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焼いて美味しいイタリア“風”野菜~ブロッコリーとケールのかけ合わせ、日本生まれの「アレッタ」

氷見のいわしの途中ですが、書かないと旬が終わってしまいそうなので、いったんこちらの話題を。

冬になると野菜を焼きたくなる。
冬でなくとも焼き野菜を食べることはよくあるが、冬には尚焼きたくなる。
昨冬~一昨冬はカリフラワーをローストしたり(素焼きでスパイスやカレー粉を振ったり、にんにくとオリーブオイルで焼いたり)、かぶをフライパンで焼いたりするのにはまっていた(茎は長いまま、実は縦半割りでオリーブオイルで20分ほどかけて焼く。特にこんがりした茎と葉が美味しい)。

ビーツやブロッコリーも軽く蒸してから焼くと美味しいし、白菜も子供の頃から焼いて食べるのが好きだった(ごま油で焦げ目をつけ、ぽん酢かにんにく醤油で。最高に美味しい)。
冬野菜は焼いて水分を凝縮させると甘みや香ばしさが増し、美味しくなる種類が多いということかも知れない。

そんな冬野菜、今冬はブロッコリーが半世紀ぶりに新たな「指定野菜(消費量が多く国民生活上重要性が高い品目)」となり注目を集めたが、そのブロッコリーと青汁でおなじみケールを掛け合わせてできた「アレッタ」という新顔野菜がある。平成23年登録なので誕生してまだ14年。スーパーでは滅多に見ないが、直売所では時々見るので年数回買う。この辺りで見るのは主に群馬県産で、冬の初めから3月上旬頃まで、冬から春野菜の初めにかけての野菜だ。

このアレッタも焼くと非常に美味しい。もともと焼いて美味しいブロッコリーに、さらにケールを掛け合わせたのがポイントだ。
ケールもブロッコリーも同じアブラナ科、キャベツの仲間でもあり、このケールと見た目がよく似た黒キャベツ「カーボロネロ」がある。カーボロネロは主に「リボッリータ」というイタリアの煮込み(スープ)に使われる他、おつまみのチップスにされたりもする。油を塗って焼くとパリッとして美味しいのだ。日本の葉野菜は水分が多いので、葉物をチップスにするというのは衝撃だったが、カーボロネロの締まった葉質ならではの一品だと思う。

そんな訳で、カーボロネロとよく似たケールも然り、そのケール分が掛け合わされた「アレッタ」もやはり焼くと美味しいのである。

スティック状のブロッコリー的見た目のアレッタ。よく似た野菜に「スティックセニョール」があるが、スティックセニョールはブロッコリーと「芥藍(がいらん)」という中国野菜の掛け合わせで、茎のわき芽がよく出るよう開発されたそうだ。故に茎ブロッコリーとも呼ばれ、ぽりぽりとした茎が食されるが、アレッタは全体的に甘く柔らかい。あくがないため生食も可能だが、ちょっと加熱すると途端に甘さと力強い旨味がぐんと引き立つ。
茹でたり蒸したりしても美味しいが、私は焼くのがやはり好きだ。特に葉の部分が香ばしくて美味しいから。

だいぶ食べてから「あっ写真」…。本当はこの10倍ほど入っていました

ケール譲りのほろ苦さと青みを持つアレッタはイタリア料理全般に合う(でも日本生まれの品種)。パンチェッタやベーコンと炒めてパスタやピッツァにしても抜群に美味しいが、今回はよりダイレクトに焼いてみた。

こんがり焼けた部分がとっても美味しそう(美味しかった)

アレッタのビスマルク風。
「ビスマルク風」は卵料理に目のない鉄血宰相ビスマルクさんにちなみ、半熟卵や目玉焼きをのせた料理全般を指す。ステーキとかハンバーグとか、ピッツァとかトーストとか、まあ卵って何にでも合いますよね。わかるなあ。

そんな「ビスマルク風」、肉料理と同じくらいよく見るのがアスパラガス。バターまたはオリーブオイルでこんがり焼いたアスパラ(緑でもホワイトでも)にポーチドエッグか半熟の目玉焼きをのせ、パルミジャーノと黒こしょう。
あつあつのアスパラに半熟卵がとろ~り絡み、チーズの塩気と旨味、ピリッと引き締める黒こしょう。シンプルながら完璧な一品、それをアレンジしたアレッタ版。絶対美味しい。

但しアレッタにはパルミジャーノでは少し弱い気がしたので、代わりにパンチェッタでアレッタを焼き付け肉系の旨味をプラス。
最大のポイントはやはり「アレッタをよく焼く」こと。水分が抜けると旨味も抜けてしまうので蓋を活用して蒸らしつつ、でもこんがり仕上げるのがコツ。ああ美味しかった、こういう野菜料理はたっぷり食べられるんですよね。

――で。これをさらに簡略化させ、かつ純度を増したのがこちら。

アレッタをオリーブオイルをたらしたフライパンでこんがり焼き、軽く塩をして、トーストした8枚切り食パンにのせただけ。チーズも肉も卵もなし、アレッタとパンのみです。にんにくやこしょうもなし、本当にこれだけ。

これがまたたいへん美味しかった。アレッタってやっぱり焼くだけでとっても美味しいですね。ケールの香ばしさとブロッコリーのほくっとした感じが、至ってよくある普通の食パントーストに実に合う。マヨネーズや辛子を塗りたくなる気持ちをぐっとおさえて、是非そのままのせてみてください。びっくりするほど美味しいから。

もちろんお洒落なベーカリーのハードパン各種にも合うけれど、お手頃価格のスーパーの食パンにも合ってしまう理由は、おそらく食パンの甘みがアレッタの苦味と好相性だから。

そう、苦味といえば春野菜、春といえばデトックス。
春野菜にはデトックスを促すほろ苦系が多い。アレッタにはケール由来の苦みはあるものの、渋みや辛さ等の癖はない。柔らかくて甘いので、緑の野菜が苦手なお子さんにも食べやすいのでは?

冬野菜の甘さと春野菜のほろ苦さを併せ持つ、冬と春をつなぐ力強く美味しい野菜アレッタ。
見つけたら是非焼いて食べてみてください。しっかり焼ける厚手のフライパンがおすすめです。

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