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ふきのとう

植物の「ふきのとう」のことではなく、
フォークデュオの「ふきのとう」のことを
今回は書いていきたいと思う。


「ふきのとう」は細坪基佳さんと山木康世さんの二人からなるフォークデュオで、
1972年〜1992年の間に活動された。
私が生まれる前だ。

なぜ、平成生まれの私が「ふきのとう」を知っているかといえば、母が好んで聴いていたからだ。
私がまだ小さい頃、当時母はカセットテープの「ウォークマン」を持っていた。有線のイヤホンを見て「貸して〜」と言うと、母は片方のイヤホンを私の耳に入れ、ちょこっと聴かせくれた、というシーンを覚えている。
その時に聞こえた透き通る歌声。
きれいなメロディ。
この時、歌手名こそ認識はしなかったが、
「ふきのとう」の音楽、というものを感じとったのだった。


それから成長し、月日が経っても私は勉強の合間や暇な時に母の時代の音楽を好んで聴いていた。「チューリップ」、「オフコース」、「浜田省吾」、「井上陽水」、「伊勢正三」など…。その中の一つに「ふきのとう」ももちろん含まれていた。
明らかに同年代の友人とは音楽の趣味が異なっていた。


特に好きだった歌が
「5月」「南風の頃」「サヨナラ」「風来坊」「やさしさとして想い出として」などなど。挙げればキリがない。


振り返れば、あの年齢でなぜ古い曲たちを聴き込んでいたのか、と思う時がある。
出た答えは
母に趣味が似ていた、というのもあるし
そもそも母のことが好きなので同じものを共有したいという子ども心かもしれない。

でも、やはり「ふきのとう」というアーティストの魅力があってこそ聴き込んだのだと思う。

まず楽曲が素晴らしい。
私が特に好きな楽曲はほとんど山木さんが作詞作曲されており、美しい日本語の中に響く切なさや優しさ、情熱が秀逸としか言えない。それでいて、ムダな言葉がなく一つの物語を読んでいるような世界観。

それを更に彩り、歌に息吹を与えるのが細坪さんの唯一無二の歌声。お世辞抜きにこの方は数ある歌手の中でも一二を争う歌の上手さだと思っている。
疲れた時に今でもたまに聴かせてもらうが、本当に癒やされるのだ。


近頃、仕事や面倒な人間関係に疲弊しきっている私。ちょっと休んだくらいではなかなか回復しないこの身体と心を、今こそふきのとうの力でしっかり癒やす時なのではと感じる。
では、聴いてきます。

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