電話設備計画(基本設計)

電話設備の計画について記載します。
電話設備の計画図には通信引込、端子盤、幹線(ケーブルラック含む)、電話プロット、系統図、工事区分、機器が本工事であれば機器仕様を記載します。

通信引込について
通信事業者(NTT)と協議を行い、敷地への引込位置、配管口径、配管本数を決定します。
協議を行う為、指定書式に必要回線数等を記載し、協議依頼をかけます。
配管は敷地外から建物のMDFまで行います。
敷地に架空で通信線を受ける場合は敷地内に電柱を建てます。

端子盤について
500m2~1000m2程度で1ヶ所設けます。
他の弱電設備もこの盤をそのエリアの中継地点として利用するので電話設備のみならず、LAN、テレビ、呼出、インターホン、放送設備も考慮します。(電話、LANを中心に考えると他の設備は割と収まります。)
事務室等で電話、LANが集中する室は基本その室内または隣接室に端子盤を設置します。
特にLANはHUBからLANアウトレットまでのケーブル長を100m以内とする必要があるので、端子盤にHUBを設ける場合、これを優先して配置を検討します。
盤名称は一般的に○T-1(○は設置階、1はその階の盤の連番)とします。
電話回線を引込む建物電話のメインとなるところにMDF盤を設けます。

幹線(ケーブルラック含む)について
MDF~各端子盤にケーブルラックを敷設し、幹線ケーブルを計画します。
配線を通信事業者工事とする場合はケーブルラックのみとなります。
また、端子盤から離れたヵ所に5、6ヵ所以上電話アウトレットを計画する場合は、そこに至るルートに水平ケーブルラックを敷設した方が施工上、効率的となります。
配線別途工事として、空配管工事になる場合、配管亘長は30m以内が望ましい為、それを目安に水平ケーブルラックを計画するとよいかと思います。
幹線ケーブルを実装する場合はCCP-P0.5-○Pを使用します。(○は電話の数で変動します。)○Pの規格は10、20、30、40、50、100、200と対数が決まっているので、端子盤に繋がる電話数を賄える直近上位のケーブル対数を選定します。
幹線の配線方式はMDFから各端子盤へ各々敷設するスター配線方式か、MDFから端子盤敷設し、次の端子盤へ送る送り配線方式、またはこれの組合せとなります。
その端子盤が受け持つエリアに電話1個に2Pの配線を計画するので、電話が5個あれば10P、10個あれば20Pとします。スター配線時はその端子盤が受持つエリアにて対数を決め、送り配線の時にはその送り先の端子盤が受持つエリア分も加算した対数を選定します。対数の上限を200Pとし、それ以上は本数を分けます。

電話プロットについて
電話は人が①室外と連絡する用の内線電話、②建物外と連絡する用の外線電話、③設備機器からの外部発信で計画します。
①は事務室、会議室、休憩室等
②は事務室、共用ホール、住戸、店舗、受付等
③はELV、機械警備、火災電話等
がよく計画されます。

未実装のテナントは使用回線数が不明な為、テナント仕様による回線数とするか、その条件も無い場合は、テナントm2×0.05で算出します。

工事区分は施主協議で決定します。
新築の場合は概ね機器を別発注するので設計としては空配管、ルート確保(ケーブルラック等)、位置ボックスまでが本工事となります。
増改築等の場合は既存に電話システムがあるのでそのシステムに合わせて機器も計画することがあります。または施主が特定の通信業者と契約していれば、空配管が本工事ということもあります。

基本計画の手順としては
電話工事区分協議→電話プロット→端子盤エリア決めと配置→幹線ルート→幹線サイズ、端子盤対数出し→引込協議
となります。

昨今は携帯電話の普及により固定電話を置かない、IP電話の使用で電話配線がLANケーブルとなる、メールの普及に伴ってFAXの廃止等の変化があるので最新技術とシステムを考慮して建物に合った設計を行ってください。

以上となります。

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