィットネスジムは コンビニに弟子入りしたらしい。 若いサラリーマンたちが 強いられた労働に勤しんだ後 自由な苦行に浸っている。 身も心もムキムキになって 握手の力加減を間違える。 強くなったおかげで 誤って誰かを傷つける。 傷ついた者が声を上げる。 犠牲者の声は街中のスピーカーに響く。 加害者はすぐに処刑台に上げられる。 謝る暇もない早さで。 加害者に同情する傍観者。 ある人は怒り、ある人は笑い、 ある人は目をつむった。 新しい犠牲者が出るたびに 新しい法律が作られる

          【詩】フィットネスです。

          【詩】僕は加害者

          だって、きっと、僕だって、 同じことしかできなかった。 No なんて言えなかった、 実現もできなかった。 だから、僕は加害者。 失ったんじゃない、 追いつめたんだ。 壊されたんじゃない、 仕方ないと言ったんだ。 だから、僕は加害者。 できることって なんだろうか。 すべきことって なんだろうか。 わからないまま 生きている。 わからないから 生きている。 ほんとうのことが わかるまでは、 生きていないと いけない気がする。

          【詩】僕は加害者

          【詩】鉛筆とボールペン

          鉛筆とボールペン、それは僕の両足。 右足は鉛筆で、左足はボールペン。 太さも濃さも不規則な鉛筆は、 いつも僕の一歩目。 そんな一歩目を補うように、まとめるように、 次に続くはボールペンの二歩目。 こうして僕は前に進んでいく。 一本の棒は前には進まない。 肉体が中心から枝分かれしたおかげで 僕たちは前に進める。 感情の発露だけでもいけない。 整えられた合理性だけでもいけない。 僕たちはきっとこれからも両足で前に進んでいく。 いや、そうして進んでいくべきだ。 全自動前進装置に乗っ

          【詩】鉛筆とボールペン

          【詩】距離

          夕方 突然に輝きだした空 何もせず終わりかけた週末を 取り返そうとする私のよう—— その輝きは美しすぎた 心をよせた私の姿とは あまりに対照的なほど これまでの曇り空が、 急に苦節に思えてきて 絶望がそっと私に囁く 実際の距離と同じように ほのかに抱いた親近感が 劣等感へと伸びていった

          【詩】距離

          【詩】部屋と二人

          こんなに狭い部屋なのに 二人ではさらに狭く感じます。 あなたの布団は一人分なのです。 家賃を払っていなくても、 あんなに狭かった部屋が 今は布団一枚分、広く感じます。 家賃も払っていなかったし 私の生活は特に変わりません。 たしかに広い部屋だけど なぜか広すぎるように感じます。 私の生活が変わらなすぎたせいか 空いている場所がいつもあります。 こんなに広い部屋なのに 私の居場所は小さく感じます。 代わりにあなたの居た場所が とても大きく見えています。

          【詩】部屋と二人

          【詩】めがねを外してみて

          めがねを外してみる 全てがぼやけている 何も見えないと言っても うそではないほどに むしろ見えすぎていた めがねをかけていた僕の視界 はっきりとくっきりと 嘘を僕は見ていた 今 見えている世界こそ 僕の本当 僕にとっては ほとんどが 見えていないことこそ 本当に見えているということ でも それではどうも生きていけなくて 僕はめがねをかけている 僕にとっては それはめがねだけど 誰かにとっては それはファッションだったり ある人にとっては それは愛情だったりする めがね

          【詩】めがねを外してみて

          【詩】それでも僕は幸せ

          幸せにならないと幸せになれないような奴に 俺のこの気持ちが分かってたまるか まだ幸せじゃない 今は幸せじゃない これからも幸せじゃない あまりにも幸せじゃない それでも僕は幸せ 常識から外れないと常識から外れられないような奴に 俺のこの気持ちが分かってたまるか まだ終わっていない 今は幸せじゃなくても これからが本番だろう あまりにも負け惜しみだけど それでも僕は幸せ

          【詩】それでも僕は幸せ

          【詩】知らずに歩いて

          知らない町で知らない道を 目的もなく歩いていると 思うのです この道を右へ行くべきか左へ行くべきか そんなことに正解はないのだと おもしろそうな道を選べばいい 楽しそうな道を選べばいい なんとなく心惹かれる道を選べばいい 知らない町で知らない道を 目的もなく歩いていると 思うのです それでもなお、正解などなくても 人はどちらかを選び歩いていく 選ぼうとせずとも選んでいる 左に行けば出会えた人 左に行けば見られた景色 そんな可能性を知ることもなく 人は右の道を歩く

          【詩】知らずに歩いて